【ending】エピローグ
本体が消えた後の話です。
『モーブとザーコ』
ウエストコート高等学院を、解雇……退職したモーブとザーコは、戦闘教官としては弱いながらも、一般騎士よりは強い。
その強さを、ランディに見込まれて、エスパルで少年に戦闘訓練を施していた。
そして、この2人に勝てばエスパルでは、一人前と認められる習慣が出来てしまった。
それでも必要とされ、衣食住の充実したエスパルでの生活は幸せだったと言う。
『王族特務隊』
正式に王族特務隊の隊長に就任した、バカ王子ことサンジェルマン・フォン・アルカディアは、ランディと頻繁に会えない事から、一部の貴族と特務隊のガルサンダー、マテラ・ラーンを巻き込んで、エスパルから王都までレールを敷く『鉄道計画』を実行した。
その工事の進捗速度は目を見張るほどのものであったと言う。
『ウィルソン・フォン・アルカディア』
隣国、アカシア王国を全面降伏させ、ムアミレプ王国、ターベール王国、アルテシアンナ王国、ベルデタル聖国との友好をさらに親密化させ、磐石な地盤を築いたあと、王の座を第一王子に譲ったウィルソンは、完成した鉄道を利用して頻繁に王都を抜け出したと言う。
その度に、太って来る元国王に、現国王は頭を痛めていた。
『ハべンスキー、マキナス・ルードマイヤ』
ランディの幼少時に才能を見出だし、高等学院に推薦したこの2人は、エスパルで小さな建物で、少数の子供たちを教育していた。
「かっかっかっ、ランディの先生だったと言うことだけで、みんな素直に話を聞きよる」
「ランディのような問題児がいないから、楽じゃのう、マキナス」
昔は先輩と後輩の仲であった彼らは、お互いに呼び捨て出来るまで親しくなり、生を終える時まで3日も離れていなかった。
ランディの延命の呪文を断った時の2人の言葉はこうだった。
「やめいランディ、ワシは今が一番充実してるのだ」
「そうだそ、ランディこの幸せが色褪せぬまま、逝かせてくれ……」
そして2人は『羨ましいだろ』と言わんばかりの表情をして逝った。
『王宮騎士』
新人王宮騎士の研修地を正式にエスパルに移してから、例年よりも悲鳴が轟いたと言う。
しかし、脱落者は少なくなったとの報告が上がってきていた。
元王宮騎士でランディの師匠が、張り切ってしごきにしごくが、その後のフォローが素晴らしいと推測されていた。
アカシア王国から徴収した、新型装備も配備されて『大陸最強の騎士団』と呼ばれるまでとなった。
『キャンブルビクト侯爵』
キャンブルビクト侯爵も、アカシア王国から寝返りの打診を受けていたが、それを拒否していた。
その事を中央に報告しないことを、咎められたが、戦争での功績により帳消しとなった。
しかし、エスパルが発展すれば自動的に人の行き来が増えて、結果キャンブルビクト領は潤ってしまう結果になった。
『マニュエル侯爵、メッサー侯爵』
ランディ嫌いの先鋒として有名なこの大貴族は、ライトグラム家の大発展により、他の貴族たちから敬遠されるようになった。
何故ならば、ランディ商会が貴族の婦人や令嬢の心を鷲掴みにしてたせいである。
終いには、身内の女性からも文句をいわれる結果となり、裕福ではあるが幸せと言える人生は送れなかったと言う。
『ウエストコート公爵』
アスターテ・フォン・ウエストコートは、娘をランディの嫁にしようと企むものの、ランディに躱され、縁談は破談となった。
断りの台詞は『自分の嫁は自分で決める! 外野が煩いと、土地ごと引っ越しますよ』と言ったらしい。
これにより、娘のエリザベートは単独の力でアプローチをかけたが、結果は…………
『ユタの民』
もともと2つの町の長だった、トウドウとサイドウは隠居して、トウセンとサイセンにその座を譲った。
町一番の実力者であったが、次々と強い戦士が現れたせいで、町を治める側として頑張ると決意し直した。
『レオパルダ、レオマリア』
この親子は、ナパの町でずっと暮らしたが、母親のレオマリアは、ランディが別の女性と結婚をするまで決して警戒を怠らなかった。
今では、レオマリアも再婚をして幸せな生活を送っている。
『カッティー・ドーン』
カッティー・ドーンは、孤児院を立ち上げ、そこの院長となった。
彼をそこまでにした原動力はランディではない。
奴隷だった幾人かの子供たちがその原動力だった。
最初の子供たちは、心を入れ換えたとわかっていても、ランディ寄りになっている。
だが、後から助けられた小さき子供たちは、違う。
忙しく、頻繁に留守になるランディよりもカッティー・ドーンになついた。
そして『カツ丼のおじちゃん』から『お父さん』と呼ばれた時、彼はさらに変わり孤児院を立ち上げる決心までさせた。
そして、獣人の女性と結婚して幸せに暮らしたという。
『ダナム・マツヤ、テスター・バスター』
ダナムとテスターは、ある日突然修業の旅に出た。
『壁を超えたい』との言葉を残して、その日を境に、ソルティナとシュガーナの2人も失踪してしまう。
数年後、突然彼らは帰ってきた。
ヨチヨチ歩きの幼子を連れて。
ダナムとテスターは強くなって帰ってきたが、それでもランディと従者No.1のペンタゴンには勝てなかったと言うが、スクット・リッツを本気にさせる程の腕前だったと言う。
『ペンタゴン』
ペンタゴンがランディの弟子史上最強だったと言える。
王神流を修得できないタイプの剣士だったが、ランディと一時間限定での戦いなら互角の戦いが出来るまで成長した。
本人は『アカシア王国で見たランディ殿にはまだ追い付けない』と言っていたが。
『ドリア・フォン・ターベール』
ドリアは他国の王子という立場上、エスパルを長く留守にすることが多かったが、ある日を境にエスパルに永住することになった。
ドリアは平均寿命までターベールの姓を名乗っていたが、その後は死んだことにして、ドドリア・タベテと改名して、エスパルで一生を過ごした。
その事はドリアのキョウダイたちにはバレバレだったが、とくに問題にはならなかったと言う。
『セナリース』
ランディの幼少期の師匠である彼は、強制的にランディのアンチエイジングを受け、ドリア、ペンタゴンと並ぶ『超長生き組』の1人として名を連ねた。
『ボン、俺はいったいいつになったら死ねるんだ?』が彼の口癖だったと言う。
『ロイエン、クラリス』
ランディの両親である2人も強制的に『超長生き組』に強制参加されられていた。
それは、ランディの弟が産まれるまで続いた。
子供が出来てからは、ランディと住居を別にして暮らしたが、ロイエンとクラリスは口を揃えてこう言った。
『ランディとはたまに会うくらいがちょうど良いと思うんだ』
『ああ、あの子のやり過ぎっぷりは、心に負担が掛かりすぎなのよ』
『アリサ』
アリサは厳しい修行を乗り越えて、回復魔法、体術、剣術を人の限界に達するまで鍛え上げた。
だが、アリサは『人間の限界を超えられなかった』と言って、旅に出たきりエスパルには帰らなかった。
アリサは『人間を超えなきゃお母さんに勝てないから』と言って、エスパルから消えた。
その後、アリサは『幻神の使徒になりました。お母さんを宜しく』と手紙が来たのを最後に連絡が途絶えた。
そして……120年後
「あなた、あなたはその気になればもう30年は生きられるはずよ。私と一緒で良いの?」
「ああ、レジーナと同じ日に墓に入るように、コンディションを調整したんだ。なにを今さら」
ランディとレジーナは結婚をして結ばれた。
エスパルを100年統治をしたあとは、幽神シャングリラの所に身を寄せてひっそりと余生を過ごした。
レジーナはアンチエイジングの使用限界が来てしまい、寿命を迎えた。
ただ、見た目は呪文のせいで40代半ばで、停止したままだが。
レジーナの寿命に合わせて、ランディも寿命を調整して同じ日に逝けるように、体調を整えていた。
『しかし、死ぬ時まで操作できるとは、ほとほと人外だな、ランディ』
「エリュシオン、わざわざ来てもらってすまないな」
『しかし、我々を【王】から【神】に戻した、人外も寿命で倒れるか……』
「シャングリラ、悪いな。だけど僕の甥は徹底的に鍛え上げた。クリエイトフードフリーでスイーツまでは出せる」
『だが、貴様の甥は、若返りの魔法までは使えぬのだろ? あの楽しみも50年もないのか……』
最後にランディと話した神は、幻神パラダイム。
ランディとレジーナの、最期を看取りに集まったのだった。
「パラダイム様、アリサは元気ですか?」
『うむ、妾の加護【幻神の愛】であと20年は生きられようが、見た目はお前たちの倍は老けている。会いたくないそうだ』
幻神の加護は、老化遅延の為アリサは未だ生存していた。
「ふふっ、あの子ったら……」
ランディはアリサの話を聞いてから、自分の寿命が1分もないことを理解していた。
(やはりと言うか、本体とは会うことがなかったか。時間軸まで違う異世界に居られたらどうしようもないが、聞いてるか僕よ。僕は幸せだったぞ。最後の我が儘は僕の死を、最愛のレジーナに看取って貰うことなんだが、それだけは伝えていないんだよな。ふふっレジーナに怒られるかな。レジーナ、僕を幸せにしてくれてありがとう。
お前のハチャメチャぶりは、毎日毎日新鮮だったぞ。僕の体質のせいで子供は産まれなかったけど、悪く思うな………………それじゃ先に行くよレジーナ……また、後でね…………)
「ねぇあなた、聞いてる? アリサったら、あなたに少しでも似た所がある子供を片っ端から養子にしているんですって。 ……ねぇあなた、あなた?」
『レジーナよ、彼の者は既に……』
「はい、わかっています。……でも、それでも声を掛けさせて……だって逝くのは一緒だって約束したのだもの……」
『……ながい時を生きてきたが、たった2人の人間に、妾がこれほど心を動かされるとは……』
『パラダイム、こやつは人外と人外の愛した者だ、仕方あるまい』
『レジーナよ我、エリュシオンが保証する。冥界でもお前らは、同じ場所で眠れることを。話の続きはそこでするがよい』
「エリュシオン様、ありがとうございます。
……すこし疲れましたので、考え事をしていますね……」
『『『ああ、安らかにな……人外ランディの伴侶レジーナ』』』
Fin
皆さまここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
転生したランディの物語はこれで終わりです。
もし、ランディの話をまだ見たいと考えてくださるなら、未熟ですが『異世界に、巻き添え召喚されました』のタイトルでランディが活躍しています。
あと、先日新作を投稿しました。
『あの有名なダンジョンが俺の家にも出現した(仮)』
https://ncode.syosetu.com/n9093fj/
で、現実世界にダンジョンが出現した、今ではよくありがちな話です。
お暇があれば、見てやってください
それでは皆さま、またどこかで……
【誤字王、鹿鳴館】




