初恋
好きなやつがいた。今にして思えば、幼稚な恋だった。
生まれた時から家が隣で親同士が仲が良く、よく遊んでいた。よくいる幼馴染だった。一番近くにいた異性で何か特別なきっかけがあったわけではないと思うが気がついたら目で追っていた。
幼馴染の目が好きだった。キラキラと輝いていて、色んなものを映す。俺が見れないところまで。世界の全てを見渡すように。
しかし、運命というのはあまりにも残酷だった。
お互い同じ高校に進学が決まってまた一緒だね、なんて笑いあってた頃だった。ある日の下校道で、彼女が事故に遭った。
救急車が呼ばれて必死の救助活動が行われたが、病院に到着した頃には手遅れだった。
「ご臨終様です」
白い布が掛けられた顔は、もう誰も映すことはない。
光も、世界も、……自分も。
幼馴染の両親が泣き崩れる。俺は、その声を聞きながらただ呆然としていた。愚かにも、その時に自分の恋心を自覚した。
それから呆然としたまま葬式が始まった。坊さんがお経を読む独特なリズムの声、クラスメイトや近所の人たちのすすり泣く声。色んな音が混ざり合い、その中でも俺は確かに聞こえた。
「でもよかったわね……。目だけは適合者が見つかったんでしょう? それだけ残っただけでも……」
ぶわりと、全身が粟立った。……目が、目が残っている……? あいつじゃない、俺の知らないどこかのヤツの中で?
……息を、ゆっくりと吐き出す。……いいじゃないか。自分が死ぬんだったら、自分の使える部分は生きて困ってるヤツに渡してほしい。その考えは、ひどくあいつらしく映った。
それでも、それが納得できない自分がいた。それはただの我儘だったかもしれない。醜い嫉妬だと言われたら、きっとそうだ。
噴き出る感情に名前は付けられず、感情の行き場は見つからず、ただ俺の胸に燻って俺は幼馴染のいない高校の校門を通った。
まだ緊張しています…




