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悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ 作者:壱弐参

第五章 ~古の放浪編~

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175 …………ん?

投稿が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
「うぅ…………久々に酔ったなぁ……」

 まさかガイルがあんなに飲むヤツだとは思わなかった。
 リカバーを掛ければ回復出来るが、俺は久しぶりのこの感覚に浸り、しばらく味わっていたくなった。
 何だろう。こんなに安らいだのは久しぶりだし、何より楽しかった。
 この世界に来てからかなりの時が流れたが、息つく暇はなかったからな。
 …………ポチズリー商店が懐かしい。
 リナやティファは元気でやっているのか?
 いや、そもそもこの時代からリナたちの事を考えるのは……どうなんだ?
 まだ生まれていないだろうに。
 ……だが、繋がりがなくなったとは思えない。
 俺がこの世界で何をすればいいのか。それがようやくわかったんだ。
 ならやる事は常に一つ。研鑽あるのみだ。

「マスタ~……今日は枝毛が一本もありませんよ~…………今がチャンスですよ~……」

 寝ぼけて何言ってるんだコイツは。
 …………仕方ないな。
 俺は枝毛が沢山あるポチの背中を撫で、気持ちよさそうな寝顔を眺めながら、酔いの余韻に浸っていた。
 しかし、明日からの事を考えると、色々と大変なんだろうなぁ……。
 炎龍がいなくなった事で獄龍の状態がどうなってるのか見たいな。
 おそらく火口の灼熱の海にその卵があるだろう。
 現状では手が出せないが、誕生時期の予測は出来る。生まれたばかりの未成熟な獄龍であれば、それ程苦労せずに倒せるはずだ。
 今回の一件で俺とポチはかなりの経験値を得たはずだ。
 楽しみな事だが、一件が落ち着いた今、夜中に本館へ入るのはまずい。
 明日、限界突破の魔術陣に触れる事にしよう。

「目玉焼き……エッグタルト……生卵……食べたいのに……食べられないですぅ……すぅ……すぅ……」

 本当に持ち帰って来たな、あの卵。
 しかし気になる。もしかしてこのまま孵してしまうんじゃないか?
 鶏とは違う卵のようだが、一体何の卵なんだろう?
 まさか本物の紫死鳥の卵だったりして?
 酔いのせいか、適当な自分の推測に苦笑しながら、鑑定眼鏡を発動する。
 ……………………何だ、ただの孔雀の卵か。まぁそんな大層な卵がクッグ村にある訳もないか。
 食べたらきっと美味かっただろうに。

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 翌朝、外が騒がしくなったので、予定より早く起きてしまった。
 ふむ? もしかして、もうポルコが帰って来たのか?
 このタイミングだと、行ってすぐ戻って来たのかもしれないな。
 一体王都に何の用だったのだろう?
 ジュンの話じゃ、国からの招集なんて頻繁にあるとの事だが、今回ジュンは呼ばれていなかった。
 ポルコに、アダムス家にだけの用という事か。
 ポチはまだ熟睡しているようだ。昨日は無理させてしまったからな。しばらく休ませてやるか。

 身体を伸ばすついでにポルコに挨拶でもしようと思い、俺は外へ出た。
 まだ日差しが少し見える程度の早朝。
 門で馬車を下りたポルコは、何やら大きな荷物を肩に乗せていた。
 ちらりとこちらを見て俺の存在に気付くと、ポルコは屋敷を指差して俺を見た。
 ……入っていいという事か。
 大方ガイルから昨晩の話を聞いたのだろう。ジュンは後程謝るだろうが、フェリス嬢を勝手に叱りつけた事を謝らなくちゃいけないし、ここは招待されておこう。
 それにしても、あんなに大きな荷物、何故使用人に運ばせないんだ?

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 …………なるほど、運ばせない訳だ。

「昨日は大変だったそうだね。まさかあの炎龍の退治をポーア君がしてくれるとは思っていなかった」

 ……………………………………。

「娘の事と、昨日の宴会の事、ガイルから聞いている。君に落ち度は全くない、安心してくれ」

 ……………………………………。

「勿論、領民からの税を使った訳だが、村を救ってくれた勇士に非を問う村人はいないだろう」

 ……………………………………。

「むしろ良い事の方が多い。何しろあの炎龍の角や牙を売れば、そんな事は些事だと思えるような潤沢な資金を得る事が出来るだろう」

 ……………………………………何故。

「そして、王都付近にあった炎龍の巣。今まで誰も手を出せずにいたものだが、危険なこの任務を穏健派に属するフルブライド家、それに仕える人間が被害も出さずに完遂した事は非常に大きい。これを機に穏健派の発言力は非常に大きくなるだろう」

 ……………………………………何故この人は。

「ブライト君も娘も勉強になった事だろう。そして私は今、ポーア君に更なる期待をしているのだよ」

 何故この人は小さな赤ん坊を抱えながら俺に話し掛けてくるのだろうか?

「ふふふふ、よく寝ているな」

 ポルコの部屋に入った時、ポルコは肩の荷を下ろし、その中から一人の赤ん坊を出した。
 そして赤ん坊を抱きかかえ、俺の非を許し、功績を称えてくれた。
 白い赤ん坊服に包まれた男の子とも女の子とも思えない子に、優しく微笑みかけている。

「ふふ、聞かないのかね?」
「……聞いてもいいもんなんですかね」

 その赤ん坊の事を。

「私はこれでも焦っているのだよ、ポーア君」
「焦り?」
「妻が他界してから気付かされた子供の教育の大変さ……身に染みてわかっているのだがね?」

 そうか、フェリス嬢の母親は早くに亡くなっていたのか。
 それも原因とは言わないが、その教育が性格に出てしまっているかもな。
 だがポルコは何を言いたいんだ? 一体何を焦っているのだろう?

「教育の全てを知っているとは言わない。だが、育児とは完全に別物だと思わないかね?」

 なるほど、そういう事か。
 何らかの理由でこの赤ん坊を預かった。きっとそういう事なんだろう。
 俺は悪い予感を脳裏に過らせながら小さな溜め息を吐いた。

「……その子、一体誰から預かって来たんです?」

 もらったのかとか攫ったのか、とは聞けないしな。

「はははは、申し訳ないがそれを言う事は出来ないのだよ」

 どんどん悪い方向へいってる気がするが、ポルコは俺に何を言いたいんだ?

「時にポーア君」
「何でしょう?」
「育児の経験はあるかね?」

 …………ん?

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「マスターマスター大変です!」
「どうしたシロ?」
「見てください! 卵が! 卵がコロコロしてます!」

 ポチの前脚の先には白い卵。
 そしてそれが脈動するように動いている。
 昨日の今日で生まれるとか冗談だろ? こうなると、昨日もし卵を割っていたら…………うぅ……。
 嫌な想像をしてしまった俺は、(かぶり)を振ってそれを追い出した。
 卵の中からコツコツと音が聞こえ、一生懸命に外の世界を目指しているようだ。
 いざ誕生すると怖いのか、ポチは俺の膝元から腹、肩まで登り、俺の頭に前脚を置いてビクついている。
 首が重いってーの。
 ただでさえ腕が疲れてるっていうのに……!

「お、割れ始めたぞっ」
「何でも来やがれですよ!」

 身構えるポチ。いや、流石に敵じゃねぇだろ。
 小さくつつき、徐々にその姿を俺たちの前に現す。
 …………ところで、いつの間にか卵が白から黒になってるのは気のせいだろうか?
 殻を破る(くちばし)も……何だかドス黒い。
 身体も何故か深紫(こきむらさき)に近い黒。
 おかしい、どこかで見たフォルムだ。

「あ、あ……立ちますよ!」

 お前も俺の頭の上で立つんじゃない。

「ぴよっ」
「わんっ!」

 ビビリ過ぎだろお前!
 その年で生まれた瞬間の孔雀に威嚇するとか何考えてるんだ!
 ………………………………孔雀、だよな?

「ぴよっ」
「わんっ! ですよ!」

 むぅ……既にちょっとした魔力をこの(ひな)から感じる。
 この感覚は、今俺の頭の上でキャンキャン喚いているどこかのチキンさんと似ている。
 非常に似ている。そっくりだと言っても過言じゃない。
 孔雀、だよな?
 そう思い鑑定眼鏡を発動し、雛を見てみる。

 ――――――――――――――――――――
 ???
 LV:1
 HP:2
 MP:2
 EXP:0
 特殊:
 称号:紫死鳥・番鳥(仮)
 ――――――――――――――――――――

 …………ん?

「ママママママスター!?」
「何だよ一体」
「何で赤ちゃん抱き抱えてるんですかっ!? ちょ、どこから攫って来たんですかっ! 馬鹿マスター!」

 そうだよな、お前ならそう言うよな。
 あ……おい、大きい声出すから起きちゃったじゃないか。

「…………あー」
「……アウ?」

 ボリュームは合わせるんだな。
 しかし、初めて見る俺やポチを見ても泣かないところを見ると、この赤ん坊――――

 ――――――――――――――――――――
 レオン
 LV:1
 HP:2
 MP:1
 EXP:0
 特殊:
 称号:隠し子・聖帝(仮)
 ――――――――――――――――――――

 …………ん?

「ぴよっ!」
「あー!」

 …………ん?
数話かかると思っていましたが、意外にも一話に丸くおさまりました。
これにて五章が幕となります。

さて本題です。
この度、「悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ」の第四巻が、2016年9月15日(木)に発売致します!!

長く書ける事、長く出版する事が出来るのは本当に皆様のおかげです。

いつも応援ありがとうございます。


情報に関しては活動報告にも記載致しますが、ここでも少しだけCMさせてください。

◆CM◆

①巻末特典
今回の四巻の巻末特典は「フユの一日」というお話です。
フユ、ガストン、コノハ、ヴィオラ、ドン、レウス……そして何故かブルーツとベティーが登場します。
ご一読頂ければ幸いです。

②TSUTAYA様特典
初めてTSUTAYA様のSS特典を書きました!
タイトルは「深罪の森跡地にて」です。
イデア、ミドルス、ナツ、ブレイザーのお話となっております!
アズリーが全壊させてしまった場所でのちょっとした一幕!
こちらも是非宜しくお願い致します。

※特典はまだまだあるのですが、まだ情報が解禁されていない状態です。
今しばらくお待ちください。

③書影
書影が完成致しました!!
今回はあの二人の登場です!

下記、アズリー四巻の表紙となります。ご覧になりたい方のみどうぞ。
なので少し下の方に置いておきますね。































挿絵(By みてみん)
挿絵(By みてみん)


上がティファで、下がタラヲです(逆)。
すぱっつがいいですね、すぱっつがっ!!
裏設定というか、タラヲは実在するモデルがいるので、その飼い主様にデザインのOKをもらいました(ぁ
※編集様に許可はもらってます。

毎度「武藤此史」先生には可愛いイラストを描いて頂いております。
個人的には口絵に出てくるイツキちゃんが好みです!!
そして、あの伝説の肉球スタンプ乱れ押しのページも、編集さんと校正さんに力を入れてもらいました!
挿絵に、ポチは、います!

そんな「悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ」の第四巻が、2016年9月15日(木)に発売です!!
予約も始まっているみたいです!!
是非是非、宜しくお願い致します!!


追伸:2016年9月9日金曜日、十九時からのニコ生出演が決まりました。
そちらの詳細は活動報告に記載させて頂きますので、興味がおありの方は是非ご覧ください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

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