適性検査②
俺とダンテは無言ノールックの低い位置でハイタッチをする。
ちゃかちゃかと鎖の音がして、セレジアが部屋から出てきた。
「仕方ありませんわ……」
セレジアの懐柔に成功。そのセレジアだが、両手に2本の刀を握っていた。
「刀の2本持ちは大変そうだな! それだけで重そうだ」
セレジアは左手で刀2本を握り、右手を左手手首付近に添える。
そして3本目の刀を手首から抜き取った。
「!?」
「!?」
俺もダンテも目をカッと見開いてその瞬間を凝視した。
「いつ見てもびっくり人間だな!! 《内包》ってやっぱギャグだわ」
「てかセレジア、おめえいつから3本持ちになったんだ?」
ダンテが聞く。
「前々からそうでしてよ。基本任務に持っていくのは、このネリンとどっちかの刀だけですわ」
<1313時、フレインの部屋前>
「おいフレイン!! 出てこい!!」
…………
部屋からはウンともスンとも聞こえてこない。
「おい、この扉ぶっ壊すぞ!!」
…………
あの野郎……逃げたか……?
「どこかへ出かけてるのではないですの?」
「カメラでいるのは確認済みだ」
「悪趣味ですこと」
ドアノブを回してみる。
開いてない。
「まあ、開けられんですけどね!」
俺はいつもフレインの部屋に入っているように、ドアの鍵穴部分をもぞもぞといじりだす。
「先行ってもよろしくって?」
「ちょっと待てよ! ほら……こうしたら……すぐに……」
カチャ
「ほら開いた! おいこのチキン野郎!!」
俺は勢いよくドアを開いた。
スッカラカンとした部屋。キッチンには今の今まで料理をしていた痕跡がある。まな板の上に切りかけたネギ。鍋からは湯気が。でもちゃんと火は切ってある。
そして部屋の一番向こう側に見えるのは、開けっ放しの窓だった。
「…………」
「逃げられまして?」
「うるせえ!!」