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さらば、情
息をしてない。
それは馬車をひく老いた馬のように。
それは容器の中で固まる塩のように。
それは穴の空いたセーターのポケットのように。
役に立たないばかりの枯れた花のようだ。
嫌なやつにも全然腹がたたなくなっていて。
口角が麻痺したようにだらしなく緩み、
歯を見せて笑うことができるようになっていて。
いつしか私は死んでいたのだ。
かけがえのない感情は
知らぬ間に死んでいたのだ。
誰かが私の感情を盗んで
代わりに激怒していようが、関係なかった。
ピストルを渡したのは誰だったか覚えてはいないが、
引き金を引いたのは確かに私だったのだ。
私が私の大事なものを殺したのだ。
いつのまにか、
それすらも気づかないようにひっそりと、
弱い心を持った私が、殺したのだ。




