8.エピローグ
「ディアス様!またこんなに書類をお溜めになって!!」
執務室には俺の可愛い婚約者の声が木霊する。俺は資料を睨めながら、
「どうしても、この地域でここまで予算をかける意味が分からないのだ。勿論道の改修は必要だと思うのだが…──」
「それはですね…──」
まだまだな俺にルティナは一から説明してくれる。それをひとつひとつメモを取りながら必死に考えていると、ふっとルティナが微笑んだ。
「お変わりになられましたね。」
「ああ!いつかはルティナに頼られるような伴侶になりたいからな!」
「ふふふ。それは頼もしく思いますわ」
嬉しそうに微笑むルティナが可愛すぎて、仕事への集中が切れそうになってしまう。
どうして俺は今までルティナの魅力に気づかずに過ごせていたのだろうと不思議に思うほどだ。今ではルティナ以外の令嬢には全く興味は無いし、なぜセルーデにあれほど惹かれていたのかも思い出せない。
セルーデは階段で王族に危害を与えた罪で修道院へと送られ一生幽閉になるそうだ。俺にルティナと仲違いするように色々な嘘を吹き込んだことも分かり、学園でのルティナへの誤解も解かれている。
見抜けなかった俺も愚図だが…
本当女って怖いなと身をもって知ったのだった。
「ルティナが俺の事好きって言ってくれたら、もっと頑張れるのになぁ」
未だに照れて言ってくれないルティナに、冗談と本気半分で言ってみる。俺の中に入ってた時にはあんなに堂々と愛を囁いてくれていたのに。
自分の身体に戻った途端に乙女に戻ってしまうルティナを可愛く思いつつ、必死に俺を繋ぎとめようと頑張ってくれたルティナに感謝の気持ちしかない。
「な!お仕事中に何を言いますの!」
「もう終業時間じゃないかな?ほら、鐘も鳴ったことだし」
いいタイミングで鳴った鐘の音を聞きながら、そっとルティナの髪に手を差し込む。
復活した縦ロールの髪を愛おしく思いながら、髪の毛に口付け、そのままルティナの唇を奪う。
「好きだよ、ルティナ」
真っ赤に染まるルティナの顔を見ながら、幸せすぎて笑みが零れてしまう。
「わ…私も…」
「え…──?」
「私もディアス様をお慕いしていますわ!」
そう言って抱きつかれ、理性の枷が外れてしまいそうになる。
可愛い。
何これ、可愛すぎる。
「ねえ、ルティナ、花嫁修業ってどのくらい進んでいるの?」
「え…?」
「早く!一刻も早くお嫁に来て!」
魂の叫びを訴えながら、俺はルティナを抱きしめるのだった──
END
最後までお読み下さりありがとうございました!
入れ替わりものが書きたくなり執筆しました^^いかがだったでしょうか?
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