11、物真似少女は対決する
「まずはウォーミングアップなのである!」
「いや、速っ!」
可奈が地面をひと蹴りしたと思ったらそのまま地面にを滑るようになかなかの速度で私に向かってきた。
そして近づいてきたところを電気の拳で殴りかかってくる。
なんとか鉄の剣で防御するが可奈の電気はそんなものお構無しに鉄の剣を伝って私に直接痺れさせてきた。
「うわ、マジ?」
主に腕が動かなくなりカランと鉄の剣を落としてしまう。
咄嗟に身体強化を発動、身体に魔力が回ったことで痺れを吹き飛ばした。
「鉄の剣を取り出したのは失敗だったであるな!」
「まさか痺れるとは思ってなかったよ」
身体強化してなかったとはいえ魔力量の多い私を痺れさせるとは思っていなかった、魔力量が多いだけで状態異常にかかりにくいはずなのにそれだけ可奈の異能が強力だという事だろう。
「もう身体が動かないであろう?降参するであるか?」
あれ?もしかして可奈はまだ私が痺れていると思っている?反撃のチャンスだ
「私、戦うのは疲れるから極力したくないけど……負けず嫌いなんだよね。という事で戦うからには勝つよ」
すぐに別の剣を異空間収納で取り出した私は可奈に向かって投擲する。
当たったら大怪我をするだろうけど可奈なら避けるでしょ。
「もう動けるのであるか!さすが綾那なのだ!」
結構な速度で投げられた剣をいとも簡単に避けてしまう。
「そろそろ本気で行くのである!電気エネルギーチャージ……フルマックス!」
可奈の纏っている電気がより一層激しくなりさっきよりも速い勢いで滑ってくる。
そして剣を持っていない丸腰の私に思いっきり殴りかかろうとしてきた。
「それ、触れたらやばそうだなぁ」
「火傷するから流石に寸止めしてあげ――ってえええー!」
寸止めする気だったのだろう、殺気が全くなかった可奈の攻撃に私は自ら腕を掴んで足を引っ掛けて押し倒す。
そのまま両腕両足を押さえつけて動けなくした。
「ちょっ、力強っ!退くのである!綾那の手足が使い物にならなくなるのである!」
「じゃあ降参って事でいい?」
「それとこれとは違うのである!」
両手両足からジュウジュウと焼けるような音がして煙も出ている。
身体強化のおかげで痺れたり黒焦げにはならないけど火傷程度はなりそうだ。
「ふぉら、ほへふぁらほーう?」
(ほら、これならどーう?)
口元に異空間収納で短剣を取り出してそのまま咥え、可奈の首元へと向ける。
「う……あー、もう!僕の負けで良いのである!」
「ふぁい、ふぁたしのはち!」
(はい、私の勝ち!)
口に咥えた短剣を収納しつつ可奈の拘束を解いた。
「全く、負けず嫌いにもほどがあるのである……電気エネルギー拡散」
拘束から解かれた可奈は私から少し離れて手足の纏っていた電気を無くした。
パチパチパチパチ
「お見事」
「「え?」」
私たちの横、訓練所の入り口付近から声が聞こえてきて振り向くと明らかに先生だろう背の高い女性が私たちに拍手をしていた。
「授業で使っているクラスがいないにも関わらず訓練所が騒がしいから来てみればまさか新入生が初日から訓練しているとは思わなかったぞ」
「あー……使っちゃダメでした?」
「ごめんなさいなのである」
「いやいや、そんな事はない……見事な戦いだったぞ」
勝手に訓練所を使っていたから怒られるとかではなく普通に褒められた。
良かった……初日から先生に怒られるとか嫌だもんね。可奈も怒らないと分かってホッとしている。
「褒めたところ悪いんだがせっかくだし教師らしくさっきの戦闘の反省を言うとするか」
「う、やっぱり悪いところあるか……」
ま、私も反省点はあるよね。可奈の電気に対して無警戒であったとか怪我とか気にせず無理やり押さえつけたとか。
「まずはそっちのヘッドホンガール、お前は動きが単純すぎる。相手に攻撃を読まれているぞ」
「確かに攻撃自体は剣で防がれたり避けられたりしたのである」
「あとはあれだな、相手のせいとはいえ無差別に相手を怪我させるのはいけないと思うぞ。そこんところの調整を今後上手く出来るかだな」
「はいなのである」
可奈はふむふむと頷きながら先生の話をしっかり聞いている。
「そしてそこの酷い火傷してる奴、お前はあれだ、相手の挑発に乗りすぎ。戦闘の動きはとてつもなく上手いが無茶しすぎだ」
「あはは……」
「それに――」
「それに?」
先生は続けて何かを言おうとしたのだが可奈の方を見て急に何かを言うのをやめてしまった。
「これは本人の前だと可哀想だからやめておくか」
「いや、そんな言い方されると気になるんですけど……」
何を言おうとしたんだろう?
「ま、反省点はその辺にしてその大怪我をなんとかしないとだな。保健室いくぞ」
「え、いや、でも――」
「そっちのヘッドホンガールは悪いが1人で帰ってくれ」
「分かったのである」
「ちょ、自分で――」
なんか流れるままに私はこの先生に連れて行かれた。




