テスト本番 対アウラ 中編
「おはようございます」
ダンテの方に体を素早く向け、アウラはキビキビと言った。
「お前ら同期じゃねえのかよ」
「こっちが言いてえよ。卒業してから敬語になりやがってよ!」
ダンテ、アウラの軍学校卒業……。ん? 卒業が原因じゃなくて……。
「それ卒業うんぬんより、お前が教官殺したからじゃねえのか?」
ダンテはアウラの方を見る。
アウラは視線を逸らし、沈黙した。
「そういうことだ、残念だったなダンテ。大人は大切にするもんだぜ? ましてや優しくしてくれた教官を殺すなんて」
俺はあえて真面目なトーンでダンテに言う。
「その言葉、少しだけ変えて返してやるよジュリア。親は大切にするもんだぜ? ましてや優しくしてくれた父親を殺すなんて」
「うるせえな!!」
「逆ギレすんなって」
そんなこんなしてるとテストの教官がやってきて、テストが開始された。
俺は窓際一番後ろの席、ダンテは中央一番前の席、アウラは一番後ろ廊下側の席。見事にバラバラだ。これは当然といえば当然で、戦闘員も試験は他の一般の奴らとは違う。カンニング防止策として、戦闘員同士の席は離される。
んん……カンニングできねえな……。
おっと誤解を招く言い方だったな。隣の奴の答案を見て、それを考慮し、正しいか判断の上、自分の答案を吟味する。だから、カンニングではない。なんでも自分で考えることが大切だ。
テストは一科目1時間。最初は戦闘技術。まあ、勉強した通り設問を埋めていく。今回勉強した時間は我ながら十分だと思ってるが、なにせ軍学校時代にはさっぱりだったから、見たことも聞いたこともない問題があるのが気にくわない。
が、大体は埋めることができた。
テスト終了。20分の休憩。
今日がテスト期間の最初の日になる。だから、フレインもセレジアも明日以降にテストを受けることになる。
なんか、からかう奴がいねえとつまんねえな……。
部屋最前列をぼーと見る。アウラ・ピインがいる。
ちょっとこいつに何か仕掛けてみるか?
●今日のドッキリ
「アウラの腰を狙う」
腰痛持ちということは、腰が弱点ってことだろ? 狙いたくなるのもしょうがねえよな?
俺は席を立ち上がり、アウラへ近く。
「おいアウラ! 手応えはどんなんだった?」
俺はそう言いながら、アウラの腰を手のひらで叩いた。