第四十二話 サブクエスト"シスターの願い"
フラウとリリィはジャングルをぬけた先、拝殿の方へ向かっていた。
今回はリーリアも同行している。
リーリアは新しいステージに初めは驚きっぱなしだったが、今は歩き慣れたのか、身軽にモンスターを倒していく。
「やっぱ強いね、リーリアちゃん」
「毎回ランキング上位だからなあ、さすがだ」
二人はリーリアの後ろからついて行きつつ、無駄話をしている。
「二人とも、クエストポイントもうすぐ近いですよー」
「はーい」
二人はキョロキョロと辺りを見渡した。
それらしい人物が見当たらない。
もう少し行った先かと思った時、拝殿の中央で佇むシスターを見つける。
「あれだ!」
三人はそのシスターに駆け寄り、話しかけた。
するとシスターは待っていたとばかりに話を始める。
「私はこの拝殿の最後の信者です。名をユラと申します。この拝殿は昔は神が祀られていたのですが、つい先日、隕石が衝突しまして、神を模した銅像から何かが抜け出したのです。」
シスターは続けた。
「それ以来毎晩のようにここでモンスターが暴れるようになってしまいました。きっとあのモンスターは神の化身。神がお怒りなのでしょう」
シスターはそのまま泣き崩れた。
三人はそんなシスターを見つつ、どんなモンスターなのか聞いてみる。
「チラッと見たのですが、キメラのような見た目でした。しかし、神を倒すなど恐れ多い。ですので、神を元の銅像へ戻して欲しいのです」
「どうやって戻すんだ?」
「この拝殿の私がたっている位置におびき寄せて欲しいのです。その後は私が封じの呪文を唱えますので、時間稼ぎをして欲しいのです」
「わかった」
シスターはその言葉に感謝の念を伝える。
三人の目の前には「承諾」か「拒否」か選択肢が現れた。
三人とも承諾した時、シスターは夜を待つと告げる。
「ルールがあります。神が一歩でもこの拝殿から出てしまえば私の呪文は効果が無くなります。また、神は夜のうちはその姿を見せられますが、陽が出てくるとその身を影に潜めます。どうぞ、お忘れなきようお願い致します」
シスターの言葉に三人は「うーん」と言葉を詰まらせた。
シスターはそのままジャングルの方へ姿を消す。
残された三人は顔を見合せた。
「意外と難易度高そうだよな」
「殺さず、出さず、ですからね。さらに時間制限付きです」
「まぁ……こっちは三人もいるし、何とかなるだろ」
「私もせっかくの新ステージ、そして新しいクエストなんで、気合い入れて頑張ります」
「おう! 頼りにしてるぞ」
リリィの言葉にリーリアは頷く。
「リーリアちゃんがいれば百人力だね!」
「あ、そうだフラウ。今回もできるだけ狼とかモンスターにはならないようにな」
「ダメなの?」
「神ってやつと一緒に封印されたらどうすんだよ」
「それは困る……わかった、気をつけるよ」
「頼むぞ! ってことでフラウはサポートに徹してくれ」
「うん!」
フラウは元気よく頷いた。
作戦を練っていたが、夜までまだ時間がある。
三人は近くの湖で水遊びをして暇を潰すことにした。




