第十八話 来たる強者、開始のゴング
【集まれ強者!! 第四回イベントはP v P!! プレーヤーを倒して報酬をゲットしよう!!】
そんな宣伝がスタットの広間に響き渡る。モニターにも目立つ文字で書かれていた。
そして、中央の掲示板と大きなモニターの周辺に、それぞれ立派な武器や甲冑を着たプレーヤーが集まり始めている。
今日から三連休もあり、スタットの広間はいつもより賑わい、すでにお祭り騒ぎがそこかしこで見られた。
もちろんその中にフラウとリリィも混ざり、今か今かとイベントの開始を待っている。
「すげーっ! こんなにプレーヤーが集まってるとこ見たことねぇな!!」
「ほんとに、みんなやる気満々だね〜!」
二人の会話は喧騒にかき消される。
「気合い入るなぁ〜! よーしっ! みとけよー! 私も一週間、めちゃくちゃ頑張ってレベル上げたし、新しい大剣も手に入れたんだからな!」
「私も新しいスキルと〜、あと、やっと広範囲魔法手に入れたよ〜!」
「早く始まらないかな!」
「楽しみだね〜!」
広間が一番活気づいた時、アイドル風な美少女が電子によって上空に作り出された。
彼女はリアティのゲームでも広報担当のAQUAと呼ばれるAIだ。
「みんな〜盛り上がってる〜? 今回のルールは"P v P"!! 一人でも多くプレーヤーを倒せばポイントが手に入り、さらに自分より上位を倒すと、ポイントはそれに応じて増えていく仕組みだよ〜!」
AQUAは大袈裟な手振り身振りで、広場に集まる全プレーヤーを盛り上げ始めた。
「期限は"三日"!! 上位十名には報酬の他にも特別なスキルがプレゼントされちゃいます! 手に入れられるのは今回のみ! さらに、ポイントはイベント終了後報酬と交換できるのでお忘れなく! ただし、一度倒されちゃうと、日付が変わるまでゲームに参加できないので注意!」
AQUAの言葉と共にモニターの方もわかりやすいイラストタッチで説明が写っている。
「また、今回、初心者の子から"勝てない〜"って要望が多くて、レベル分けでチームが組めるようになってるよ!レベル二十以下は四人、四十以下は三人、五十以下は二人、それ以上のプレーヤーは一人! これは今回からの特別ルール! 参加前にしっかりパーティー組んで、イベントエリアに向かってね!」
その言葉と共に雄叫びをあげるプレーヤー達。
暫くAQUAによるコンサートが催される。
その間にパーティーを組みたいプレーヤーはあっちこっちに声をかけて回っていた。
「あたしらは四十二と四十九だから、二人のみか」
「そうだね〜! がんばろうー!」
「おー!!」
そして試合開始のゴングが鳴り響いた。
広間にいたプレーヤーは転移の魔法により、一斉にイベントエリアへとワープする。
イベントエリアに着いた時、早々に戦闘は始まっており、あちらこちらで火の海や悲鳴が響いていた。
〇
イベントエリアは森。
隠れやすく無闇に移動するのは少し危険だった。
不意を突かれないよう警戒しつつ、フラウとリリィは早速プレーヤーを探し始める。
「フラウ、作戦は単純だ! 機動力のあるフラウがここまでプレーヤーを連れてくる、私が木の上で待ち構えて先手をかけるから、その間に戦闘に参加してくれ。そんで二人で倒す!」
「了解!」
「目指すは二人で十位以内! がんばろーぜ!」
フラウとリリィはそう笑いあって早速ポジションに着いた。
フラウは"ウルフメイク"の使用により、狼になり、木の幹を伝って索敵を開始する。
早速、三人で固まっているプレーヤーを見つけた。
どうやら三人パーティーらしい。
フラウは木の幹から"ファイアーボール"を数発飛ばしての気を引く。
「誰だ!!」
「探せ!!」
三人は不意打ちに狼狽えつつも魔法が飛んできた方向に走り出す。
「後は誘導するだけ!」
フラウは元来た道に三人を誘い込んだ。
三人は警戒せず、まんまと誘い出される。
「"天誅"!!」
リリィが木の上から大剣を振り下ろしながら飛び出した。
言葉と共に、大剣は地面を抉り、亀裂を走らせ、三人の足元を掬った。
「"メテオ・ストーン"!!」
さらに、フラウの魔法により、体制を崩した三人に隕石のようになった岩が降り注いだ。
体力の少なかった二人のプレーヤーは、一気にゲームオーバーまで追い込まれる。
残った一人は体制を整えたが、リリィが大剣を横一文字に振り払うと簡単に倒すことが出来た。
「やったなフラウ! この調子でやっつけるぞー!」
「おー!」
二人はそう言い合い、新たなプレーヤーを探しに向かった。




