【123話】招待状
「おおっ!?」
「これは……」
「やった」
僕とサンジェルマン王子とアルテリオンは、銀のカードを見て、驚いていた。
「かぁぁっ、やりやがったなランディ。まさか、子爵が第二区画に入れるなんてよ」
「そうですか? ランディ君の不思議な魅力なら、あり得なくもないですよ?」
そうか、僕を招待してくれた人に感謝をしなきゃ。
僕なんかに16個の☆をくれたんだもの。
感謝の気持ちを込めて、ガッチリ食うぞ!
どうせ、侯爵軍団に知り合いなんか1人もいないし、はしっこでロイヤルバイキングだ。
「ランディ、早く紙を出せ、紙を」
横から☆の書かれてる紙を出せ、とせっついてくる。
そんなあなたは、星の王子様。
紙を取り出した後、3人で10秒以上時間が止まった。
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ウィルソン国王、☆☆☆☆
フランソワーズ第一王妃、☆☆☆☆
サンジェルマン第二王子、☆☆☆☆
ウエストコート公爵、☆☆☆☆
オステンバーグ公爵、☆☆☆☆
サウスコート公爵、☆☆☆☆
キャンブルビクト侯爵、☆☆
グランデール伯爵、☆
タンサバウム伯爵、☆
マクドバーダ伯爵、☆
ミッドハイト伯爵、☆
ミルグステン伯爵、☆
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えっと……ナニコレ?
「なんだこれは?」
「いや、流石に驚きましたね」
驚いたどころか、名前も知らない貴族が4人もいるんだけど。
しかも、知ってる名前ですら、面識が1、2回くらいしかない。
片側からアルテリオンの声がする。
「王子? 一介の王族が子爵に投票するなんて、問題では?」
反対側から王子様の声が。
「いや、オヤジもオカンもいるだろ? それに俺の投票権は10人だから問題ない。そんな事より、たった2人までのアルテリオンが、ランディに投票するなんて、身内贔屓過ぎるだろ」
ただ今お2人は、意味のない言い争いをしていますが、知らない家名のひとつはアルテリオンのようです。
彼にも感謝を。
「まてまて、あり得ない事だから、気にもしなかったが、子爵が第一区画に上がるには、いくつの☆が必要だ?」
「ちょっと計算しますね。子爵は第4区画で1、第3区画で5、第二区画で10、第一区画で16の☆を消費しますから、32個の☆があればしますから、子爵でも第一区画に上がる事ができますね」
「ちょっとまてよ、ランディの☆はそれくらいないか?」
ぱっと見で、☆の数は判るんだけど、王子達と一緒に指を使って、一緒に☆を数えた。
「げっ、31個かよ!? こんな事になるんだったら、誰か脅して、ランディに☆を入れさせれば良かった」
「王子、国王でもやらないような反則を、考えないで下さい。ブラックなのは特務隊だけで充分です」
「俺は、王子より特務隊でありたい」
「まあまあ、王族や国賓、公爵がひしめく第一区画なんかに入ったら、僕の両親はショック死しちゃいますから、ここあたりが丁度いいはずです。食べ物は庭園と、比べてどうなんですか?」
僕の質問には王子が答えてくれた。
「伯爵には悪いが、出される食材はワンランク違う。ただし、第一区画と第二区画は同じ城内だけあって、出される食材も調理法も一緒だ。ただ、酒は違うらしいがな」
あっ、今の僕は15歳だから、お酒は飲みませんよ。
「うん、それなら問題ない。僕にとってベストなのは、第二区画ですよ。それにしても、アルテリオンの家名ってなに?」
アルテリオンと王子がずっこけた。
特務隊の癖に、大きな隙を見せるとは情けない。
「おおおお、おまえ、アルテリオンの家名を知らないのか? 王都じゃ有名だぞ」
「私も、まだまだでした」
どうやら、表の顔のアルテリオンは、有名な貴族だったようです。
◆
◇
◆
アルテリオンは、情報収集の一環として、女誑し貴族の『アルテリオン・ミッドハイト伯爵』として、多くの女性貴族を情報源としているって聞いた。
あの猛者が、誑し貴族だったとは意外だけど、僕には影響なさそうだし、頭の片隅にしまっておこう。
「ただいまぁ」
豪華な屋敷の一画に、わざと質素にした場所がある。
ここが、僕たち家族が寛げるいくつもの部屋。
その一室で、気を落としたようなロイエンとクラリスが居た。
「ランディ、気を落とさずに聞いてね」
クラリスの僕を慰めるような口調だった。
何も心当たりがないのだが。
「実は、壮大な規模のパーティがあるんだが、ランディは知っているか?」
おお、パーティの噂は脳筋ロイエンの耳にも入っているのか。
「はい、知ってます。サンジェルマン王子の20歳式典と、第一王子が正式に次期国王に任命される式典が同時に開催されるせいで、隣国からもたくさん招待客が来るんですよね?」
「知っていたか。そこらへんは、しっかりとオレの子だから心配していたんだが」
「あなた、心配するところは、そこじゃないでしょ!」
なんだろう?
「そのパーティには、一部の子爵やわずかな男爵も呼ばれるらしいんだ」
ロイエン、それは知ってるよ。
「ランディ、気を落とさないで聞いてね。その招待状は王都では、一昨日あたりから配られているらしいの。でも家には招待状を携えた使者は来ていないの」
ああ、招待状が来ないから、僕を慰めるつもりだったのか。
ロイエン、クラリス、大丈夫だよ。
宮廷料理は、ちゃんと2人を待ってるから。
「ランディには、5年後のパーティがある」
「だから、気を落とさなくていいのよ」
「父さん、母さん、これなぁんだ?」
僕は招待状を2人に見せる。
「なっ、こっ、これはまさか……」
「招待状!?」
「うん、ロベルト王子との勉強中に、直接貰ったんだよ」
心配そうにしていた2人も、元気を取り戻したかのように、表情が良くなる。
「そうだな、ランディならそれくらいやると思っていた」
「あなた、それより中身を見ましょ。どこの伯爵様なのかしら、後日きちんと御礼を言わなくちゃ」
2人は純銀製のプレートを見て、首を傾げてから目を擦る。
「おや、目が曇っているのかな? 雑鉄が光って見える」
「今の技術は凄いのね、鉄製のプレートがこんなに綺麗に輝くなんて」
2人は本気で気づかないのか、現実を直視したくないのか分からんのだけど。
そこへレジーナとアリサがやって来た。
この2人は、家族同然だから部屋は違うが同じ質素にしたエリアに、それぞれの部屋がある。
「ああっ、ランディ! それってもしかして、あの式典後のパーティ招待状!?」
「そうみたいですね。さすがぼっちゃま、純銀製の招待状を頂けるなんて」
レジーナの言葉に、ロイエン、クラリスがそんなわけないと反応する。
「レジーナ、純銀製のプレートなんてあり得るわけがないだろ、ランディは子爵でまだ15歳なんだぞ?」
「そうよレジーナ、でも勘違いしそうなほど綺麗な鉄ね。あら、紙が1枚入ってるわ。もしかしたら……」
クラリスが招待状と同封してあった紙に気づく。
もちろん、誰が僕を招待してくれたかが書いてある。
これ、事前に処分すれば良かったと、後に痛感いたしました。
ロイエンとクラリスは、招待主の名前を見た。
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ウィルソン国王、☆☆☆☆
フランソワーズ第一王妃、☆☆☆☆
サンジェルマン第二王子、☆☆☆☆
ウエストコート公爵、☆☆☆☆
オステンバーグ公爵、☆☆☆☆
サウスコート公爵、☆☆☆☆
キャンブルビクト侯爵、☆☆
グランデール伯爵、☆
タンサバウム伯爵、☆
マクドバーダ伯爵、☆
ミッドハイト伯爵、☆
ミルグステン伯爵、☆
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「ゴキュッ」
「ゴクンッ」
唾を飲み込む、音が聞こえた。
「ラ、ランディッ! あなたいったい何をしたのっ!! 伯爵家が5つもあるじゃない!?」
「クラリス、突っ込むのはそこじゃねぇ! ランディ! なんで公爵様がお前の事を知ってるんだぁ!? しかも六家しかない公爵の内、三家も……半分じゃないかっ!! いいかランディ! 公爵家とは、血筋ももちろんだが、非常に有能でなければなれない程の大貴族なんだぞ! だから保険のために、有能な少年を養子に迎え入れる事も多々あるほどにな。 だから下手な王族よりも恐ろしい存在なんだぞっ!!」
おお、ロイエンが饒舌になってる。
『脳筋ロイエン』を封印か?
「でも、ここに載ってる名前は、下手な王族じゃありませんね」
「ふえぇ、王様、王妃様、王子様の名前だよ」
レジーナとアリサも流石に驚いている。
「ところでぼっちゃま、夫人の枠は私でいいのでしょうか?」
「…………僕は独身なんで、そんな枠はありません」
「そ、そんな……こうなったら今から既成事実を作って夫人の座に……」
「…………アリサ、ビッチを別室で休ませてあげて」
「わかったランディ。もう、お母さんったら……」
アリサに、ズルズルと引きずられるレジーナ。
ロイエンとクラリスがおとなしいと思っていたら、気絶していました。
それから後日。
「農民が呼んでいる、害獣が発生したようだ。出掛けてくる」
「父さんはもう、地主じゃないですからね」
「ランディ、パーティの日は、お世話になっているマクドバーダ伯爵夫人が危篤なの、パーティに行けなくてごめんね」
「あの夫人とは昨日会いましたが、元気でしたよ。後、後日に危篤になるって、なんですか?」
「ランディ、オレとクラリスは旅に出ようと思う。なぁに一ヶ月もしたら帰ってくる」
「あなた、たまには王都を離れるのも、いいですわね」
「はいはい、旅は式典の後に行ってくださいね。ダナム、アリサ、2人の監視を」
そんな訳で、まであっと言う間に、式典の日がやって来た。
?侯爵「くくくっ、ついにランディを見付けたぞ。まさか、ライトグラムに姓を変えていたとは。ランディには、ワシの血をたぎらせた責任を取らせて貰うからな。かぁ~はっはっはっはっ」
ランディ「誰?」




