第三十七話 サブクエスト
洞窟にいたモンスターはアンデット系、つまるところ、海賊達の成れの果てだろう。
フラウやリリィを見つけたら真っ直ぐ向かってくるが、そこまで耐久はないため二人は一掃していく。
ただ唯一言えることは見た目が不気味なため、二人の精神力が限界を迎え始めていた。
「うげぇ! あいつ、腕がねぇぞ!」
「ひぃ! 断面まで繊細に映像化されてるぅ……気持ち悪いよぉ」
「た、耐えろフラウ!」
「今まで血じゃなくてキラキラってした粒子だったのに、なんでぇ?」
「そういうモチーフなんだろ! シャントしろ!」
「そういうリリィだってへっぴり腰だよ!」
二人は泣く泣くアンデッド達を砂に返していく。
モジュールも頭部だけ転がっていたり、血塗れだったりと今までとはテイストが少し違う。
海賊の映画をイメージしていると公式サイトに記載されていたが、二人はあまり読んでなかったようだ。
叫び続けて突き進むと行き止まりが現れた。
「この壁なんか変な模様があるぞ」
リリィが警戒して近づく。
石の扉は幾何学な模様で埋め尽くされていた。
ふと手を添えるとガコンと音がする。
そして、不意に横の壁から槍が飛んでくる。
「リリィ危ない!!」
フラウが慌てて「"ディバインプロテクト"」と叫んだ。
防御の壁が飛んできた槍を見事防ぐ。
「リリィ大丈夫!? 怪我は?」
「だ、大丈夫。びっくりした……ありがとうフラウ」
リリィはそのまま扉からそっと離れる。
「どうしよう? 開けられない」
「どっかにヒント……あっ!」
フラウが声を上げて小走りで見つけたものに駆け寄る。
石版が乱雑に地面に刺さっており、それが三つある。
「ここの文字、ヒントかな?」
「なになに……」
リリィがそれを読み上げた。
一つ目は輝くルビーの宝石。
二つ目は煌めく夜空から落ちた星。
三つ目は大海原を制する水。
「……これらを示すものを墓に添えろ」
「どっかにあるってこと?」
「おっかしいなぁ、ダンジョンはほとんど一本道だったけど……」
「ってことは外にあるのかな?」
フラウはそう言って地図を開いた。
このライライ島に到着してから自動で更新された世界地図だ。
拡大してみると、ジャングルとその奥にある神殿に点滅が着いていた。
これはサブクエストを表すものだ。
今まで二人はサブクエストにはあまり関わってこなかったが、どうやら今回は必須らしい。
「仕方ない、行ってみるか!」
「あ、私ダンジョン離脱のアイテム持ってるよ」
「じゃあそれ使ってひとっ飛びで入口に向かおうぜ。もうゾンビは見たくない」
「だね〜」
フラウはアイテムボックスから丸い煙幕の玉を取り出した。
リリィがフラウの肩を掴み、フラウはそれを地面に叩き付ける。
すると"ボンッ"と音を出して爆ぜた。その瞬間に洞窟の入口まで二人は帰還していた。
「じゃあ近いジャングルの方から行くか〜」
「そうだねー」
二人は洞窟がある岩場の横を覗き込む。
そこには獣道があり、ジャングルの中央へ向かって伸びていた。
草木が生い茂る中を掻き分け、二人は歩き始めた。




