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第21話(AH1-21)

俺たちは物理攻撃に対して超高防御力のシードラゴン鱗鎧を身に着けている。

しかし、ファイヤドラゴンの必殺技はパーティー全体への灼熱ブレスである。

300℃を超える超高温熱風に包まれるため、致命傷を伴うひどい火傷は回避不能である。

つねに回復魔法をかけ続けてもらわないと死んでしまう。


暗闇の中、俺は単身で地下組織ビーナス自衛団のアジトの前で張り込みをしている。

ミシェルは普段はほとんどをアジトや市街で過ごしているが、明日はイローストン公爵邸で騎士団の大々的なファイヤードラゴン討伐の出陣式が執り行われる。

ミシェルは公爵の妹として出席するはずである。

そのために、今夜、こっそりと公爵邸へ戻るはずである。


真っ黒なローブをはおり、フードで深く顔を隠している細身の人物が現れた。

そしてすぐに、これまた真っ黒なローブをはおり、フードで深く顔を隠している高身長な人物が世寄り添うように現れた。

俺にはミシェルと騎士団長だとすぐにわかる。


しばらく後をつけていくと、二人が公爵邸とは違う方角へ進んでいく。

まあ、気配を完全に消さずに、ばれるように後をつけているので、ばれたのだろうとおもいつつそれに従う。


街はずれの広場で二人が振り返った。

高身長の人物:「何者だ?」

と低くゆっくりと静かに殺気をともなう声でいった。


俺:「・・・」

高身長の人物:「答えぬなら、成敗させていただく」

そういうと、高身長の人物は大剣を構えた。


俺も鉄のロングソードを構える。


お互いに隙がなく、飛び込むタイミングが計れない状態が続いた。


細身の人物:「両者ともそこまでよ。あなたの目的は何なの?」


俺は構えを崩さずに答える

俺:「単刀直入にいうが、ファイヤードラゴン討伐のために仲間になってほしい」

細身の人物:「それは私たちのどちらにいっているの?」

俺:「あなたです。ミシェル」


高身長の人物は驚いた雰囲気をだしたが、構えは崩さない。

細身の人物には動じた様子はない。


ミシェル:「あなたは冒険者ギルドで会った方ですね」

俺:「そうだ。覚えていてくれたか」

ミシェル:「あなたが何者なのかはわかりませんが、ファイヤードラゴンを倒す自信があるのですね」

俺:「そうだ」

ミシェル:「いいでしょう。彼を倒すことができたなら話を聞きましょう」

俺:「わかった」


やはりこうなったか、高身長の人物、つまり騎士団長は強い。一撃をもらうのは覚悟しないといけない。

その一撃後の一瞬の隙をつくしか勝つ道筋がない。

痛いのは嫌だけど、いたしかたない。

RPGだと体力が減るだけで痛さはわからないけど、現実は痛いんだよね。

それに現実だとステイタス・ウィンドウを開かないと残り体力がわからないし。

そんなの見ていたら、その隙に騎士団長に殺されてしまう。

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