第五話
「そういや、野球チームの件どうなったん?」
「じゅんちょーだよー。なんせ中学で外に出る奴は少ないしね。後は他のメンツも上手い子同士で集まったほうが進学的にも有利ってわかってるし。」
「強い奴らを倒したいって感じのやつはいなかったんだな。」
「居るにはいるけど私らの目標は高校、甲子園だよ。」
「プロ入りじゃねえのか。」
「んー確かにプロ入りも目標だよ。けれどね。それ以上に甲子園ってのは魅力的なのさ。」
わかる。なんでなんだろうな。正直あんなの高校球児を使った感動ポルノと言われたらそれまでなんだけどさ。当事者になったらわかるんだよ。甲子園に行きたい。甲子園で野球をしたい。そこには刷り込みがあるんだろう。アマチュア、しかも野球を越えて日本スポーツの中で年始の箱根駅伝と同様の花形としてピックアップされる。そして、甲子園で活躍したスターがプロに入って活躍したり、逆に活躍できずプロの凄さを実感できるという良い指標になっている気がする。
「で、顔合わせはいつよ。」
「えー、まだ調教が完璧じゃないからねえ。下手したら数の暴力で......ね。普通に今後のキャリアのこと考えたら襲いはしないけどそこは小学生だし、仮に襲わなくてもセクハラがヤバそうだからまだ見のほうが良いよ~。」
「......だったらお前は何なんだよ......。」
こいつはずっとこの調子だ。あれか? 顔か? 俺は控えめに言ってそこまで顔はよくない。下の上があれば上々。N●Rものに出てくる非モテ竿役坊主男子とかそんな感じのだ。それでも生まれてからずっと野獣のような眼光で見られている。それほどまでに男子が貴重。にも拘らずこうして普通に接せられると、なんか悔しい。これって......恋?!
「え、だってそうしたら嫌われるじゃん。私は君が好き。だから表には出さないよ。」
「ふぁ!?」
ふぁ!?
「君は私に優しくて、ふと見せてくれる笑顔が輝いて、私の夢を応援してくれて、帰るとき私の手を握ってくれて、嫌な顔しつつも私に付き合ってくれる。そんな異性が居たら普通好きになるが???」
「お、おう......。因みに顔は......。」
「顔で選べたら苦労しない。」
「イケメンが近くに現れたら......。」
「こちとら君と出会って八年。ずっっっっと! 抱え込んできたんだよ? その程度で揺らぐものか。」
「ヒエッ。」
俺はとんでもないパンドラの箱を開けたのかもしれない。俺に対して告白(と言っていいのかわからないが)していた瑠那の眼は小学生の眼というにはあまりにもドロドロしていた。因みにその後興味本位で俺について聞いたら思ってたよりも数倍返って来て怖かったことは内緒だ。
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返ってきた返答
「えーっと、まずは最初に出会った時だね。あの時はまだ被害を受けていなくて目が輝いてたね。今の目も勿論好きだよ? それで、私の手を迷いなくとって遊ぼうと言ってくれたあの時。私は君に恋に落ちたんだ。そしてそのあとすぐに同じ保育園に行ったね。ずっと一緒のクラスで遊んだよね。私は君の後ろを君の手に引かれながらいたことを今でも鮮明に思い出せるよ。そして私がイジメみたいなことを受けたらだれにも話していないのに君だけが気付いてくれて私を守ってくれた。その時私は君が離れることが嫌になった。それで小学校に上がった時私が君を守らなきゃいけなかったのに守れず、辛くて悲しい思いをして女子皆嫌いになっても不思議じゃなかったのに私だけを受け入れてくれて、本当にうれしかった。だから私は決めたの。私は、私だけは君の味方になりたいって。あ、あとさっき言った意外にも勿論好きなところもあるよ? 例えば、普段は大人みたいな立ち振る舞いをしようとしているのに自分の好きな球団が負けるとすぐに年相応になるところとか、好きなことに対して話すときは若干声が上ずって話し相手の目を真正面から見るところとか、怒られてる時に納得がいかなかったら目を細めるところも好きだよ? 後は「もう! もういい! 俺が恥ずかしくなる!」えー、しょうがないなー。そういった褒められたらすぐ恥ずかしくなるところも好きだよ?」
「ああ、そう! ホンマニハズカシイ」
因みに上記のセリフは噛むこともなくフル詠唱だった。しかもさっきと違って純粋な目で語ってたから余計に怖さが......。
「さいごー。」
「ん?」
「好きだよ。」
「......あんがと。」
「フフフ」
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