第三十六話 ライライ島
渦が大海原に無数に点在する。
フラウとリリィは船にしがみついて必死に耐えていた。
そこは魔の三角州と言われており、中央の渦は消えることは無い。
「ここを越えればライライ島だぞ!!」
「もう、むりぃーー!!」
二人は叫び声を上げる。
船は渦に飲み込まれ、二人の意識はなくなった。
目が覚めると薄暗い空間。
静寂が洞窟を支配しており、フラウは朧気な意識のまま眩い光の洗礼を受けた。
意識がはっきりした時、フラウの視界いっぱいに美しい瞳を持った女性の顔が映った。
「うわぁ!! ってあれ、ここは?」
フラウが起き上がると女性の下半身が魚のしっぽになっているのが見えた。
ギョッと目を見開くと、女性は美しく鈴のなる音で笑い声をあげる。
「あっリリィ!! どこ?」
リリィの姿を探した。しかし、近くに居ないようだ。
慌てるフラウの手を人魚は優しく包み込む。
言葉は発しないが、どこかへ誘っているようだった。
フラウはつられるままに立ち上がり、砂浜を踏みしめた。
空は快晴。
水は美しいブルーが海底を映している。
「こっち?」
フラウが海の浅瀬に足を踏み入れた。
すると人魚はコロコロと笑ってフラウの足を引っ張る。
「ひゃぁ!! あっ! そっちは!!」
フラウがバタバタと暴れるが、人魚は一人二人と姿を見せてフラウの足を掴んだ。
このままでは溺れてしまう……!
フラウが半泣き状態で人魚達を見る。
先程まで美しく見えていた彼女達は、今は恐ろしくて気持ちの悪いものに見えた。
「フラウーー!!」
目を瞑ったフラウ。
そこへ掛け声とともに誰かが現れ、足を引っ張る力が無くなる。
恐る恐る目を開けるとリリィが人魚達に大剣を叩きつけていた。
「こいつらモンスターだ! フラウ加勢しろ!!」
リリィはそう言って大剣を振り回した。
人魚達は超音波のような声を出してリリィに噛み付く。
リリィはそれを薙ぎ払い、倒していく。
フラウもリリィの後ろから魔法で援護射撃を行った。
やっと倒し終わった時、改めて島全体が視界に入る。
「ふぅ……ここがライライ島だぞ、フラウ!」
一息ついたリリィは汗を拭いつつフラウに駆け寄る。
フラウは目の前に広がるジャングルと、背の高い火山に圧倒されて声が出ない。
「さっそく奥の洞窟行ってみよーぜ! ダンジョンになってるらしいぞ!」
「う、うん!」
フラウはリリィに引っ張られ、島の左側へ。
そこにはフラウの船も座礁しており、ダンジョンに入る前にアイテムボックスへ回収する。
「レッツゴー!!」
リリィは元気よく走り出す。
フラウもそれに続いてダンジョンに踏み込んだ。
足元に魔法陣が広がり、ワープする。
次に視界に広がったのは、沢山の骸骨と古びた海賊船だった。




