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血塗れのアリス  作者: 武田コウ
8/8

ジャバウォック

◇ 


死によって生まれた世界は

生まれながらに死に続ける

ああ私には耐えられない


だから私は時間を止めた

今日も世界は狂い続ける

しかし世界は死なないわ

でも、彼は死を望む


ああアリス(始まり)が世界を殺す

ジャバウォック(終焉)が私を滅ぼすの


私は死を望まない

だから時間を止めるのよ


ああ、アリスがやってくる


  ―――そして今日も世界は死ぬわ







 私は目覚めようとしていた。


 それを感じ取った私はひどく悲しい気持ちになる。なぜなら、これから起こるであろう悲劇を誰よりも理解しているからだ。


 私は「終焉」名をジャバウォックという


 意外かもしれないが私にも理性というものがある。

 

 そう、自分の存在がどれだけ危険なものか理解しているのだ。


 しかし私には自分がもたらす世界の終焉を止めることはできない。


 だから・・・来るんじゃないアリス(始まりの少女)よ。この停滞した世界に、君は来てはいけないのだ。


 今、この世界は停滞している。故に私(終焉)は静かに眠っている。時間が無ければ終焉など存在しないのだから。


 ああ、だからアリスよ。この世界を動かしてはならない。君(始まり)が来たならば、私(終焉)は目覚めなくてはならぬのだから……。
















 無情にも私の願いはかなわなかった。永い眠りから覚醒してゆっくりと目を開く。視界の先には鋭い目つきの少女が一人、大ぶりのナイフを片手に佇んでいる。


「ジャバウォック、あなたを殺しに来たわ」


 ああ、そうだろう愛しいアリス。私は体を起こして獣のように咆哮する。


 もう止まらない

 もう、止まれない


 一筋の涙が瞳から流れ落ちたのは幻想だ。そして私は願おう。叶うはずもないそれを、何度でも……



 叶うなら、来世は君と争わぬ未来を……。









私の存在があなたを目覚めさせる

あなたの存在が私をここへ来させたのならば

私たちは二人で一つの存在


だから私たちは殺しあう

だって自分と同じ存在何て気持ち悪いでしょう?



 ―――そして今日も世界は死ぬわ







FIN 

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