【154話】美味しい焼きいもの食べ方
焼きいもの話は後半部分です。
今、僕はくじ引きをしている。
ボクたちと不死城に潜るため、人選をしているんだ。
「うわぁぁぁぁぁっ! そんなバカなぁ!?」
「いやったぁ!! 」
くじで当たった同じ2人なのに、反応が違いすぎる。
1人はラッキーボーイのトラジ。
もう1人は、名前は知らないがベルデタルの剣士だ。
トラジを慰めるユタの人々。
ベルデタルの剣士は、他の剣士たちに羨ましがられる。
どうも、ベルデタル剣士とユタの戦士では、温度差が違うんだよなぁ。
出来ればその中間が欲しい。
こういった戦いで頼りになるペンタゴン。
最近めきめき強くなりつつあるダナム。
5歳若返ったせいか調子にのったロイエン。
個人的にロイエンとセットだと思うセナリース。
王宮騎士団からはテスター・バスター。
この5人と、幸運にもくじに当たった2人で、地下城に入る。
僕も入れると8人パーティだね。
今回は、トウセン、サイセンとベルデタルの剣士たちは、地上から不死城の地下6階まで、ボクたちが、ドロップさせたアイテムの運搬係りをしてもらう。
特に、トウセン、サイセンは僕とパーティを組まないのならと、喜んで運搬組を引き受けてくれた。
なんか、腑に落ちないんだけど。
みんな、去年より更に強くなったせいか、ゾンビドッグ、スケルトン、ゾンビ、スケルトンナイト、ゾンビウォーリアをものともせずに駆逐していく。
竜神のギフトを持つ、ダナムとテスターの活躍が光る。
対人戦闘なら、ダナムよりわずかに強いロイエン、セナリースだけど、地下城では立場が逆転する。
トラジも、ソルティ、シュガーに敵みたいに襲われているせいか、日々強くなってる。
僕も、気を引き締めて鍛えないと。
地下7階層で出現するグールも、防御を重点とした戦いをしているので、時間はかかるが、たった2回の被弾で下に降りる階段までたどり着いた。
地下8階層は、強敵ワイトだ。
ここは、ある作戦のため、僕が先陣になった。
「死に属する者よ、無と帰れ!」
「オォォォォォォ……」
「オォォォォォォ……」
「オォォォォォォ……」
「よし、進もう」
「ボンはこんなちっちゃい頃から、異常だったが、今のボンは異常すぎる。なんてぇ者を産んだんだよ、ダンナ」
「セナリース、俺のせいじゃないぞ? 産んだのはクラリスだ」
「過ちを人のせいに、しかも女性に擦り付けるとは、見下げ果てたぜダンナ」
「なんで、僕の存在が過ちになってんのよ?」
一応、脅威度中級のアンデッドモンスターがいる場所で、漫才はやめた方がいいと思うんだ。
「さすが使徒ランディ様、強敵と思われる魔物を触れずに殲滅とは、感動しました」
僕のことを持ち上げるベルデタルの剣士だが、もう少ししたらガンガン働かせますからね。
たまに来るワイトを瞬殺しながら、例のボーナスアトラクションまでたどり着く。
階段を1つ飛ばしと地下10階層に到着する。
ここのアンデッドモンスターは、横取り部隊が全滅したレイス。
今回はこの階層が目的なのだが、ここで戦うには、もう一階層下に降りる必要がある。
よくよく考えると、凄く意地悪なダンジョン設計だと思う。
もしかしたら11階層に直通の秘密の抜け道があるのかな。
レイスも2度ほど遭遇したけど、ターニングアンデッドで破壊して、下に降りる階段までたどり着く。
「なあ、これって、ボンがいなければ、確実に全滅しちまうんじゃねえのか?」
「言うな、セナリース。そんな事はもう気づいてる」
「ひぃっ、やっぱりあのクジは地獄の片道招待状じゃん」
「ふふっ、どんな困難な道であっても、使徒ランディと一緒ならば本望!」
はいはい、場を和まそうとしてるのは解るけど、ダナムやテスターの様に真面目に仕事しようね。
地下11階層は、レッサーヴァンパイア。
目的のアイテムを取るには、先ずこいつを乱獲しないといけない。
そう考えると、嫌らしいダンジョン設計だと今さらだけど思ってしまう。
レッサーヴァンパイアの楽なところは、1回だけ倒せば復活しないのだ。
1体の時は僕独りで、2体の時はペンタゴンに補助役をしてもらい倒した。
ドロップするアイテムは『鋼の剣』ただし『ゴーストタッチ』と言う付加能力がついている。
このゴーストタッチソードはワイト、レイス、スペクター、ゴースト等は普通の魔法剣よりも、ダメージが通るので。
人数分集めたかったんだ。
元々、ペンタゴンに1本持たせていたから、後6本集めればいいのだ。
全員にゴーストタッチソードが行き渡ると、本命のレイスと戦うため、地下10階層に戻る。
「さあ、敵はもう殆ど雑魚だ。受けたダメージは僕が全て回復させるから思いきり逝け。とくにトラジ、情けない真似をしたら、置いていくからな」
トラジも覚悟を決めたらしく、気合いが入っている。
「やってやる! ランディ領主の絶望に比べれば!」
「その通りですぞ、トラジ君。使徒様との幸福を思い出して戦うのです」
暫くワイトとの戦いが続いた。
もう、50体以上は倒したことだろう。
すなわち、ドロップアイテムの『冷却材』が大量に手に入った事を意味する。
これで、ある作戦が実行できる。
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今回、収穫したさつまいもシリーズ8品目。
『紅あずま』『紅赤』『紅さつま』『ひめあやか』
『シルクスイート』『マロンゴールド』『紅はるか』『安納芋』の8品目。
この8品目を、クリエイトフードフリーで種芋を出し、育てさせた。
そして、ユタの町で焼きいも大会を開催したんだ。
8品目も用意したけど、ザックリ分けると2種類
しかない。
若干パサパサして、かたくホクホクになる種類と、やわらかくクリーミーな感じに仕上がる種類だ。
甘みだけ言えば、やわらかい方が勝っているのだが、人気があるのは、かための方だった。
恐ろしい量を焼いてしまったため、人気がイマイチだったやわらかい焼きいもを遺跡のアイテム『クーラーボックス』に入れ『冷却材』を2つ入れる。
実は、クーラーボックスに冷却材を入れると、3日間くらい冷蔵庫の代わりになるんだ。
さらに、冷却材を2つ入れると冷凍庫となる。
そう、食べ残したやわらかい焼きいもを、凍らせるのだ。
実は、出来たてなら、かための焼きいもの勝利だったが、冷めてからだと、やわらかい方が格段に美味しいのだ。
理由は、食べる専門の僕にはよく解らないが、デンプンが熱により糖質に変化するのだが、その変化した糖質の量が違うんだと聞いた。
解りやすく言うと、やわらかい焼きいもは冷めても美味しいし、凍らせても美味しいのだ。
そう、この冷凍焼きいもを、みんなに食べて貰いたかったから、レイスを乱獲したんだ。
僕1人でも出来るんだが、出来るだけみんなが食べる物は、みんなで頑張って欲しい。
苦労や、みんなで作った一体感がさらに、ご飯を美味しくすると信じてるからだ。
実は、凍った焼きいもは、クリエイトフードフリーで出した事があるんだけど、みんなで作った焼きいもは、僕の呪文で出した焼きいもより美味しく感じた。
「よし、もっと作って、ナパの町にも焼きいもを持っていくぞ!!」
「おおっ!!」「おおっ!!」
「おおっ!!」「おおっ!!」
「おおっ!!」「おおっ!!」
今回は、ナパの町全体に行き渡らなかったが、人手が増えれば、次回は大丈夫だろう。
農地は充分にあるからね。
キンジ「みんなぁ、焼きいもの冷凍は、発想できましたっすか? ランディさんが言うように、焼きいもの品種で冷めても美味しいのがあるっすよ。しかしアイス焼きいもを、食べたいがために、あんな強力なアンデッドモンスターと戦わせるんだもの、次回から物語が動き始めるっす」




