適性検査①
<1303時、セレジアの部屋の前>
視聴者のみなさん、お久しぶり! 先日はダンテの野郎が任務中に消えやがって、その捜索のために司令室で命令してたよ!! 見せてやりたかったぜ!! 特にイーロスのあの顔よ。
そんなことより今日はターゲット2人をある場所へ連れて行こうかと思いまして、ご覧の通りセレジアの部屋の前に来ています。
もちろんダンテも一緒だ。
「で? セレジアとフレインを誘える算段はあんのかよ」
「ない!!」
「まあせいぜい頑張れや」
「んだよ偉そうに。行方不明者のくせしやがって」
「てめえしばらくそれでせせら笑う気だな?」
「いやなら任務中に音信不通になるもんじゃねえぜ?」
「まあいい、逆の立場になった時、同じように冷やかしてやる」
『この番組はターゲットに人道的なドッキリを仕掛けて、それを撮影、編集し、非公式電波に乗っけて放送するという形でお送りいたします』
ピンポーン
セレジアの部屋のインターホンを鳴らす。
「はい」
セレジアが扉を開けた。セレジアの黒い瞳が見えた。目だけが見える程度にしかドアは開かれなかった。そしてチェーンがかかっていた。
「よお、セレジア。年一の特殊刀適正検査だ。おまえのとこにも紙来てんだろ?」
「来ていましてよ。でもお二人で行ってらっしゃったら?」
「つれねえこと言うなよ。任務で命令したされた仲だろ?」
「そこまで価値のある仲でして?」
「ダンテも助けてくれたお礼に何かおごりたいって言ってるぜ?」
「言ってねえよ」
「で、セレジアは今何やってんだ?」
俺はドアに隙間から部屋の中を覗いた。
モニターがついていて、床には据え置きゲームハード。多分コントローラーはベッドの上にあるのだろう。
「なんだよ、昼間っからゲームかよ」
「ほっといてくださいます?」
「やっぱあのFPSか?」
ゲームタイトルを忘れちまった。ダンテと一緒にチート妨害したのにな。
「そうですわ」
「好きなのか?」
「FPSや格闘ゲームは好きですわ」
「なんで好きなんだ?」
「そう……ですわね……人と真剣勝負ができるからでしょうか」
「ふーん……で、今いいとこなのか?」
「今日は調子がすこぶるいいですわ」
「いっぱい殺せてるのか?」
「そうですね」
「ふーん……」
「…………」
「昼間っから何やってんだよ」
「ほっといてくださいます?」
「なあ、一緒に行こうや。フレインも来るんだぞ?」
なお、まだ囲ってはいない。つまり嘘だ。
「おい、嘘言うな。嘘を」
ダンテがちゃちゃを入れる。
「別に今フレインさんと会う理由はありませんの」
「そうか、じゃあゲームを邪魔するために、この鎖ぶった斬って中へ侵入しようかな? あ?」
「やめてくださいます?」
「どうせ、セレジアも適性検査なんて興味ないんだろ?」
「ええ」
「どうせ行かなきゃなんねえんだし、さっさと済ましちまおうぜ?」
「…………」
セレジアの目線が右斜めへ向く。そして、バタンと扉が閉まった。
俺とダンテは無言ノールックの低い位置でハイタッチをした。




