『126話』ランディ、変な貴族を見つける
マクドバーダ伯爵とグランデール伯爵に、無事に会うことが出来て、感謝の言葉を伝えた。
そう、第二区画に入れる招待状を見せて。
呆れる2人の伯爵に見送られ、第二区画である城内に入る。
城内の貴族はまだ少数で、これから次々と増えていってる最中だった。
バイオリンに似た楽器を使って、落ち着くような音楽を奏でている。
ここからの警備は、中央騎士団のトップと王宮騎士団になり、特務隊も使用人の姿で紛れていた。
城内の貴族たちも集まり終わって、使用人達が忙しく、グラスを運んでいる。
言っておくが、グラスと言っても作りは透明度のないガラスみたいな物だ。
侯爵のグループは僕らを一目見ただけで、それからの反応はなかったが、王宮騎士どもはこっちをチラチラみるし、使用人に扮したサンとリーは、積極的にビールやワインをこちらに運んで来る。
お酒の宣伝ですか?
「サン、少し言いか?」
「はい、グランドマスター」
その呼び方もやめて。
ロイエンとクラリスが、ジトっと見てるじゃないか。
「ここからは、ずいぶんと気合いの入った貴族が多い様だね。何でか知ってる?」
「はい、ここには派閥を無視した殆どの侯爵が集まっています。横の繋がりを持てるよう、御子息や御令嬢を着飾らせていますね」
そういえば、優雅に会話を繰り広げている貴族の傍らで、年の若い者は、獲物を探すかのようにキョロキョロ見ては、ひそひそ話をしている。
まるで『お父様、あの方は?』『あれは、落ち目侯爵だ無視してよし。それよりそっちにいるのは金持ち侯爵だ、一緒に踊っておけ』『ぐっ、脂ぎったブタじゃないの。妹に任せましょう。それより公爵様たちはまだかしら。わたしの美貌と話術なら1度接触する機会さえあれば……』と言っているみたいだな。
「今回、グランドマスターと同じく、子爵でありながら、第二区画に入ることが叶った貴族がいます。あそこにいるのがその『グッドラック・ダイパピネス子爵』です」
サンの言葉で見たら、60歳近くの品のない服装のジイサンがいた。
品のないと言ったが、金だけは掛かっているのが見て直ぐに判る。
夜道に連れて行けば、あっという間に集られそうな金目の物をぶら下げたような服だった。
「2人の孫が、芸術に秀でていまして、一部の王族と、1人の公爵に気に入られたと言う話です」
なるほど、今回その2人の孫を連れて来てるのか。
僕より少し上くらいの年齢かな。
見ていたら、男女の孫の内、男の方と目が合ってしまった。
すると、みんなを引き連れて僕の方にやって来た。
しまった、見すぎてしまったか。
「やあ。こんばんはだな、失礼だけど家名と爵位を教えてくれないかだな。拙者は、グットラック・ダイハピネス子爵の孫で、オタッキ・ダイハピネスだ。よろしくだな。となりにいるのは妹の『ヤオイ』だな」
「ボクは、ヤオイ・ダイハピネスにゃの。よろしく……にゃの」
小声で喋るヤオイちゃん、ごく一部に好評な芸術家だっけか、どんな芸術なのか知りたくない、絶対に知りたくない!
「僕は、ナナシノ・ゴンベイ。只の護衛なんで爵位はありません。それじゃまた」
踵を返して逃げようとしたのに、焦ったせいか退路にロイエンとクラリスがいたため、進めない。
「待つんだな、少年。君とは他人の気がしないんだな。きっと、拙者と仲良く出来るんだな」
「そう……にゃの」
「あの人見知りが激しいヤオイがここまで、話すなんて驚きなんだな。やはり拙者の勘は当たりなんだな」
大外れだよ!!
なんなんだこの2人は、場違いにも程があるだろ。
いつのまにか、両サイドに陣取られていた。
全く鍛えていない様な身体で、なんで僕の先手を取れる? 意味が解りません。
「そこの息子、ランディ・ライトグラムが父、ロイエンルーガ・ライトグラムです。爵位は子爵で、ランディがライトグラム家の当主をしています。よろしくお願いします」
「ランディの母、クラリス・ライトグラムです」
「同じ子爵家同士、かしこまらないで下さい。我はグットラック・ダイハピネスです。ここは場違いかと思いましたが、あなた方がいて良かった」
良くないわっ!
何で自己紹介してんのよ。
「…………名前、ランディなんだな」
「…………嘘は、だめにゃの」
気がつくと、サンは消えていた。
出来るだけそっけない対応をしているのに、ぐいぐいと来てフレンドリーに話しかけてくる。
やめてっ、可愛い絵の薄い本が好きだったのは昔の話だから。
今は、いくつもの異世界を駆け抜ける、冒険者なんだからっ!
泥沼にはまり掛けた時、ざわめきの後、静寂に包まれた。
演奏も変わり、マーチが流れている。
「我はこれを楽しみに、このパーティに来たのじゃ。まさか城内でこの行進を見ることが出来ようとは。4年前はこれ程の規模ではなかったが、圧巻だった。そのときは遠くから眺めていただけだったが」
ジイサンは行進を楽しみに、パーティに参加していたんだ。
「先ずは、王宮騎士の現役十傑から始まり、特別招待の侯爵、各大臣、来賓、公爵家、王族、最後に主賓と国王が来るのだ」
ふぅん、偉いのが最後ってわけね。
今まで参加したパーティは、主催者以外は順番はでたらめだったから、この国は順番にあんまり拘らないのかと思ってたよ。
城の入り口で、入場してくる人々名前を、大声で叫んでいる。
拡声器を使わないあたり、それがマナーなんだろうか。
次々と入城して、中央を歩き第一区画の二階に向かって歩いている。
時おり、王宮騎士が僕をチラチラと見る。
ちゃんと行進してくれないと困りますね。
「ウエストコート公爵家!!」
あっ、たまに会うダンディなおじさんだ。
エリザさんもいる。
エリザさん僕を見て、すごくニッコリと微笑む
もう1人は、エリザさんの弟かな?
あっ、八武祭で色々奢ってくれたおっちゃんもいるじゃないか。
しかし、みんな僕を見つけては、じろじろと見るから、周囲が『?』マークを浮かべてるじゃんか。
結局、六家の公爵全てが僕を見つけて、じろじろと見やがった。
あれ? 今回は順番が違うのかな? ジイサンの話だと、公爵の前に来賓が来るのに。
あっ、来賓が来たっ。
「アルテシアンナ王国、ゼニクルーガー公爵!!」
「彼は、大国アルテシアンナの王位継承権第七位の大貴族なんじゃ」
ジイサン詳しすぎるだろ。
僕だって、以前の順位しか知らないのに。
「アルテシアンナ王国、ポンドフィバー公爵!!」
「アルテシアンナ王国、ペソヤーマ公爵!!」
「アルテシアンナ王国、ギルダエルダ公爵!!」
「アルテシアンナ王国、フランクルン公爵!!」
「これまでは、王位継承権六位から三位まで順番に登場してきている、まさか」
ジイサンは興奮ぎみだけど、フランクルン公爵は僕を見て微笑みやがった。
いい加減、隠れたくなってきたよ。
あれ? そういえばドルデルガーさんは?
「アルテシアンナ王国、エンカム公爵!!」
「アルテシアンナ王国、ドルデルガー公爵!!」
「知ってるか? アルテシアンナ王国の国王は、世襲制じゃないんだ」
それは知ってるけど、もうドルデルガーさんが王位継承権第一位になったのか。
しかし、感心してる場合じゃなかった。
ドルデルガーさんとトワイライムさんは、こともあろうか、僕の方に笑顔で手を振っていた。
そして、ずっと『?』マークでいた周囲が、一斉に僕を見た。
①「むう、ランディが第二区画の城内に居るだと!? いったい何れだけの貴族に気に入られているんだ? しかしこれで娘が城外に抜け出す事はなくなったな」
②「あなたっ、ランディを見つけたわ。そうあそこにいるわよっ。ほらっ手を振らなきゃ。 えっ『場を考えろ』? 今この立場にいるのは彼のおかげなのよ、さっ、あなた一緒に手をふりましょ」
③「あそこに居るのは、息子を救ったライトグラムじゃないか、戦闘能力は化物級だが、こうしてみると、可愛いじゃないか」
④「ああっ、ランディ!? やっぱりいたわね。でもこの区画にいるって事は、他の公爵や王族にも気に入られているのね。油断ならないわランディを手に入れるのはこの私よ」
⑤「ランディ、やはりいたか……しかし私が見たいのは、お前の武勇伝だ。だれかランディを、襲ってはくれないものか」
○の数字の人物を当てよ。
答えは下記の『』内の人物である。
『メッサー公爵、サウスコート公爵、レジーナ、エリザベート、オステンバーグ公爵、キャンブルビクト侯爵、レオパルダ、トワイライム、マキナス、ウエストコート公爵、イーストコート公爵、ガルサンダー』
1人だけ超難問です。




