プロローグ
初の執筆
32年の人生が終わろうとしている。
両親が結婚してから20年たって産まれた俺は、一人っ子でそれはそれは愛されていた。厳しくも優しく育てられていたが、小学校に入った頃に体に異変が出始めた。思うように指先が動かず、節々が痛み、よく熱を出した。中学高校は繰り返す入退院の為に出席日数ギリギリで卒業できた。大学は諦めた。その頃には体力が老人並みになっていたから…
19歳の時に親父が定年退職を迎えた。いろいろな病院を転々としたが、はっきりとした原因もわからない。自分のせいでかなり金がかかっている事が負担になり、働きたかったが思うように体が動かない。
自殺しようと何度も思った。しかし、こんな俺でも懸命に世話をし、愛し続けてくれる両親を残して死ぬのが心残りでつらい。それに死ぬのが単純に怖い。
22歳からは、ずっと寝たきりだ…。自分を呪い、神を呪い、世界を呪った。両親の負担にしかなっていないと分かっていても、生きてくれ、お前しかいないと言われる事が申し訳なくも嬉しかった。
両親、親族が集まる病室の中で、俺は薄れゆく意識を必死に保ちつつ最期の言葉を交わす。
「………ぉっとぅん………ぉっがっぁん………」
声を出すのもつらく、うまく発音もできない事が悔しい。伝えたい事を伝えられない事が悔しくて堪らない。
「……ぁっ…がっ…とぅぅ………っご・・・めぇ…ん…」
「雄太!しっかりしろっ!」
「雄太・・・雄太ぁぁ」
俺の手を強く握る父、泣き崩れる母。
「先に逝くんじゃないっ…」
「よく頑張ったね…つらかったね…」
「…後の事は任せて、ゆっくり休め」
勉強しろと煩かったが、よく小遣いをくれ可愛がってくれた叔父、叔母達。兄弟のように可愛がってくれた従兄妹達。年も近く仲の良かった従兄弟の正弘兄ちゃんには、俺の死後の両親の事を頼んでいる。
あぁ…くそったれな人生だった。体さえまともに動いてくれていたなら…それだけで人生違ったはずなのにと思わずにはいられない。
「雄太さん!本当に申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁ!!!」
病室で大声を出すんじゃない!まったく誰だ?こんな時に…最後に見たのは古代ローマ人みたいな服を着た少年だった。




