no.25
「篤武せんせえ。
問題集終わりました!! 」
アタシは篤武の前に『ばっちり解る きらきら中学英語―基礎編―』
を置いた。
篤武は小説を閉じると、問題集の答えあわせを始める。
「なんだ、以外に出来てるじゃないか。
多少のケアレスミスはあるけどな」
そういうとアタシの頭をふわっと撫でる。
アタシは彼のそういうところも好き。
「じゃあ、ご褒美をあげよう」
そう言うと、彼はカバンからなにかを取り出した。
「なに?? 」
アタシは期待して、彼の手にあるものを見る。
「……ナニコレ? 」
「ま、頑張れ」
彼はそう言うと、また小説を開いて読書を始める。
アタシの目の前には『ばっちり解る きらきら中学英語―応用編―』と書かれた、
一冊の問題集がその存在をアピールするかのように銀色の文字をピカピカと輝かせている。
――今度は応用編なのね。
なんなのよ! もぉ!!
こうなったら、オベンキョーも出来る、賢い美少女になって、
篤武をびっくりさせてやるんだから!!
小説に夢中の彼を睨んでやろうと思ったんだけど、
彼の横顔におもわず胸がどきどきした。
――やっぱり、アタシは篤武にやられすぎだ――
赤くなった顔を彼に見られないように、アタシは問題集に目を落とす。
こうしておばかなアタシには、ちょっと不釣合いの、
すこーし意地悪な年上カレシができた。
ちなみに(仮)が取れたのかは謎。
だって、「アタシ本物の彼女? 」なんて聞けるわけないし。
もし(仮)だった場合は、かなりの大ダメージだし。
そんな感じで、アタシはカレシに振り回される高校生活を
送ることになった。
帰宅部だったアタシが、料理部に入ることになったのは、
また、後日のお話。
それまで、シーユーネクストタイムってことで。
って、続くの?!