第十九話 一網打尽
今回のイベントは前回上位だった"カナト"、"ライラ"、"グリズリー"も参加している。
そして、フラウ達と一時行動を共にした"お鈴"もパーティーは組めないものの、協力者を引連れて効率よくプレーヤーを倒していた。
フラウとリリィは森の中央、一番人がよく集まる場所で戦っていた。
始まったばかりでまだまだ人数も多く、今のところ休みがない。
戦いの最中、二人は周りを警戒しつつ会話する。
「できれば知り合いとは戦いたくないよね〜」
「そうだな」
二人がそう言って何人目かのプレーヤーを倒した時、近くで爆発音と悲鳴が響き渡った。
「なんだ!?」
「リリィ危ない!!」
反応が一歩遅れたリリィの眼前に炎が迫る。
間一髪でフラウはリリィを救出し、離れた場所へ移動する。
先程の炎に巻き込まれたプレーヤーは、悲痛な声を森に響かせていた。
リリィはひとまず安全地帯で避難しつつ、フラウは"ウルフメイク"を使用し、発火の渦中を覗きに向かった。
そして、そこに居たのは、幼い見た目の少女。
彼女は前回二位を勝ち取った"ライラ"だった。
「ひぇぇ……これはさすがに分が悪いかも……」
フラウはそう呟き、暫く高い位置からライラを観察する。
ライラは無感情な真っ赤な瞳で淡々と巨大な魔法陣を作り出していた。
魔法陣からは炎が燃え上がり、火柱をあちらこちらで生成する。
それに掠りでもしたプレーヤーは体が燃え上がり、すぐにゲームオーバーに追い込まれた。
「炎が攻撃の主軸かな?」
フラウがそう呟くと、目の前で火が燃え上がる。
「うわわ! す、"スノーウルフ"!!」
フラウの体は真っ白な体毛へと変化した。
スノーウルフの装備は氷無効と炎無効の効果があるので、安全に観察できる。
ライラはしばらく森を燃やし続けて別の場所へとふよふよと浮かびながら移動する。
ライラを見送ったフラウはリリィの元へと帰って行った。
〇
リリィに一部始終を伝えると、うーんと唸り声を上げた。
「本当に炎だけならフラウが倒せるが……まだ奥の手を隠し持ってるだろうな。できれば最終日まで避けて通りたい」
「だね〜今ゲームオーバーにされるとポイント逃しちゃうし」
「よし、そうと決まれば他に行くか〜。ライラは西の方に向かったんだろ? あたしらは東に行こうぜ」
「うん」
二人はそう納得した後、東の森の広い場所にたどり着いた。
その中央で二人は悪戯っぽく笑う。
「よし、フラウ! でっかくなれー!」
「任せてー! "グロウボディ"!!」
フラウがそう唱えると、真っ白な狼の体がどんどん大きくなり、森の木々では隠れ着れなくなる。
それにつられたプレーヤー達は「なんだ?」と怖いもの見たさで集まり始めた。
それらを一気に"地獄ノ業火"で焼き尽くし始めるフラウ。
「溢れたやつはあたしが叩く!」
リリィはそう言って大剣を構えた。
フラウが多方焼き尽くしたが、やはり耐えて足元までやってくるプレーヤーはチラホラ現れた。
リリィは彼らの前に躍り出て"鎌鼬"のスキルで薙ぎ払っていく。
「クソッ! ライラの次はモンスターかよ!!」
「足元にプレーヤーがいるぞ!」
「なんだ? テイマーか!?」
「こんなでかいのテイム出来るやつみたことねーよ!」
プレーヤーは口々にそう言って焼き払われていく。
二人はそうしてしばらく東の森で暴れた後、殆ど焼け野原となった森を後に、別の場所へ移動向かった。




