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「ハインツ、ハインツは、、、そのす、好きな相手はいない、のか?」
あれからエルヴァも僕もだいぶノアールと打ち解け、最初の頃よりずっと気軽に話ができるようになった。
エルヴァも満更ではないようでノアールが家に来る日はニコニコと嬉しそうにしているばかりか
少し位は見た目を気にしろと僕の寝癖のチェックまでしてくる始末。
僕はエルヴァのように気を使う必要はないのだけれど、と内心ぼやきながらもハネている髪の毛に手をやればノアールが好きな相手がいないか聞いてきた。
「えっと、ソーデスネ。」
恥ずかしながらもう来年にはアカデミーへの入学が控えているのに、そういう色恋話の一切がないのが居たたまれない。
もう少し見た目が良ければエルヴァのように早い時期に婚約の話が自分にもきてたかもしれない
けれど
特徴と言えば、薄っすらそばかすが乗っかる肌に低い鼻
それから貧弱な体。
こんな僕のところに嫁ぎたいなんてご令嬢いるはずもなく、どこぞに紹介できるようなものでもない。
そして僕も僕自身のことよりエルヴァのことばかりが心配で、自分のことなんて考えてもいなかった。
よほど不憫に見えたのだろう、僕の返事に言葉を失うノアール。
エルヴァまでもがため息混じりに僕のことを見ていた。
補足
ハインツ14歳
ノアール10歳
アカデミー入学は15歳から卒業は18歳という設定です。