一日目 登校日
「いってきます。」
いつの間にか高校1年生を終え、高校2年生となったこの俺、古道秀は2年になって始めて登校をしていた。中学の時もそうだったが、家から学校までかなり近い。別に自転車もあるし、自転車で登校してもいいのだが、なんとなく歩くのが俺の性に合っている気がする。
景色も見知ったものであまり2年になったという気はしない。まぁ、中学から高校はまだしも1年から2年はそんなもんだろうと思っていると十字路が見える。
いつもならここで、
「?」
誰もいない。朝も早いし、ここは車通りも少ないから人がいないのは分かるが、陽香もいない。まぁ、待ち合わせもしてないし、歩きから自転車に変える区切れにも丁度いいだろう。陽香が変えるなら俺もそろそろ自転車でもいいかもな。
交差点を越え、少し早歩きで歩く。すると、風を切る音が聞こえる。ん?違うな
「〜〜〜〜〜ュュュ…しゅーーー!」
「うおっ!」身体が押し出され、前に転ぶ。そして後ろを見ると「陽香!」
そこには、まだ肌寒いのに短いスカートを着て、俺と同じく高校2年生になった腐れ縁の友人千坂 陽香が俺を見下げていた。
「しゅう、何してるのさ。」
「いや、登校だけど…」
「ちがう!置いてったでしょ。」
「あぁ、ごめんって。」
俺が陽香と登校していたのは小学校からだ。登校班という集団で登校する決まりがあったが、この近くに住んでいたのは俺と陽香だけだったため小学校の6年間もずっと2人で登下校していた。
中学校は近かったので自転車には乗らず、そのまま2人で歩いて登下校をし、高校でもズルズルとそれを続けている。
陽香を持ち上げてどかし、起き上がる。
「じゃ、行くぞ。」
また歩き始めようとすると
「ちょっと、ちょっと何か言うことは?」
陽香が機嫌が悪そうな顔をしながらついてくる。
「あれ?陽香。また背デカくなってないか?」
「ホントに!?」
陽香は150前半で平均より少し小さいらしい。俺から見るとあまり変わってないが、機嫌が悪いっぽいので何となく褒めておく。
「ってそうじゃない。何で置いてったの!?」
一瞬機嫌が戻りそうだったが、駄目だった。
「自転車にしたのかなって。」
「自転車にしたなら言うしってそもそも自転車にしないから!」
「別に約束もしてないしな。」
「……ん~~!」
ポコポコと叩いてくる。答えが気に食わなかったらしい。
「ごめん、ごめん。今度から待つからさ。」
「ん~~、じゃあ、今日早いからお昼ゴハン奢ってくれたら許してあげる。」
「分かった、分かったから叩くのやめてくれ。」
最近美味しい店を見つけたし、陽香に紹介するにはちょうどいいな。
すると少しずつ学校が見えてくる。あっ、そういえば、
「陽香、勉強したか?」
「ん?なんで?」
「2年は明日テストあるんだぞ。課題やってればある程度はできるとおもうが……」
さっきまでかなり顔が赤かった気がするがみるみる青くなっていく。こりゃ、やってないな。
「しゅ〜〜」
「はいはい、分かった。じゃ、昼の後に教えてやるよ。」
そして、陽香の顔はみるみる明るくなっていった。
道路に出て、街路樹の下を歩いていると
「そういえば、クラス替えって朝、玄関に貼り出されるんだよね。」
と思い出したかのように陽香が言った。
「あぁ、そうだったな。」
「今回は秀も一緒かな?」
前のクラスは陽香とは別のクラスだった。まぁ、それも小学校ぶりとかなので新鮮でよかったのだが。
「まぁ、5クラスだからな。そこまで確率低くないんじゃないのか?……痛っ!なんで蹴った!?」
「知らない!」
「え?ホントになんで?」
困惑しながらも痛みが収まり、歩いていると校門へ着いた。
すると、陽香が突然走り出し、遠くに見える玄関に貼られた白い紙を見に行く。そして、それをじっと見た後こっちを見て手を振っている。
「秀!早く!」
満面の笑みである。正直もう分かったようなものだが、走っておく。
そして、陽香の指が指す二組という文字の下を見るとそこには古道秀という名とその少し下に千坂陽香と書かれていた。
次回、早帰り。
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こっちも同時に書いてます。




