5、協力
「……でっ、あんたら、俺の住処の森をどうしてくれたんだ」
戻ってきた黒い獣は、一面焼け野原になった元・森を見て、呆然としていた。
「だって、炎を消す方法が見つからなかったんですもの」
ククーは悪びれた様子はない。
「俺らは、こんなのを崇めていたのか……。お前も、物好きだな」
黒い獣は首を振ってから、ノールを見やる。しかし、ノールは微笑んでいる。
「妖獣は好きだし、ずっと昔からファイキャトスに会ってみたかったんだし、共に行動できて光栄だよ。……それに本当、綺麗な目」
ノールは、ククーの赤い瞳を見てウットリしていた。
「見る目あるじゃない」
「襲われる立場の人なのに、変わってんな」
嬉しそうなククーとは反対に、黒い獣は引いていた。
「それより、あんた! さっさと町の方角を教えなさいよ!」
「へいへい。ここから南南東の山を越えた所に、変な眼鏡像の町があったぜ。獣なら、一日くらいで着くだろうが、こんなお荷物連れなら、三日はかかるところだろうな」
「……置いていこうかしら」
ククーはチラリとノールを見た。ノールは澄ました顔をしている。
「僕を置いていったら、まずその町に行く必要がないよね?」
「……そう言われればそうね」
ククーはハッとして頷いた。
「ところで、あんたは時を移動する妖獣の存在を知らない?」
ククーは黒い獣に聞いてみた。
「何だ、それ?」
「じゃあ、金の泉と青の森とかいう、人禁制の場所は?」
「あいにく、俺はあんまり森から離れたことがないから、知らんな」
「何だ。翼があるくせに、引き篭りなのね。これなら、ノールの方がまだ役に立ちそうね」
「なっ!? それなら、その時を移動する妖獣とやらを、捜してやろうじゃないか!」
黒い獣は、ククーの言葉にカチンときたようだった。
「あら、引き篭りのお坊ちゃんに、本当に見つけられるかしら?」
「やってやるよ!」
「待って」
翼を広げた黒い獣を、ノールが呼び止める。
「君の名前は?」
「俺はヒョウフライという種族……」
「じゃなくて、君の固有の名前」
黒い獣は目を見開く。
「獣の名前をわざわざ聞いてくるなんて、お前やっぱ変わってんな。……俺はログ」
そう言うと、黒い獣・ログは飛んでいってしまった。
ノールとククーは、見えなくなるまで見送った。
「本当に見つけられるかな?」
「さあ? でも、これで少しは楽できるわね」
「ククーって、いい性格してるね」
「でしょう!」
「……何か、目が離せないや」
ノールは苦笑しながら言う。ククーは一瞬目を見開いたが、何も言わずそのまま目を細めた。




