セレジアのテスト本番
<ジュリアたちが試験を受けた翌日、0853時>
テスト試験場、セレジア・アンデルスタが試験場に入る。100人ほど入れる大きな試験場はすでに人が詰まっていた。能力戦闘員の青い戦闘服が散見できる。
セレジアは自分の席へ赴き、着席する。彼女に焦りも、緊張も見られない。いつも通りのセレジアだった。
少しして、試験官が試験場の前方に現れ、テスト開始の準備をしだした。
セレジアは小さなカバンから筆記用具入れを出し、机に置く。
また少しして、テストが開始された。
セレジアはいつも通り落ち着き払ったゆっくりとした動作で、筆記用具入れからシャープペンシルと消しゴムを取り出す。
問題用紙を開きながら、セレジアはシャープペンシルの先からカチカチと芯を出す。
ビリッ!!
その一瞬、セレジアの右手に鋭い電流が走った。思わず右手が震え、ペンを床に落とす。
思ってもみない出来事にも、セレジアの表情は変わらなかった。しかし、顔を動かさず、目だけを動かし、試験場の中をジロリと見渡す。
別段、怪しいものは何もない。でも……
(あのお二人が、この状況を見てる気がいたします)
セレジアは床からペンを拾う。できるだけペン先を持ち、再びバチッと攻撃されないようにして、机の上に戻す。
戻したペンを素早く分解し、電圧を発生させたと思われる見るからに怪しい機械部分を乱暴に取り外す。
幸い、シャープペン自体はセレジアが以前から使ってたもので、その内部に仕掛けが内蔵されているというものだった。
セレジアはペンを組み直すと、ようやく試験問題に取り組んだ。
一問目の答えを答案用紙にマークする。
「…………」
塗りつぶしたと思われたマーカーが黒くならなかった。シャープペンで書こうとすればするほど、その部分が無残にも擦れ、削れていくだけだった。
シャープペンに入っている芯をよく見ると、黒っぽくなっているただの金属のようなものだった。
さらにセレジアはシャープペンに入ってるすべての芯を取り出し、見てみるも、さっきの芯のダミーであることがはっきりわかった。同じく筆記用具入れに入っているシャー芯入れの中身もすべてダミーであった。
セレジアはそのまま黙って手を挙げた。
「はははははは!!!」
俺はセレジアの右手に電圧がかかったシーンをリピート再生しながら、腹を抱えて笑っていた。
「いい加減止めろよ!! 腹がいてえ」
ダンテも同じく苦しそうに笑っていた。
俺は動画を一時停止した。
「は〜。おっかし……」
「ともに勉強した仲間によくそんなことができるな」
「それはそれ、これはこれだ」