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悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ  作者: 壱弐参
第十一章 ~新生・魔法教室編~

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363 ギルドマスター

 ポチを背に、リナを抱きかかえながらエッドの屋敷に戻った俺は、リナを床に寝かせた後、ポチを自室のベッドに放ってから解放軍(レジスタンス)のアジトへと向かった。また後でポチに小言を言われるのだろうが、そんな事は気にしていられなかった。

 時刻は深夜だったが、リナとの食事で遅れる事を予め伝えていたからか、ウォレンは温かく迎えてくれた。


「お疲れ様です、アズリー君」

「ウォレンさん、遅くなって申し訳ありません」

「忙しい身です。気にする事はありませんよ。さぁ、皆さんお待ちですよ」

「皆……さん?」


 はて? トレースやアイリーンでもいるのだろうか? こんな深夜に? もしくはギルドマスターが何人も部下を連れて来ているとか?

 ウォレンに連れられるがまま、俺はアジトの会議室まで足を運ぶ。すると、会議室の中では意外な面々が顔を突き合わせていたのだ。


「がっはっはっはっは! ほれ、一気に平均年齢(、、、、)が上がったぞ!」


 惚れ惚れしてしまう程の胸筋。憧れてしまう程の上腕二頭筋。抱き着きたくなるような――――まぁそれはない。そんな太く荒い声を聞き、俺はその主に驚いた。


「チャーリーさん!?」

「坊主、儂の事を知っとったか!」


 元十二士筆頭、六勇士、千剣万化のチャーリー。元戦士大学大学長で、今はドラガンにその席を任せ、王都守護勇士兵団の団長。彼程の存在を知らない方がおかしいだろう。バラードの母親を殺した男でもあるが――まぁそれ以上に、他のメンバーが気になる。

 俺は会議室内を見渡し、チャーリー含む七人を見る。


「久しぶり、と言っていいのかな? アズリー君?」

「アージェントさん。はい、お久しぶりです」


 白銀(しろがね)のアージェント。戦魔国最強と言っていい程の武闘チームを率いるブレイザーの祖父。銀の初期メンバーのブレイザー、ブルーツ、ベティーは、かつてこのチームに在籍していたと聞く。そうか、戦魔帝ヴァースがこちらの手に来れば彼も味方に引き入れられる……か。彼とはランクSに上がる前、ベイラネーアの南で挨拶をした事がある。非常に高い能力を持った老練な男だ。


「それに、ドラガンさんも」

「ひと月ぶり……程ですかね」


 現六勇士、戦士大学大学長である繊細な虎ドラガン。彼がここに来たという事は、おそらく戦魔国の異質に辿り着いたという事か。自分の目で確認しないと納得しないとか言ってたしな。そういえば彼の弟子でありリナにゾッコンのエッグはどうしているのだろうか。確かチャーリーの王都守護勇士兵団で働いていると聞いていたが?


「そして――」


 俺は少しだけ視線を強く向ける。その先にいた二人は、ふてぶてしく俺をそれ以上に強い視線で見ていた。あれだけの事をやっちゃ怒っても仕方ないけどな。


「――キャサリンさん、ジェイコブさん。お久しぶりです」

「最悪ね」

「ほんと、最悪ですね。よく我々の前に姿を見せられたものです」

「ぐっ」


 い、いかんいかん。彼らに罪はない。性格こそ最悪だが、あの時は職務を全うしていただけ。一番悪いのはストアルームに監禁していた俺。流石にこれは恨まれても仕方ないな。

 博愛の華弁キャサリン、そして剣鬼ジェイコブ。二人とも現六勇士で、ビリーの下についていた。だが、能力は一線級。彼女たちもこちらに引き込めればいいのだが、はたしてそれは上手くいくのだろうか?


「紹介するわアズリー。彼が冒険者ギルド、ギルドマスターの《スコット》よ」


 アイリーンの言葉に誘導され、俺はその男を見た。

 チャーリーがいる手前、大きくは感じないが、二メートルはあるドラガン並みの体躯に隆起した筋肉。そして長く蓄えられた髭。太い眉とオールバックで白髪交じりの黒い髪。灰色の瞳は俺をじっと見つめ、そして目を伏せた。


「スコットだ。話はアイリーン殿から聞いている。過去を救ってくれたそうだな。礼を言う」


 俺はスコットと握手をかわす。まさか過去の事で礼を言われるとは思わなかった。しかし、冒険者ギルドのギルドマスターともなれば、その存続にかかわる事だから普通の人間とは違う感性なのか? それともスコットが特殊なだけか。

 だが、それだけにスコットの印象は悪いものではなかった。彼は俺の目をしっかり見て話し、握手の際、しっかりと目礼までしてくれた。

 スコットが再び席に腰を下ろし、ウォレンが俺をアイリーンの隣の席に誘導すると、俺もそこに腰を落ち着けた。


「それで、この集まりは一体?」

「先程、皆さんには戦魔帝ヴァース様の状態を見て頂きました」


 ……という事はあの強力な催眠状態を見たという事か。

 俺も一度解呪出来るかどうか見させてもらったが、あれは酷い状態だった。完全に自分を人間とは思っていない濃く重い催眠。俺たちの声がないと動けない程だった。

 あれは、術者がヴァースを使い捨て感覚で催眠を掛けた証拠。おそらく術者ですら解呪は出来ないだろう。外れかけたネジを締める事は出来てもな。

 つまり、ヴァースの意識を正常な状態に戻すためには、術者を倒すしかないという事。

 それを見せ、説明したのだろう。なるほど、キャサリンやジェイコブがこの会議室の席に座っているのも納得だ。


「まさか戦魔国の中枢に悪魔が巣食っているとはな。流石の儂でも想像もつかんかった。アイリーン殿が抜けたのにはこういった背景があったんだのう!」

「お気遣いありがとうございます。チャーリー殿」


 アイリーンがここまで謙(へりくだ)るのも珍しい。まぁ、彼にはそれだけの実績も経験もある。ビリーに席を奪われたとはいえ、元十二士筆頭は伊達じゃないか。


「現在、アージェント様率いる白銀(しろがね)も、トウエッドに移動する準備を始めています。そして冒険者ギルドには水面下で動いて頂く事になりました」


 ウォレンの説明内容。

 白銀がトウエッドに来るのか。それは楽しみだな。今まで彼らの実力は伏せられたままだった。アージェントの実力含め、銀にはいい刺激になるのかもしれない。

 そして冒険者ギルドの動き。水面下というのは仕方ないだろう。冒険者ギルドは中立を守っているが故に各国にその支部が置けるのだ。当然、戦魔国にある冒険者ギルド数も数知れない。これを全て動かすというのは無理な話だ。


「具体的にはどういった動きを?」


 そんな俺の疑問に、スコットがこちらを向いて話す。


「何、そこまで冒険者ギルドに力がある訳ではない。その地域の住民を守るという大前提が動くものでもない。しかし、今回、ウォレン殿から空間転移魔法陣を頂いた。今後、冒険者ギルド間で密に連絡が取れるようになる。戦魔国の各地で起こるキナ臭い話をこちらに流し、早目に動く事が出来るようになるだろう。ギルド員は鼻が利くからな」


 確かに、ダンカンのようなギルド員を選べる目が、この人にはあるという事だ。それだけに、ギルド員になるような人物は優秀な者も多いという事か。

 しかし、冒険者ギルドには既に空間転移魔法があるはずでは? ……いや、スコットは今「頂いた」と言った。という事は、これまでは自由に使えない限定的なものだったのかもしれないな。念話連絡だけでは使えない者もいる。一度設置してしまえば、外部から衝撃を当てて壊さない限り、誰でも使える空間転移魔法は、これからも重要になってくるだろう。


「優秀な人材も入った事だしな」


 そう言ってスコットはキャサリンとジェイコブの方を見る。


「うぇっ? キャサリンさんたちはギルド員に?」

「そうよ、何か文句あるぅ?」

「僕たちは解放軍(レジスタンス)なんて組織に入るつもりは毛頭ありませんよ。経歴に傷が付きますからね」


 既に次の雇い手の事を考えてるあたり、本当に強(したた)かだよな、この二人は。確かに冒険者ギルドであれば、各国で中立の位置にいる。

 過去どこにいたかで選んで採用するような職場は御免だという事だろう。今更戦魔国にも戻れないしな。

 しかし、今後何事も上手くいけば、戦魔国の統治は戦魔帝ヴァースの手に戻るのだ。その時にキャサリンたちに声がかかるというのは本当にあるのだろうか。それだけが謎だ。


「戦士大学も概ね同じ動きをします。教育法は少々変えますが、あそこはベイラネーアです。そう簡単には手を出せないでしょう」

「がははははっ! 他の十二士については儂に任せておけぃ!」

「一名程、シュトッフェル殿は扱いが難しそうですが……」


 ドラガンの説明とチャーリーの言葉に俺は頷くも、ドラガンが六法士の一人、無(む)の化面(かめん)シュトッフェルの名前を出した瞬間、アイリーンとキャサリンの顔付きが変わった。

 なるほど、相当な曲者みたいだな。一応覚えておくか。


「さて、これよりアズリー君よりお話があります」


 え、聞いてないけど?

【CM】

2018年8月29日に壱弐参原作・脚本兼、音響監督作品の「ドラマCD」が発売されます。

いえ、アズリーは関係ないんです・x・

でも後書きって自由じゃないですか!

だから自由に書くよ!



2018/08/29発売!

ドラマCD【メイドの土産】

原作・脚本・音響監督:壱弐参

イラスト:月乃

価格:2,160円(税込)


~~~下記、ドラマCD説明~~~


いらっしゃませ、ご主人様、お嬢様方

夢と希望がいっぱいつまったメイド喫茶「メイドの土産」へようこそ!

ライトノベル界の新鋭、壱弐参原作・脚本!

ドジっ子、新人メイド「夕陽」の青春奮闘記がついにドラマCD化!


≪ストーリー≫

ここはエンターテインメントの世界、、、、、

何事もチャレンジあるのみ、、、よっ!頑張るんだもん!

ちょっぴりドジで頑張り屋の少女、「茜」は、メイド喫茶のアルバイト面接に合格し、晴れて念願のメイドになることが決まった。

新人としての初出勤日、「茜」は可愛いメイド服に身を包み、店長の「雫」と相談し御給仕名を茜色の『夕陽』とする。

全身全霊でメイドが描くオムライス、ご主人様リクエストのチェキ撮影、キラキラと輝く初めてのステージライブ、、、

「茜」は、人気という見えない数字の中で働くこととなる。

そして、マイペースな性格の「彩」、勢いとノリで生きている「樹」、不器用だけど優しくて可愛い「透」ら、先輩メイドであり

良きライバルでもある彼女達に囲まれ、「茜」は、笑顔を笑顔で返せるこの場所で日々成長していく、、、。


≪登場人物≫

茜(御給仕名:夕陽)

物語の主人公。元気オブ元気。出勤早々、正面口から入ったちょっぴり困った新人メイド。

小柄な体から包容力あふれるオーラ。あどけない顔つきからこぼれる懸命さがほのかな微笑みを誘う。頑張り屋だけど天然ドジっ子。


彩(御給仕名:ナナ)<花井美春>

普段はのほほんとしていてマイペースで穏やかな性格だが、時々、毒を吐く。

可愛い顔と食事の量がアンマッチ。素敵な文章を書くライターを目指している。


雫(御給仕名:水葉)<朝樹りさ>

メイド喫茶「メイドの土産」の店長兼メイド長。とても面倒見のいい性格。いつかは自分のお店を持ちたいと思っている。


樹(御給仕名:ツッキー)<蒼月ルイ>

ノリが良く勢いがあり空気を読むのも得意なパワフルキャラクター。超絶、歌が上手くて、なんとライブハウスでアイドルもやっている。


透(御給仕名:トール)<茅原実里>

お絵描きは不器用。優しくて可愛くてお客さんからも大人気のメイドさん。声優志望で養成所に通っている。


≪収録内容≫

1.「メイドの土産」プロローグ

2.主題歌「present for you」歌;蒼月ルイ

3.第1話「夕陽、初出勤」

4.第2話「透き通るような絵画」

5.第3話「劇中劇」

6.第4話「夢」

7.第5話「進むべき道」


≪キャスト≫

茜 (夕陽): M・A・O

彩 (ナナ):花井美春

雫 (水葉):朝樹りさ

樹 (ツッキー):蒼月ルイ


メイド1:橘瑠衣

客1:杉浦惇

客2:勝間田啓吾

ファミレス客:島田陵平

受付係:鶯らく

内山:西園礼衣奈

レッスン生1:齋藤瑠伊

レッスン生2、通行人1:北河聖

通行人2:伊垣裕樹


透 (トール):茅原実里


挿絵(By みてみん)


~~~~~~~~~~~~~~



ね、転生孤児とかアズリーを書いている私にきた依頼とは思えないでしょう!

女の子しか出ないよ! 女の子! いや、メイド喫茶の話なので、少しだけ男性客として男出るけど、女の子しか出ないんだよ!(矛盾)




茜 (夕陽): M・A・O

彩 (ナナ):花井美春

雫 (水葉):朝樹りさ

樹 (ツッキー):蒼月ルイ

透 (トール):茅原実里


この声優さん方の豪華さよ・x・


主役をM・A・O(まお)さんがやってくれた事に感動だよ!

茅原実里さんも素敵な芝居だったぜ……!


とまぁ、各声優さんへの感動は私のTwitter【@hihumi_monokaki】アカウントの固定ツイートでも見てください・x・


現状、アニメイト様、ゲーマーズ様のオンラインショップでの販売は決まってるそうです。

進捗がありましたらまた報告させて頂きます。


後程活動報告にも載せておきますね。

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