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困惑

あらすじ


マリーは聖女として瘴気を浄化することになり、隣国の聖女ローザたちと共に旅をしていた。

そしてエルヴァー男爵家の領地で旅をしているところに、男爵の長男ダニエルが一行に手紙を寄越す。

そこからダニエルが聖女一行の周りを彷徨き始め、ショマールの街まで共に行くことになってしまったのだった。

 ショマールの街は二時間ほどで到着した。道中、不安視していた魔物はおらず、ダニエルも大人しく馬車で後ろから着いてきただけだ。だが、ローザからすれば、行動を監視されているようで気分を害していたらしい。宿に着いた瞬間「午前中は宿で休むわ」と言って、自分の部屋に入っていった。

 

 テレンスも「様子を見る」と言って、そのまま宿スペースにローザと共に入る。朝早くの行動だったため、全員が自由行動になったのだ。

 マリーも宿の部屋でのんびりと過ごしていた。


 いつの間にかマリーは寝ていたらしく、起きると窓の外が騒がしくなっていた。食事は全員で取ると話していたことを思い出したマリーは、慌ててベッドから飛び降りる。


 すると、コンコン、とドアをノックする音が聞こえた。セルジュかと思い、誰かを確認することなく扉を開けたマリーは、目の前にいた相手を見て固まった。



「マリー様、良かった。いらっしゃったのですね」



 扉の前にいたのは、ダニエルだった。マリーはいきなり現れた彼に困惑するが、ダニエルがその様子に気づくことはない。適当に相手をして扉を締める事ができれば良いのだが、ダニエルの居る位置が丁度扉を閉める時の軌道上にいるので、無理やり閉めると彼に当たってしまうのだ。


 聖女という地位を与えられてはいるが、元々平民で生きてきた彼女には、貴族令息を邪険にする事など、できなかったのだ。



「マリー様、宜しければこの街を案内いたしましょう。この街は我が領内の中でも2番目に大きな街ですし、見応えもあると思いますよ?」



 そう言い終わったダニエルは満面の笑みでマリーを見ており、マリーはそれを見て背筋がゾクゾクするような感覚に陥った。

 それにマリーは聖女で瘴気を消すために来たのであって、この街に観光に来たわけではない。


 

「申し訳ございませんが、遊びに来たわけではありませんので……」

「マリー様にも休暇は必要ですし、いつも訓練しているわけではありませんよね?その時に私がご案内いたしますから」


 マリーは本当に対処に困っていた。やんわり断っても、彼はぐいぐいと押してくる。そしてたまにこちらの話を聞いているのだろうか、と思うほど頓珍漢なことを言ってくるのだ。


 ダニエルの押しに負けそうになり、「そうですね……」と言葉を濁したマリー。ふと彼の後ろを見ると、そこにはセルジュが立っていた。

 セルジュはマリーが困っていることに気づいたのか、こちらに歩いてくる。そして、ダニエルの後ろにたどり着くと彼の肩を叩いた。



「誰だっ……」

 

 良いところで肩を叩かれたダニエルは、顔を真っ赤にして後ろに振り向く。邪魔をされて怒っていたダニエルだったが、肩を叩いた人物を見て、顔が真っ青になった。

 セルジュの顔がまるで般若のような恐ろしい顔だったのだ。


 そして彼のことを思い出す。彼はこの国の勇者である。怒らせたら太刀打ちできるはずもないと……。

 ダニエルは「また来ます」と言って、去っていった。



「セルジュ、ありがとう」


 ダニエルから助けてくれたことに気づいたマリーはセルジュにお礼を伝える。基本的にどんな相手でも邪険にする事ができないマリーは、良いタイミングで来てくれた彼に感謝していた。


「あのままだったら、うんと言うまで離してくれなかったわ」


 そう笑いながらマリーが伝えれば、セルジュの眉間の皺がさらに深くなる。


「……何かあったら俺に言って。助けるから」


 セルジュの思わぬ言葉に、マリーは目を見開く。そんな言葉をかけてもらえるとは思っていなかったからだ。


「ありがとう。その時はよろしくね」

 

 そう笑ってセルジュに伝えれば、深かった眉間の皺はもうなくなっていた。

 

 

ぼちぼち更新で申し訳ございません。

多分こんな亀さん更新だと、話の内容を忘れていると思います。(本人も忘れてるので、一度読み直しました……)


 あと10話もあれば完結できるとは思いますが、完結するのがいつになるかは未定なので、完結したら再度見てもらった方がいいかもしれません!!

 なんとか完結まで持っていく予定ではありますので、のんびりお待ちいただけると幸いです。

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