ジャバウォック
◇
死によって生まれた世界は
生まれながらに死に続ける
ああ私には耐えられない
だから私は時間を止めた
今日も世界は狂い続ける
しかし世界は死なないわ
でも、彼は死を望む
ああアリス(始まり)が世界を殺す
ジャバウォック(終焉)が私を滅ぼすの
私は死を望まない
だから時間を止めるのよ
ああ、アリスがやってくる
―――そして今日も世界は死ぬわ
◇
私は目覚めようとしていた。
それを感じ取った私はひどく悲しい気持ちになる。なぜなら、これから起こるであろう悲劇を誰よりも理解しているからだ。
私は「終焉」名をジャバウォックという
意外かもしれないが私にも理性というものがある。
そう、自分の存在がどれだけ危険なものか理解しているのだ。
しかし私には自分がもたらす世界の終焉を止めることはできない。
だから・・・来るんじゃないアリス(始まりの少女)よ。この停滞した世界に、君は来てはいけないのだ。
今、この世界は停滞している。故に私(終焉)は静かに眠っている。時間が無ければ終焉など存在しないのだから。
ああ、だからアリスよ。この世界を動かしてはならない。君(始まり)が来たならば、私(終焉)は目覚めなくてはならぬのだから……。
無情にも私の願いはかなわなかった。永い眠りから覚醒してゆっくりと目を開く。視界の先には鋭い目つきの少女が一人、大ぶりのナイフを片手に佇んでいる。
「ジャバウォック、あなたを殺しに来たわ」
ああ、そうだろう愛しいアリス。私は体を起こして獣のように咆哮する。
もう止まらない
もう、止まれない
一筋の涙が瞳から流れ落ちたのは幻想だ。そして私は願おう。叶うはずもないそれを、何度でも……
叶うなら、来世は君と争わぬ未来を……。
◇
私の存在があなたを目覚めさせる
あなたの存在が私をここへ来させたのならば
私たちは二人で一つの存在
だから私たちは殺しあう
だって自分と同じ存在何て気持ち悪いでしょう?
―――そして今日も世界は死ぬわ
FIN