睡眠薬 対フレイン 前編
みなさん……こんばんわ……いててて……………………今日も、ドッキリTV……はじまるよ…………
いてててて…………。まだ、腹が痛い……。トイレもあれから何回行ってるんだか…………。
水風呂騒動が一昨日の夜。風邪でダウンしてたのが昨日。
体調はなかなか良くならない。
なんか噂によると、フレインも、セレジアも風邪をひいてるみたいじゃねえか。あ〜あ、俺が風邪引いてなけりゃ、後は襲撃するだけだったじゃん……。くそ……
そんな今日でもドッキリを立案する頭だけは冴えてるんだわ、これが。あ、ターゲットはフレインな。
前回の再生数は130再生…………、みなさん貴重なお風呂シーンだからって見すぎ!!
『この番組はターゲットに人道的なドッキリを仕掛けて、それを撮影、編集し、非公式電波に乗っけて放送するという形でお送りいたします』
●今回の作戦
「フレインに飯を作らせ、一緒に食べるときに睡眠剤を盛る」
四大欲求の食事時……じゃなくて、寝てる時か、狙いは。
フレインの趣味が創作料理なのは知ってる。一昨日俺が風呂場でフレインに「トマト燃やすぞ」って言って脅したじゃん? トマトの栽培はこの趣味に繋がってるわけだ。
ダンテに電話する。
「おいダンテ、割と聞く睡眠薬、一丁」
「はあ……、めんどぐせえ……」
「あ? 喉ガラガラじゃねえか。カラオケはみんなで行かねえと、歌い過ぎちまうぞ」
「てめえ、知ってて言ってるな? 誰かさんのせいで、こっちは喉燃えてるんだよ!」
「声がでけえ! 腹に響く! その火さっさと鎮火させろよ。んなことより眠剤よろしく」
電話を切った。
こっちまで喉が痛くなりそうだ。いてててて……今痛えのは腹だが……。
<兵舎棟フレインの部屋前1934時>
コンコンコンコン
フレインの部屋をノックする俺。後ろにはマスクをしたダンテ。そして、出てきたのは
これまたマスクをつけたフレイン。
「おう、フレイン。元気そうだな。俺、風邪引いて、腹痛くて、食欲もねえんだ。なんか美味しいものでも作ってくれや」
「えぇ……。元気じゃないよ……。ずずっ! 鼻水止まんないじ……」
「でも、カレー作る元気はありそうだな!」
部屋の中から、カレーの匂いがしてきた。
「えぇ……。栄養摂りたかったから……。完全食だし……」
「カレーが完全食かどうかについては置いといて、とりあえずお邪魔します!」
「あっ…………えぇ……………………」
部屋に潜入成功。
意味もなく冷蔵庫を開けてみる。
「うお…… 充実しすぎだろ……」
カレーはもう完成するみたいだ。ラッキー……………………嘘だ。フレインがカレーを作ってるのは調査済み。
俺とダンテはスプーンを持って待機。
「早く食わせろーー」
「さっさとじろーー」
フレインが、カレーを盛った皿をもってくる。結構大盛りだ。
「量多いな……。そっか、動術士は大食いだもんな!」
「個人差はあると思う……。でも、身術士には及ばないよ」
フレインが皿を置いていく。
その時、ダンテがガラガラの声で言った。
「おっと、福神漬げがねえじゃねえが。ありえねえ!」
「えぇ……。喉大丈夫? 冷蔵庫にあったかなあ……」
フレインが台所の方へ行く。
(今だ!)
俺はフレインの皿に茶色い粉末をかける。カレーにかけてもわからないように、茶色く着色済み!
小さいタッパに入った福神漬けを持ってくるフレイン。
そして、3人は「いただきます」の後に、カレーを食べ始めた。
フレインがカレーを食べるのを確認する。ふふっ……勝ったな……。あとは、眠るのを待つだけだな!
15分後…………
「まだ帰らないの?」
フレインが俺たちに言う。
「なんだ? 帰ってほしいのか?」
「うん…………」
「ひでえやつだ! もう少しいいだろ!」
さらに5分後…………
そろそろだが…………。
その時だった。
ダンテが眠りだした。
計画通り…………




