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女装パブ『マドモアゼル』は今夜も大盛況だ。
「シュウちゃんがこの店からいなくなったら、おじさんさみしいっ!!」
お客さんが入店する前から桃子さんといちゃついていたから、お客さんも戸惑っているみたいだ。
「でも、僕よりずっと若い子たちがたくさん居るから、言うほどさみしくないでしょう?」
僕なんて刺身のつまみたいなものだ。
シマさんはツンデレだし、タリさんは小さくてかわいらしいし、カイさんはスレンダーだし、なによりアキナさんは年よりずっと若々しい。
「僕もさみしくなったら、このお店にお客として来ちゃうかもしれない」
ふざけて言ったらどっと笑いがもれた。
「はいはい。シュウちゃんたちへのご祝儀でボトルをどんどんあけちゃってくださぁ〜いっ」
このお客さんも常連だけど、最後まで気前がいいなぁ。
あらためて、女装が趣味でよかった。
たのしいし、ほめられたし、キレイだなんだとちやほやされたし。
自己肯定感上がった感じがする。
女装パブ『マドモアゼル』の客層は、女性から男性まで様々だ。
今日はたまたまおじしんが多いけど、女性客からもずいぶんかをいがってもらったなぁ。
「シュウちゃん、みんなになにか言い忘れたことない?」
アキナさんに聞かれて、僕はうん? と首を傾げた。
「これまでかわいがってくださり、ありがとうございました。これからの僕は、単なる女装趣味の男となりますが、街で見かけたりしてもそうっとしておいてください」
言った。
言ってやった。
気分は一般人だ。
そもそも女装なんて、今しかできない趣味だと思っていた。
それをこうしてバイトとしてつづけられたことに満足している。
みんなの笑い声を聞きながら、男装した桃子さんと手をつないだ。
唇へのキスはまだ先にとっておくんだ。
あなたの趣味はなんですか?
僕の趣味は、女装です。
おしまい




