第4章 夢の王国
すると、妹は突然私を揺り起こしこれから、地下の埋宝を探しにいきましょうと、いうのだった。
ケルビノは妹のあとに従った。
死の娘たちは取り囲み見送っていたが、時々異様に光る目が気味悪かった。
「ほら、あそこに、青い炎が燃えているわ」
と、妹は言ったようだった。
しかし今はじめて気がついたのだが妹はまったく唇を開いてはいなかったのだ。
そして声だけが、ケルビノの頭に響いていたのだ。
妹の指差すほうを見ると、そこには紫色に光る異様な形をしたきのこが生えていた。
「さあ。それを摘みましょう」
妹がそういうといつの間にか死の娘たちが来て、手に持った小かごにそれを摘み取るのだった。
あちらにもこちらにもきのこはたくさんあった。そして摘み取られるたび、きのこは悲鳴を上げるのだった。
ふと妹のかごを見ると、それは灯火の下では、赤黒い血を流すトカゲの死体だった。
ケルビノはそれを見るとあっと叫んで卒倒してしまった。
おもぐるしいい夢の中で、
山の老人が現れてこういうのが聞こえるのだった。
「お前はどうしてそんなうその、幻想のとりこになってしまったんだい。
たった一人で閉じこもって妹を心配させてはいけないよ」
すると突然妹が現れて
「私を一人にしないで、私を見捨ててつまらない日常の生活に戻ろうなんて二度と考えないで」
というのだった。
次の瞬間ケルビノは王国の宮廷にあって戴冠式に臨もうとしているのだった、
紫色の瞳をした女官にかしづかれた妹は燦然と輝く王冠を差し出し
「どうかこれをかぶってこの世界で君臨してください」と
懇願するのだった。
「この国でならあらゆる芸術も宝石のように花開くのです。あどけないミューズたちもあなたに仕えることを心待ちしているのです」
妹は切なげな瞳でそういうのだった。
だが突然、怒りの相をあらわに山の老人が現れ、
「醜い妖精たちよ。消え去れ。現世の住人をこれ以上たぶらすのはやめるが良い」と、娘たちを
鞭打つのだった。
するとその宮殿も雲散霧消して、あとに葉、干からびたミイラが朽ちた棺に横たわっているだけなのであった。
山の老人はゆっくり歩いてきてこういうのだった。
「そうら、
私の言ったとおりだろう。
夢の王国は確かにあるだろう、でもそこでは夢魔に煮た妖精が悪さを仕掛けて若者をたぶらかし、
現世から引き離して、狂わせてしまうんだよ、戻りなさい。近所の人は君を閉じこもって古代の魔術書を読みふける奇人としか見ていないんだからな」
ケルビノはうなずくと老人は消えていた。
そして次の瞬間はっと目が覚めたのだった。
そこは西日の当たる、自分の家の前だった。
中から人が呼ぶ声がした。
「さあ、夕食の用意ができましたよ」
ケルビノはしっかりした足取りで家のほうに向かって歩いていった。
終わり。




