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創世のクリスタル  作者: ペペペルチーノ!
第一章 動き出すまで
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第二話 魔法訓練

 

 お菓子をたべおえた三人は義兄であるナギルに冒険談をきいていた。

 お陰でナギルとアイザード、シーナ、フレイムの三人組と打ち解けていた。

 

「うんうんそれでそれで?」

 

 フレイムが目を輝かせながら続きを催促する。

 

「こんなにでかいドラゴンが空を飛んでたんだ、あの大きさは帝龍より一回り小さいぐらいの大きさだったよ」

 

 帝龍とはあるおとぎ話で出てくる国を一匹で滅ぼした城よりも巨大な龍だ。おとぎ話では勇者に倒されていることになっている。

 

 5歳になるまでは三人組はよく親のようにしたっている人物によくいい聞かされたものだ。そして話の最後に必ずこういうのだ、いい子にしないと怖い龍がくるぞー、と。

 

「そんなのをみてよく命があったねー」

 

「ハハ、龍は生まれつきの絶対強者なんだ。人間ごときには眼もくれないんだよ」

 

「でもお話では龍は人を憎んでいるって聞いたけど?」

 

 そこでアイザードが口を挟む。

 

「フレイムはバカだなぁ、父さんが教えてくれたじゃないか、龍の友ドランバルルは自分の命をかけて龍の怒りを沈めて盟約を結び世界は平和になりました、って」

 

「む、がり勉野郎め、ちょっと物知りだからって調子にのるなよ!」

 

「は、別にがり勉じゃないだろう。普通に俺は強いし」

 

「殴りあいじゃ俺に勝てないだろ」

 

「だから別に弱いわけじゃ」

 

「二人とも兄さんのはなしを聞こうよ」

 

 シーナがジト目でふたりを見る。

 

「そうだぞ二人とも。ケンカするならもう話は終わりだぞ」

 

『ごめんなさい』

 

 二人のこえが被る。そして二人はクスッと笑いあう。すぐに二人は仲直りをしたようだ。これが二人の関係である。

 

「まあ、お話はこれで終わりなんだけどね」

 ナギルは笑いながらいう。

 

「ふっ、相変わらずナギルはお茶目だな」

 

 といいながら父がはいってきた、その後ろには母もいる。

 母が手をたたきながらいう。

 

「はなしが終わったならちょうどナギルも帰ってきたわけだし、今日から戦闘技術をおしえましょう」

 

 この世界は厳しい。母が張った結界から一歩でもでれば恐ろしい獣におそわれ死ぬかもしれないと三人は教わっていた。なので戦闘技術を覚えることに前向きだった。

 

「おお、じゃあ俺達も魔法とかつかえるのか?父さんが使ってたあの炎がボワァーってなるやつ!」

 

「ボワァー…」

 

 アイザードが呟く。

 

「ああ、あれなら8年もあればできるぞ」

 

 それをきいて母は顔をしかめた。アイザードはきっと八年じゃ無理なんだろうなー、と見当をつけた。

 

「八年かー、長いな」

 

「ハハ、ビシバシ鍛えたやるから覚悟しとけよ」

 

「は~い」

 

 あまり覚悟をしていない声でフレイムが答える。

 

「準備が整ったからはじめるわね」

 

 と母。

 

『は~い』

 

 と三人の声が被る。

 

 母はまずフレイムの額に手を置く。

 

「アビィリティ・スコープ」

 

 と唱え、母の手が強い赤色の光り、そのあと弱く茶色、黄色、と色を変えた。

 

「魔法属性は炎がつよくて地と雷に適正があるわね。」

 

「なかなか強い炎属性の才能があるじゃないか。それを伸ばしていきなさい」と父が続く。

 

「炎の魔法使いフレイム!似合ってる?」

 

 フレイムの言葉に周りが和む。

 

 次に母はシーナを調べると強い白色を発した。

 

「シーナは白。回復魔法に強い適性があるわよ。回復魔法は優しい人にしか現れないわ。その優しさを大切にね」

 

「えへへへ」

 

 シーナは嬉しそうだ。母は説明を続ける。

 

「でも他のことはあんまり才能はないわ。。ひたすら回復魔法を鍛えて攻撃も防御も他の人に任せることね」

 

「攻撃出来ない分俺が守るからな!」

 

「いや、俺がまもってやるよ!」

 

 アイザードがアピールし、フレイムがそれに続く。二人ともじゃっかん頬が赤くなっている。

 

「うん、二人ともありがとう」

 

 シーナは花のような可憐な笑みを浮かべ、二人の少年の顔は更に朱みを増した。

 

「二人ともシーナの騎士様になるのか?頑張れよ?」

 

 と言うナギルにフレイムとアイザードは力強く頷いた。

 二人は最近読み聞かせてもらった騎士物語をイメージしている。

 

 次に母はアイザードを調べる。

 青、赤、黄、茶、緑、白色、と様々な色に光は変わっていく。

 

「アイザード。魔法属性は全部そろってるわ、すごいわね」

 

  こういわれアイザードはフレイムにおもいっきりドヤ顔を向けた。

 すかさずフレイムは中指をたてる。

 

「でもアイザード、フレイムの炎属性の才能にたいしてあなたの最も得意な氷属性はいくぶんか劣るわよ。」

 

「つまりアイザードは手数はおおいけど地力はフレイムにまけるってことだよ」

 

 とナギル。

 フレイムがドヤ返しをしてくる。

 アイザードは内心は悔しかったが無視した。

 

「よし、では基本的なことを教えるぞ」

 

 子供達は一斉に頷いた。

 

「まずは魔法以外の特殊な力、属性について教えよう。まずは闘気についてだ。

 闘気はほとんどの人間が必ず少しは持っているが実践で使えるレベルの使い手は全くいない。気力というものを消耗して引き出すことができてどの属性、力ににとっても弱点になるあらゆるものにたいして絶対優位に立つ最強属性だ。そして闘気をある一定以上使いこなせるものは大抵魔法が使えなかったりする。そのうえ気力を消耗してしまうから短期決戦にしかむかないという弱点もある。歴代の闘気使いの天才と呼ばれた者達の殆んどが最強の名をほしいがままにしたが物量によって潰されたり、戦闘を愛しすぎるがゆえに闘いすぎ、気力が底をついて廃人同然となったものばかりだ」

 

「こわいんだね……」

 

 ボソッとフレイムが呟く。

 

「そうだ。強大な力にはいずれも大きな代償が付きまとう。よく覚えておくことだ。まあ、例外もあるがな……。では、あとはナギル、おまえの方が詳しいだろ、頼んだ」

 

「はいはい。じゃあ残りの力について説明するよ。

 まずこの三つは特殊な魔法という区切りなんだ。身体能力強化に特化した放出系の技が弱い黄色の力。生命を癒す白の力。時空間を操る紫の力。残りの二つは闘気と同じ特殊な力というくくりで星の民を名乗る封魔一族のみが持つという隠密、能力の低下、重力、魔力などの吸収を得意とする緑の力。もうひとつは絶対強者といわれる龍のみが持つ総てを統べる黒の力があるんだ」

 

「色々あるんだね~。覚えきれないや」

 

「頑張って覚えてね、特に封魔一族については僕のパーティーにもいるんだけど彼らは龍を除いた種族のなかじゃ一番身体能力が高いし、敵地や罠への先行、暗殺が得意だから味方にすると凄く役に立つけど敵に回すとメチャメチャ厄介だ」

 

「へぇー、そうなんだ」

 

「うん。じゃあ大体基本的な知識についてはこんなものかな。魔法を実際に練習してみようか」

 

 そういうとナギルは外に出ていく。後には子供達と父と母が続いた。

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 この世界では人類のほとんどは魔法が使える。その実力は大小、差が激しいがだいたいの人は指先から炎を灯すぐらいのことは出来る。

 この程度しかない能力は欠片ほどの能力と比喩されており、戦闘に使えるレベルではない。

 ちなみにアイザードの能力を世間一般的に照らし合わせてみると炎属性は欠片ほどの能力、氷は大天才、他の属性は天才と呼ばれほどの恐ろしい才能だ。

 フレイムは雷が欠片ほどの能力、地は並みで炎は希代がつくほどの天才だ。

 こういう場合、通常二人が戦えばフレイムが圧勝する形となる。

 

 魔法は得意とする属性は相手から受けてもある程度威力が半減でき、例えばフレイムは炎の中に手を突っ込んでも大丈夫だし、アイザードは生まれてから寒さというのを感じたことはない。

 また、魔法は、他者との魔力は混ざり合わないという法則があり、氷属性を持つものは砂漠でなんなく水を作ることが出来るが、その水は魔力でつくられたものであるので他者に分け与えると毒になる。

 

 

 

 

 一同は森に近い野原て魔法の練習をしていた。

 フレイムにはナギル、シーナには母、アイザードには父がついて魔法をおしえていた。ただしシーナは回復魔法以外の力が微弱のため、回復魔法をまず教えられている。

 

 数分がたった。

 

「氷のつぶてよ、敵へと飛来せよ、【アイスアロー】」

 

 アイザードは唱えるが何も起こらない。近くではフレイムが【ファイアアロー】を成功させていた。

 

「で、できないよ父さん」

 

「おかしいな、才能的にはもうできる

 ようになると思うんだが」

 

 アイザードは何度も唱えるがいっこうに発動しない。

 近くにいるフレイムは調子にのっていくつもの火の弓矢を森にはなっており結構燃えている。なにやってんだバカ、というナギルの声がきこえ、氷の魔法が使える父に助けを求めているのが伺える。

 父は凄く爽やかな笑顔を返し手を振るだけで助けにいこうとしない。ので、母が救援に向かっていた。「今日魔法を使ったばっかりなのにもう森を焼きまくるとは…将来が楽しみだ」と父。この言い方だとなにかおかしい気がするが勿論そういう意味ではない。

 これを聞いてフレイムに負けたくないアイザードは焦り次第に涙目になりはじめた。だが焦っても魔法が発動するわけではない。優秀なフレイムにより、結果としてプレッシャーが重くのし掛かり泣き出しそうになったところ。

 

「おい、大丈夫かアイザード。そんなに必死にやらなくてもいいぞ。」

 

 アイザードは首をブンブンと横にふる。

 

「まあ魔法が最初なかなか発動できないやつは…あんまりいないがな…仕方ない」

 

 父がアイザードの肩に手を置く。

 

「いいかアイザードおぼえておけよ?基本的に他者の魔力は拒絶される。例えば身体能力強化の魔法を他人につかえばそれは毒になるんだ」

 

 アイザードは頷いて理解したことを示す。

 

「いまからやるのは魔力流通っていうんだがな。無理矢理お前の体に魔力を通して魔法の使い方を覚えさせるんだ。下級魔法だから毒になるほどにはならんが結構いたいぞ、やるか?」

 

「うん、おれ、やるよ」

 

「そうか、じゃあ目を瞑れ。力を抜いて深呼吸しろ。…いくぞ」

 

 父の手から肩を通して心地よいものが流れてきた。しかしそれは突然、強烈な痛みへと変わった。

 

「ぐ、あ、あぁ」

 

 未だ経験がしたことがないほどの体のうちから滲み出るような痛み。

 いくら押さえようとしてもじわり、じわりと滲み出て刻々と身体中に痛みが回っていく。

 

「頑張れ!もう少しだアイザード!」

 

 歯を食い縛るが声が漏れる。

 その間にゆっくりと手のひらに氷の矢が形成さていく。

 痛みに耐えた数秒後、氷の矢が完成して飛んでいった。

 

「はあはあ」

 

 チカチカとする視界。

 そんなアイザードに父の優しい声がかけられる。

 

「よく頑張ったなアイザード。苦しいと思うがわすれないうちにもう一回やってみろ」

 

 優しい声ではあるが厳しくもあった。

 

「氷の、つぶ、てよ、敵へ、と、飛来、せよ、っ【アイスアロー】」

 

 氷の弓矢が形成され勢いよく木に刺さった。

 意外と上手くいったとアイザードは安堵する。

 

「ゲホッ、ゲホッゲホ」

 

「よくやったな、偉いぞ」

 

 父が背中をさすってやる。

 アイザードが感激しているとこにナギルがやってきた。みると腰をさすっている。

 

「ねぇ、先端が尖ってなかったとはいえとはいえ氷の弓矢がとんできたんだけど、さ。あれ?アイザード大丈夫?」

 

 こちらをにらみながらやって来たナギルだがアイザードの様子をみて心配をする。

 

「ごめん、わざと」

 

 父が悪びれもなく答える。

 

「【エアブラスト】」

 

 ナギルが魔法を詠唱せずに放った。勿論アイザードにあたらないように。しかしそれは父が軽く手をふることによって弾き飛ばされた。

 

「おいおい、このレベルの中級魔法をほぼ無詠唱で放つとは。あぶないだろ」

 

「腕を本気でもぐつもりだったから。ていうかいま放てる最高の実戦的な魔法だったんだけどねこれ。強くなった?」

 

 実際これをこの距離で、魔力高まりからほとんどディレイなしで放たれたら超一級の魔導士でもふせげるかどうかは怪しい。

 そんな攻撃を父は闘気を使って防いでいた。

 

「おれももう年をとったからな、むしろ弱くなったとおもうぞ」

 

「チッ」

 

 そうこうしていると母がやって来た。後ろにはシーナもいる。

 シーナはアイザードを見るなり辛そうなのを心配してくれた。

 

「アイ、大丈夫?」

 

「うん、大丈夫だよ」

 

 アイザードは微笑みながらいう。

 アイザードは痛みをともなう試練をのりこえたばかりなので辛そうにしているのすらもシーナにみせられと誇らしかったのだ。傷付きながら戦うのはカッコいい、という男の子らしい発想で。

 横では母が父を責めていた。

 

「あなた、アイザードに魔力流通を使いましたか?使いましたね?」

 

 怒こっている口調だ。

 それをきき、ナギルも父を責める。

 

「え?父さん魔力流通使ったのは?子供が耐えれる痛みじゃないだろあれ」

 二人が父を責めるのをみてアイザードが口を開く。

 

「いや、俺が頼んだんだ。兄さん、母さん」

 

「アイザード。それは体に」

 

「毒になるんでしょ?全部きいたよ母さん。凄い痛みもともなうって」

 

「アイザードがそういうなら…。一応検査しておくわね」

 母が3秒間アイザードの額にてを当てる。

 

「異常なし」

 

「ふう」

 

 父がため息をついた。母が父に向き直る。

 

「とにかく!子供はまだ魔力回路がしっかりしていないんだから二度とやらないでくださいね!」

 

「ああ、わかってる」

 

 説教タイムが終了した。

 

 父が口を開く。

 

「なあナギル。フレイムは?」

 

「あ、」

 

 その日はアイザードが魔力流通を行ったので魔法の訓練は中止になり、いえにもどったフレイムは皆に慰められていた。

 

「兄さんまで置いてかれた…」

 

「ご、ごめんなフレイム」

 

「兄さん嫌い」

 

「心に傷が!」

 

 誠実なお兄さんキャラであるナギルはガラスのハートの持ち主だ。

 

「キャラが定着してきたな。やったなフレイム!」

 

 アイザードが余計なことをいう。彼はもうすっかり元気だ。

 

「おれの魔法くらうか?」

 

「当てれるの?」

 

「なめんな!よしいまからやろう!」

 

「はいはい明日ね」

 

 と母が注意する。

 

 

 こうして和やかな日常がながれていく。

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