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八百万の神々と千年王国の竜  作者: 涼城 鈴那
最終章「闘神の顕現と究極の依り代」

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235/235

紅月 AKATSUKI

最終話


政樹が我に返った時、木々に囲まれた中空には紅い月が見えた。


「あれ?ここは・・・?あ、そうか。」


政樹は何故こんな所で寝てるんだと、周囲を見渡してそこが稲荷神社である事に気付くと、ようやく己の置かれた状況を思い出した。


『地震警報が鳴って、神社に走りこんだんだっけか。』


政樹は立ち上がると体に異常がないかを確認し、特に何もない事に安堵する。

肩から下げたトートバックの中に妹へ届け物の「防災セット」と私物が無事なのを確認し、稲荷神社に祀られている「宇迦之御魂神うかのみたまのかみ」様へ手を合わせた。


『境内内でお騒がせしました、申し訳ありません。』


心の中で祈ると政樹は月明かりの下、丹い鳥居をくぐって道路へ向かって歩く。

何か長い夢を見ていたような気がするが、その内容は思い出せない。

悪い夢だったりすると起きた時に不安感を引き摺ってたりするが、それもない様だし変な夢ではないのだろう。


道路脇に止めた愛車にまたがる前、何故か『飯縄山』にお礼を言わなければならない様に思えてきて、暗くてはっきりしないが大体の見当をつけた西の方角に向けて、手を合わせた、が、あれ?と気付く。


『・・・何を祈ろうとしたんだっけ?』


何か夢に関係ある気もするが、まぁ良いか。祈るのはいつもの事だ、普段から手が空いた時等に御山が見えたら手を合わせてるしな。・・・夜中に姿の見えない御山を探して手を合わせるのは初めてだが、そう変な事でもない。


その時、周囲の静寂を切り裂いてレッドショルダーマーチの音源が聞こえてきた。

一瞬、『なんだ?』と思ったが、スマホの着信音だとすぐに気付いた。

この着信音は・・・あいつだ。スマホを取り出し通話する。


「もしもし、すぅか?」

『お兄ぃ!!そっち大丈夫だった!?こっちは震度4位だったんだけど!?』


いきなり妹から俺の安否を確認する電話がかかってきた。ん?揺れたっけ?あ、なんか揺れの中何か持って走った覚えが有るな・・・?


「あー、こっちは大丈夫だ。そっちもケガしてないか?」

『ケガはないけど、やっぱ防災セット絶対要るじゃん!?早く持ってきて!!』


安否確認かと思えば「防災セット」の心配かよ!?相変わらず兄を兄とも思ってない我が妹だ、毎度毎度で腹が・・・立たないな?なんか随分懐かしい感じがする。


「解った解った、あと5分位で着くと思うから待ってろ?」

『・・・お兄ぃ、いつもなら怒鳴るのに、なんか変?頭打った?』


政樹が気付いたら神社で寝てたと言うと、やっぱりおかしいから早く来いと言って一方的に通話を打ち切られた。相変わらず自分勝手だな、と思いつつも不思議と腹が立たない事に政樹は多少の違和感を感じたが、まぁ良いかとスマホで時刻を確認した。


『・・・え?なんだこの娘?凄い美人だな?』


政樹はスマホの画面が設定した覚えのない美女の壁紙になっているのに気付いた。

ネットの拾い画像などではない、かなり至近距離でとった写真の様だ。

白い服装に綺麗な黒髪、こちらを見つめる無防備な表情は美しいの一言だ。


でも、なんでこんな画像が壁紙になってるんだ?駐車場で妹に電話した時には普通の現場猫の壁紙だったはずなのに?変える時間なんか無かったよな?というか何処で手に入れた写真なんだ?


無防備にこちらを見ている、特別な感情が込められた表情ではない所為か、こちらの心境次第で却って色んな感情が読み取れそうな写真だな、と思った途端に


「あれ?なんかこの娘に怒られたり、罵られたりしたような・・・?」


いや、怒鳴られたり罵られたりだけじゃなくて、喜怒哀楽全ての感情をぶつけられた気がする。その時の表情も覚えが有るように感じるし、その時の声も・・・?


そして、そんなはずは無いのだが、この娘に対し何故か「妹み」を感じてしまう。

何故かこの子を妹として扱ってしまっている様な、何故か複雑な感情が湧いてきた。

妹の「すぅ」とは似ても似つかぬ美女なのだが・・・・・「スー」・・・?


『・・・スー呼びは仲間内での愛称だ!』

『!?』


政樹はスマホの画面から目を離し、衝動的に天を見、紅い月と目が合った。

其の途端、紅い月明かりに関連した体験したはずの無い様々な記憶が蘇ってきた。


メロン泥棒。狼と盗賊、路上の卒業式、ドラゴンの山、天空の死闘、大宴会、飛行艇、風雪の山越え・・・邪神との死闘・・・・・九尾の狐との暁の邂逅。


『・・・お前は私をスーフェイと呼べ!』


紅い月下の巨大なドラゴンの足元で抱き締めた「白百合の君」。


『・・・スーフェイ』


天空に輝く紅い月明かりの下、暗い杜に浮かび上がる稲荷神社の丹い鳥居の上で、白い身体の「九尾の狐」がにやりと笑った様な気がした。




 「八百万の神々と千年王国の竜」


  ─── 完 ───




「八百万の神々と千年王国の竜」は235話全7章を持って終了します。

永い間お付き合いくださいましてありがとうございました。


余談ですが、主人公「政樹」のイメージはアラサーの頃のB‘zの稲葉さんです。

そんな関係でサブタイトルにB‘zの楽曲名を多数使ったりもしてます。


九尾の狐の名前は「月」を入れたかったのと「キツネ様」繋がりで、ベビーメタルの楽曲「紅月」から。メインヒロインも「SUーMETAL」からスー、妹「鈴香」も中元すず香嬢から取っております。


最終話「紅月 AKATSUKI」のタイトルも九尾の狐「紅月」と作中の主要なイベントに顔を出している「紅い月」から、それと稲葉さんのソロ曲「AKATSKI」、SUーMETALのソロ曲「紅月-アカツキ-」と同名の曲がある事から、政樹とスーが一緒になる暗喩として付けました。


25年7月28日更新の25話から毎日更新しておりましたが、仕事の関係上執筆出来るのは夜の10時頃からとなりますが、26年2月22日の最終話までなんとか連続して更新することが出来ました。

これも更新直後に見て下さった20名程の読者の方が居ればこそ、最後までモチベーションとなりました。重ねてお礼申し上げます、長い間ご愛読ありがとうございました。

また、次回作でお会いできる様活動して参ります。


                 涼城 鈴那 

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