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【170話】決着

お待たせいたしました。

今日は時間があるので、滞っていた返信をしよう。

 アカシア軍の司令官と副司令官は、敵を最大限に称賛しながら、全滅間近のアルカディア王国、エスパル軍の報告を聞いていた。


 新司令官は、副司令官の話を聞いて、それらを全て信じて『兵の出し惜しみは、想定外の被害を受け、なお討ち取れない結果を招く』と言って、前線に多くの被害を出してでも総攻撃を指示した。


 そして、わずか数時間でエスパル軍を壊滅目前までに追いやった。


 ところが、前線で大きな音がしてから30分後、2人の司令官に、とんでもない報告が次々ともたらされた。


『み、見たことのない魔法です。その魔法に巻き込まれた者たちは……す、全て死んでいます』

『前線は地獄です、まるで神を怒らせたような……』

『ある者は燃やされ炭に……またある者は氷漬けになっています。そして生き残った兵の内、半数は発狂してしまいました。いったい何が起こっているのでしょうか?』


 一部の報告ですら頭を悩ませていると、更に恐ろしい報告がもたらされた。


「敵の将、あの『アルカディアの悪魔』が命乞いをしながら、逃げていたとの目撃情報が……」

「新たな敵の数は『3』 更に『アルカディアの悪魔』も謎の敵から逃げながら暴れまわって、我が軍は機能しておりません!」


 実際は、人外四人衆とキンジがアカシア軍と戦いとは言えない、駆除に近い戦闘を行っていた。


 あまりにも悲惨な状況の中、アカシア軍は3人の新たな敵を、伝説上で語られていた封印された『神』と断定し、退却を始めた。


 アカシア軍は、国境である谷から自国の駐屯地まで戻り、今後の作戦を話し合っていた。


 神々の怒りが収まった後、再びエスパルを攻める案。


 その意見は多くの否定で白紙になる。


 もう一度神々の怒りを買ってしまえば、アカシア軍は全滅してしまうと。


 さらには、エスパルを制圧できても、アルカディア王都を攻め込む兵力が残されていない。


 軍議が長引けば長引くほどタカカッタ高原にいる、アルカディア軍の動きが把握できなくなる。


 そして、アカシア軍の心をへし折る事件が起きた。


『て、敵襲です!! 敵は人間ではありませんっ! 怪物の軍団です!!』



 ◆

 ◆

 ◆


「ホブゴブ、ボブゴブ。ゴブモー、ゴブホ。ブボブバブ。ホモ、ゴブモブゴボブッ!!」

「ホブー!」「ゴブー!」「ホモー!」

「ホブー!」「ゴブー!」「ホモー!」

「ホブー!」「ゴブー!」「ホモールゴブ!」


 たったこれだけの会話に大きな意味を込められていたホモゴブリン軍団、言葉の意味はこうだった。


(マスターカーズのお陰で、我々の思いを遂げる時が来た。しかし相手の数は10倍以上、命懸けになる。だが裏を返せば好きなオスを選び放題だ。さあ、溜まった思いをケツに吐き出してやろうぞっ!!)


(狙いは30代!)(おろは40代!)

(高官狙いで逝くぜ!)(マスター万歳)

(ケツーケツー!)(ハァハァ出したい!)

(還暦狙いだ!)(おで3Pキボンヌ!)

(護衛がいるから先ずは姦ることから始めよう!)


 いかに強固な軍団とはいえ、相手は10倍以上、冷静に戦えばアカシア軍が有利のはずだった。


 しかし、衝突と同時におっ始めるホモゴブリン軍団、味方を助けようにもアンデッド軍団がそれを阻む。

 結果、陵辱ショーをアリーナ席で見学する羽目になる。


 アカシア軍は、犯された味方を見て、怒りではなく、次は自分の番かもと思い恐怖した。


「逃げろっ! 男として尊厳を守りたいなら、逃げろ!!」


 この陵辱ショーは、呪文の効果が切れるまで続いた。


 何故か後方支援の女性や、新兵は無事だったが、その事実を利用して反撃するまでに、多くの男性が未知の扉を開かされた。


 その中には、司令官、副司令官もまじっていたと言う。


 この陵辱戦争では、驚くほど戦死者は少なく、白濁の海に沈んだ者は全て生存していた。


 ただ、白濁の被害者たちはこれ以降、普通の生活を送った記録はない。




 この戦争を期に、アカシア王国は衰弱していくことになる。


 事実ではないが、幽王や冥王が死の軍団を操ると文献に残っていて、『神々を怒らせたアカシア王国』と語られるようになり、国家間での戦争は宣戦布告の後に行われるのが定着した。



 ◆

 ◆

 ◆



 眠りから覚めた僕の目には、心配そうにしているキンジ、無表情なアーサー、困った顔したガル、悔しそうな表情のカーズがいる。


 僕の呪文ですら治らないこの痛み、カーズなら、カーズなら対処法を知っているだろう。

 多分、知っているからこその表情なのだと思う。


「カーズ、この胸の痛みは何だ? 呪文でも治らないんだ」


 さすがの僕でも、見当はついている。

 ただ、対処法が解らない。


「そうですか、兄さん。そうだったんですね。ガル、どのくらいだ?」


 勝手に納得したカーズは、ガルに質問する。

 言葉足らずだが、ガルはカーズの話を理解している。


「あぁ…………17年と92日ってところだな。誤差は3日もないだろう」


 そうか、僕が新たな生を受けてから、それだけの月日が経ったのか。


「兄さん、あらためて謝ります。救出が遅れてしまい、申し訳ありませんでした。しかし今の私には時間を移動する術がありません。お陰で兄さんが手遅れになってしまいました。悔しさのあまり、暴れてしまいそうです」


 ギョッとして、怯えるキンジは放置しておき、1つの真実にたどり着いたことを考える。


 僕は、あの三神の戦いでやられたあと、強制的に過去へ転生をさせられたのか。


 そして、3ヶ月ぶりと言ったカミーラの言葉……三神と戦った夢を見たときが、僕を転生させた日だったんだ。


 死んでも復活する可能性を考えた三神は、それを避けるために、僕を過去へ送り込んだんだ。


 お陰で、カーズに『手遅れ』と言われる始末。


 こんなに長い間、同じ世界に居たら愛着が湧くのも理解できる。


 この世界をここまで愛してしまっては、この病気を治すのは、僕では不可能だ。


「カーズ、どうする?」


「あまり、やりたくないのですが、これしかないでしょう。アーサー()()を出してください」


「カーズ 本気か? でも わかった」


「兄さん、この世界で、楽しかったこと、嬉しかったこと、強い感情を覚えたことを強く思い出して下さい」


 カーズの言葉の後、アーサーが神殺剣『ラグナロクブレード』を抜き、僕に向かって構えた。


 僕は、そのまま目を瞑った。



キンジ「みなさん説明するっす。今回の陵辱ショーは平和におわりましたが、普段は相手側が数人なんです。そんな少人数であのホモゴブリン共が満足するはずもなく、徹底的にやられちゃうんですよ、カーズさんは拷問に使うそうです。ではまたっす」

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