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13、物真似少女はちょっと走る

「運動って具体的には何するんですか?」


ムシャムシャと焼き魚を食べながら中西先生に話しかける。


「なに、3年生の授業に参加させるだけだぞ」

「なんで1年生が3年生の授業に出なきゃ行けないんですか、普通に嫌です……今日入学したばっかりですし」


まだ自分のクラスすらわからないのに上級生の授業に出るって普通におかしいでしょ……


「大丈夫、ちょっと走るだけだ。お勉強ではない」

「絶対ちょっとじゃない」


これ疲れるやつだ。最悪だー!


食べ終わった私は中西先生に連れてかれて訓練所に到着した。


そこには体操服に着替えた先輩が既に沢山いた。


「誰?」

「中西先生のお子さん?」

「でもうちの制服着てるぞ」

「ちっちゃくて可愛い」


めっちゃジロジロ見られてる。よく考えたら私は制服なんだけどこのまま運動するの?


そんな私の事を全く気にしないで中西先生は先輩達の前まで連れてかれた。


「おーい、お前ら揃ってるな?見ての通り今日はスペシャルな生徒を呼んだぞ。新入生の白百合綾那だ」

「呼んだというか半強制的に連れてかれました」


パチパチと拍手がおこる。


驚いている顔が半分、また中西先生がやらかしたみたいな呆れ顔が半分かな?


私も変な先生に捕まってしまったものだ。


「まあ、白百合が居ても授業内容は変わらないんだけどな。前回と同じく基礎体力訓練込みの異能訓練だ」


うわ、もう帰って良いかな……


先輩達も嫌そうな顔してる。


「お前らちゃんと訓練用魔道具持ってきたな?前回は重力レベル1だったから今回はレベル2な」

「ちょっと話についていけないんですけど訓練用魔道具って何ですか?」


重力レベルとか言ってたし自分を重くして負荷をかけるみたいな感じかな。

そういう魔道具があるのは知ってたけど授業で使うとかお金使ってるねー。


「ああ、2年生からこういう魔道具を使った訓練が増えるんだ、とにかく白百合には予備の訓練用魔道具を貸してやろう」


ヒョイっと私の手に腕輪型の魔道具が渡される。ボタンが二つある事以外は普通の腕輪だ。


「ありがとうございます、私も使うんですね」


へー、かなり頑丈な作りになってるね。それに装備すると自動的に大きさが調節されるようになってる。


「使う時に魔力を消費し続けるが白百合の魔力量なら問題ないだろう?」

「どうせ魔力が無いって言ってもクソまずい魔力回復ポーション飲ませようとするんですよね?手に持ってますもん」

「ん?なんのことかな?」


私が指摘した瞬間に小さなポーチにポーションらしきものをしまった。

あのポーチも魔道具だよね、貸してくれた訓練用魔道具も取り出してたし。


「それで白百合は重力レベルどうする?」

「もちろん最低レベルの1……」

「そうか!最高レベルの5か!」

「レベル5です……」


……最初からレベル5に決まっているようだ。先輩達はレベル2なのに。


先輩達も可哀想な目で私を見ないでよ……


「10分間で訓練所の壁際を何周出来るかの勝負だからなー、白百合に負けた奴は罰ゲームでお昼を1回白百合に奢ること。残り3分で異能を使っても良いこととする、それまでは自力で走れよ」


という事は私が1人を抜かす度にお昼の食費が浮くということか!これはちょっとやる気出るかも。


「じゃあ各自魔道具を起動しろよー」


ぽちぽちと5回ボタンを押した後に魔道具に魔力を流す。ズッシリと身体がすごく重くなってほとんど身動きが取れなくなった。


「いや、まともに走れないんですけど?!歩くのも辛いですよ、これ」


一歩一歩、力一杯踏み出していかないと前に進まないくらい辛い。


「おー、流石白百合だな。まさか走れるとは」

「まさかの走らせる気も無かった?!」


これ絶対勝てないじゃん、勝たせる気無いじゃん。


レベル2の先輩達は若干ふらつきながらも走れているみたいだし。


「ぐちぐち言ってる白百合は無視して訓練を始めるぞ、初め!」

「あ、ちょっと!」


中西先生に文句を言っていたら完全に出遅れた。どうせ勝てないなら適当に走ろうかな……でも負けたく無い気持ちもある。


「あーもう!明日は筋肉痛だよ」

「頑張れー」


手を振っている中西先生を恨みながら全力で身体を動かして前へと進んでいった。


そして5分くらい経過。


「うぐっ、はぁ、はぁ、辛いー!」


まだ1周しか回れていない、もちろん最下位だ。先輩達の中で前の方は4周もしているのにこんなの抜かせるわけが無い。


「あと30秒後に異能使用可能だぞー」


異能を使っても1人も抜かせなさそうだな。身体強化は使うとして……あれも使うか。

あれ使うと酷い筋肉痛になるから普段は使わないんだけどどうせ筋肉痛になる事は確定してるし使ってしまおう。


同時使用は魔力の消費が大きすぎて今の魔力量だと1分程度しか持たないから魔力回復ポーションも飲みながらになるかなぁ。

魔力回復ポーション……くっそ不味いから飲みたく無いんだけどこれも食費削減の為!


「3、2、1……よし、異能使っても良いぞ」


中西先生の合図と共に先輩達もさまざまな異能で走る速度を上げた。


よし、私も……!


「《身体強化》そして……《限界突破》」


急激な身体の変化で全身が熱くなるがそんなことお構いなしに地面を思いっきり蹴り上げながら走った。

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