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悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ  作者: 壱弐参
最終章 〜悠久の愚者編(下)〜

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【2026/2/5】◆悠久の遊び

 株式会社銀までやって来た、アズリーの使い魔ポチ。

 ブレイザー、ベティーは出払っていたものの、ブルーツと春華(はるはな)がそこにはいた。


「ブルーツさん、春華さん、こんにちはー!」

「何だよポチ、今日はアズリーが一緒じゃねーのか?」

「マスターはいつも通り魔王ごっこですよ! 今日は忙しいみたいで構ってくれません!」


「まぁ」と軽く口を塞ぐ春華に、ブルーツがニヤリと笑みを浮かべる。


「んまっ、魔王陛下がいねーと、新たな魔王が復活しちまうしな。世界が荒れるよりかはアズリーを魔王にしといた方がお得って訳よ、カカカカッ」

「本当に、ウォレンさんとブライトさんの考えには脱帽でありんすね」


 微笑む春華だが、ポチの反応はイマイチ納得がいかない様子だ。

 それを不審に思った二人が見合って頷く。そしてブルーツが聞くのだ。


「なんでぇポチ、アズリーが魔王だと嫌だってか?」

「そうじゃありません、でも、マスターが魔王なら私の役回りはっ!?」

「魔王の使い魔……じゃねぇのか?」

「何ですかそれ!」


 ポチの迫力に押される二人。


「凄くかっこいいじゃないですかっ!!」


 いつものポチにくすりと笑う二人。


「いいですねそれ、魔王の使い魔……ふふふふ、私が魔王使いになる日も近いですね」

「それは……」


 春華(はるはな)が言いごもるも――、


「いつも使ってるだろ」


 ブルーツがあっけらかんと返す。


「え、そうなんです!?」

「まぁ、使ったり使われたり……良い関係だと思うぜ?」


 そう言われ、ポチは耳を折りたたんで難しい表情をする。


「どうしたんでありんす?」


 春華(はるはな)が聞くと、


「最近、私とマスター……」

「アズリーさんとポチさんが……?」

「マンネリだと思うんです!」


 その発言に目を丸くする二人。


「どう思いますか、春華さん!?」

「いや、俺には聞かねぇのかよ」


 ブルーツのツッコミはポチに耳に入らない。

 しかし、その眼は真剣そのもの。


「マンネリは確かにいけんせんね……」

「でしょう!?」


 だからこそ、春華は一つ提案を出した。


「ここは一つ、別居というのはいかがでありんしょう ?」


 それを聞き、ポチはあんぐりと口を開ける。

 ブルーツが顎先に手を添え、春華の意見に「なるほど」と呟く中、ポチは慌てて春華に返す。


「べ、べべべべ別居っ!?」


 裏返るポチの声。


「一つの案ですが……いかがでありんしょう?」

「別居なんてしたらマスターは一体誰のお腹を枕にするんですかっ!?」

「普通の枕だろ」


 ブルーツがしれっと返す。


「私の毛づくろいは一体誰が!?」

「ポチでいいんじゃねぇか?」

「私にご飯のお知らせをしてくれるのは!?」

「誰かが代わりにやるだろ」

「マスターの鼻提灯を潰す役目は!?」

「潰れないまま朝を迎えるだろうな」

「マスターの実験台には誰がなればいいんですか!?」

「そこはポチも嫌がっておけよ」

「それは確かに……でも!」


 最後には、


「マスターは一体誰のお腹を枕にするんですかっ!?」

「一周が早かったな」


 淡々と返すブルーツ。

 苦笑する春華とニヤリと笑うブルーツを前に、ポチが心配そうな表情を浮かべる。

 別居の言葉を本気にするポチに、春華がポンと手を叩く。


「あ、マンネリといえばずっと気になっていんした」

「何がだ?」


 ブルーツがそれにのり話題を変える。


「アズリーさんとポチさんってずーっと一緒に生活していんすよね?」

「え? そ、そうですけど」

「その長い期間でマンネリ化した時はどうやって過ごしていたんでありんすか?」

「確かにそりゃ気になるな。ポチは確か八百年は生きてる訳だし、そんな時もあったんじゃねーか?」


 そんな話の切り口に、何かを思い出しハッとするポチ。

 そしてニコリと笑ってから二人に言った。


「勿論、沢山遊びました!」

「ほぉ、どんな遊びだ?」

「マスターの研究資料に絵を描いたりしましたねっ!」

「はははは、そりゃ喧嘩が絶えねぇだろうな!」

「はい! マスターがすぐに怒って大変でした! あ、でも」

「「でも……?」」

「沢山絵を描いてたらマスターが怒らなかった時がありましたっ!」

「どんな絵を描いたんでありんす?」

「えーっと……」


 キョロキョロとするポチの探す物を理解したのか、ブルーツは紙の束とペンをポチに差し出す。


「ありがとうございます!」

「ポチ画伯の絵ってのも貴重だな」


 ポチが口先でペンを持ち、アズリーと(おぼ)しき棒人間を紙の中央に描く。


「アズリーさん――」

「――だよな?」


 首を傾げながらも正解を言い当てた二人に、ポチが嬉しそうに「当然です!」と言う。

 しかし、それで完成はせず、そのまま次の紙にまたアズリーの棒人間を描いたのだ。


「アズリー――」

「――でありんすね」


 その次も、その次も……ポチは何枚も何枚もアズリーの棒人間を描くのだ。

 流石に傾げる首の角度が足らなかったのか、ブルーツがポチを止める。


「ちょい待て、こりゃ一体何だ?」


 そう聞くも、


「まだです!」

「あん?」

「もうすぐですから!」


 何枚も、何枚も……。

 春華(はるはな)も小首を傾げ、ブルーツの口元がへの字に結ばれる頃、春華が気付く。


「あら?」

「ん、どした?」

「少しずつアズリーさんの様子が……?」


 そう春華が言うと、ポチがニコリと笑って「流石春華さんですー!」と喜ぶ。

 ブルーツは未だ表情が険しいものの、その限界が来る前にポチの「出来ました!」の声が部屋に響く。


「あんだよ? 一体何が出来たってんだ?」

「ブルーツさん」

「ん? わかるのか、春華?」

「おそらく……」


 言いながらポチの様子を(うかが)う春華。


「どうぞ!」


 嬉しそうに春華に進行を委ねるポチ。

 そう言われ、春華はポチが描き上げた紙の束をまとめ…………パラパラとめくったのだ。

 すると――、


「おっ? おぉ? おぉぉぉ!? なんだこいつぁ!? アズリーが動いてやがるっ!?」


 棒人間状のアズリーが歩き、転び、爆発し、アフロアズリーになった後、泣いてしまう。

 そんな一部始終をポチは描き上げた。


「へぇ~、なるほどな。少しずつ絵の位置を動かす事によって動いてるように見えたのか」


 春華(はるはな)から受け取った紙の束を何度もめくり、動いた絵の正体を知るブルーツ。


「はい! これを描き上げた時、マスターはニヤニヤしながら笑ってました!」

「はははは、確かにこりゃおもしれーや!」

「あい、紙芝居とは違った趣がありんすね」

「でしょうでしょう!」


 胸を張るポチに、ブルーツが聞く。


「これ、何ていうんだ?」

「絵、ですね」

「絵、か。普通だな」

「あ、でも、マスターが――」


 そうポチが言いかけたところで、株式会社銀の扉が開かれる。


「おーいブルーツ、ポチ来てる?」


 そう言ったのは、最初から最後までポチの話題の中心人物。


「よぉアズリー、これって何ていうんだ?」


 そう、アズリーである。

 挨拶はそこそこに、ブルーツはパラパラと絵をめくって動かす。すると、何かを思い出したのか、アズリーは一気にブルーツに迫ったのだ。

 両の肩をガシっと掴まれたブルーツを見た春華(はるはな)が「まぁ」と零し頬を染める。


「ちょ、ちょいといてぇぞアズリー?」

「これはいつぞやポチが描いてた絵じゃないか!? ちょうど描いてもらおうと思ってポチを探してたんだよ!」

「へ?」


 首を傾げるポチに、アズリーが言う。


「新しい国家事業を立ち上げようってイツキとウォレンが話しててな。この動く絵を思い出してポチを探してたんだよ」

「ふ、ふふん! そうでしょうそうでしょう! やっぱりマスターは私がいないとダメなんですからっ!」

「いやいや、一日二日会わなくたって困らないから」


 アズリーがそう言う中、アズリーに付いて来ていたウォレンとイツキが銀のワークスペースに入って来る。


「何ですって!? それは聞き捨てなりませんね!?」

「ポチなんかいなくたって俺は魔王くらい出来るんだよ」

「マスターが魔王なら私は大魔王ですよ! どうです!? ひれ伏しなさい!」

「ポチが大魔王なら俺は巨大魔王だよ!」

「私がマスターに何百年付き合ってあげてると思ってるんですか!?」

「俺だってポチの食欲に何百年も付き合ってるわ!」


 ブルーツがパラパラと絵をめくる際、ウォレンが「ほぉ」と唸り、イツキの目が黄金(こがね)色に光る。


「私のもう私のお腹貸してあげませんよ!?」

「もうポチのお腹借りてやんねーぞ!?」

「それは嫌です!」

「俺もだよ!」

「馬鹿マスター!」

「犬ッコロ!」


 直後、ウォレンがパンと手を叩き、場を支配する。

 皆の視線がウォレンに集まる。

 ウォレンがポチの描いた絵の束を持ち、アズリーに聞く。


「で、魔王陛下。こちらは何という娯楽商品で?」

「えーっと確か……生命が……動くから……そう!」


 アズリーが皆の前で言い放つ。


「アニメーションだっ!」


 聖魔暦未明、ポチ発案、アズリー命名のアニメーション事業が……始まるとか始まらないとか。

皆様、大変お待たせしました!

【悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ】、遂にアニメ化します!


まさか完結した作品にこうしてスポットライトを当てて頂けるとは思っておりませんでした。


水面下で動き、読者の皆様にご報告出来る日をずっとずっと待っておりました。


出版社の方に「2026年2月5日18:00までお口チャック」と言われ、ようやく告知に至りました。


主な告知事項に関しては、

「悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ」の公式X:【@asley_anime】

が作成されておりますので、そちらをご確認ください。


既にティザービジュアルも完成し、上記公式Xに掲載されています!

許可を頂きましたので下記にもペタリ。

挿絵(By みてみん)


微笑ましい一枚です٩( ᐛ )( ᐖ )۶


まだまだお口チャックな情報も多々あります! 追って情報解禁を待つべし!


ここまでこられたのも、多くの読者の方のおかげです。


本当にありがとうございます!!


これからもアズリーとポチを宜しくお願い致します!!!!


壱弐参




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― 新着の感想 ―
更新されてるから何事かと思ったわ。楽しみに待ってます!
アニメ化おめでとうございます!
アニメ化おめでとうございます!
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