厄
《魔法薬『ホルゥマリン』……。
これさえ混ぜれば、どんなマズイ食べ物でも美味しく感じられ、賞味期限も長くなる。
これは使わない手はない!と大半の食品会社が使い始めた。
……しかし、その毒性は人々の、そして次世代たる子供たちの体を、徐々に蝕んでいった……。》
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“魔法省は、このたび 魔法薬『ホルゥマリン』の改良型である『ホルゥマリンⅡ』を承認。
『ホルゥマリン』は『ホルゥマリンⅡ』とは異なり、食品パッケージへの記載は不要とされており、大手食品会社と魔法省の癒着が疑われている。”
「ダメダメ! こんな記事のせたら、その大手食品会社が広告出さなくなるだろ!
魔法省だって、認可を出した派閥が何やってくるか……!」
「ハァ~……」
「……ハァー、じゃねえ!
おまえ、そんなだから本社から弾かれたんだぞ?
車に爆弾仕掛けられたら、どうすんだ? え!?」
(また、無駄に鼻がいいな、コイツ……。
だが、このネタは使える!
せいぜい、恩を売るのに使わせてもらおう……)
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「ビィーッ!」
「ビィーッ!」
「ビィーッ!」
「あらわれたな、Bショクカー!」
チンピラが現れた!
コマンド?
'Offense_ Attack_'
'Coin_ as_ Arrow_'
コインの表裏に、光と陰の気が こもる。
「古印、矢の如し!」
指弾 発動。
光と陰のコントラストが、飛んでいく。
相反する二つの属性の相互作用で威力マシマシ、大爆発。
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ある程度は快進撃だったものの、さすがに多勢に無勢……。追い詰められてしまった。
『ワッハッハ! 覚悟しろ、マスク・ド・ライダー!』
『……くっ!』
「諦めるのは早いわ、ライダー!」
『この声……。サリバン先生!?』
「その通り──!
とぅっ! 宇宙警備サリバン、参上!」
『先生、そのスーツは!?』
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「ジャ~ン♪
これが お待ちかね、『フラット スーツ』よ!
あなたのフラットな体型に合わせて作ったから、体型 認証で他の女性には使えないわ☆」
「……よ~し、分かったわ! 戦争よ!」
「まぁまぁ……♪ 気にしない、気にしない☆」
(気にするわ!!)
「スーツは普段、微粒子の状態で腰のポーチに入ってて、アナタが特定のポーズをとると体に纏わりついて、スーツになるわ。
ポーチとは別に関節 各所にチャクラを模した電極を装着するのを忘れないでね?
特定の手順でポーズを とることで電流が流れて、いわゆる '変身' を するってワケ♪」
「待って!?
この年で変身ポーズとか、かなり恥ずかしいんだけど?!」
「必要もない場で変身しちゃったら、マズイでしょ?」
「……うぅ。」
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『……き、貴様!? バイクに仕掛けた爆弾で死んだのでは?!』
「地獄から舞い戻ってきたのよ!」
『バカな! 地獄を統括するサタンは、あの お方の命さえ 拒むのに!』
「チッ、チッ、チッ……。
'地獄のサタンも カネ次第' よ」
(……本当は保険の営業に頼みこんで、緊急時は先生の所に運び込んでもらえるよう、特約つけといたから なんだけど……)
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「やれやれ……。絶対安静と言ったはずだよ、サリバンくん」
『そのチェス盤 模様の白衣と軍服は、まさか……!』
「そう! その まさかよ! 誰が呼んだか、裏 孔雀……。毒 喰らう、破邪の化身!
ウラッ・ク・ジャックとは、アタシのことよ!」
「そして、またの名を黒雨 白龍! 人はアタシをブラック シャークと呼ぶ! アタシも、その呼び名が……気に入ってるッ☆
出でよ、クシャーク・ランタン! クジャーク・フロスト!」
試験管から飛び出したスライムたちが、鮫 風に目口鼻が くり貫かれた 白蕪ランタンと鮫の雪像に変身する。
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「悪い話じゃねぇだろ?
今ンとこ、このタツノコ諸島にゃ、メアリー帝国の支援縁みたいな情報屋が いねぇ。
99%が広告主の犬で、カネを積まれりゃ、世論を間違った方へ誘導、改革潰しでも何でもアリだ……。
特ダネ 手に入れても、強請に使って公表しねぇのも日常 茶飯事。
大手の首席なぞ、政界 進出のコネ作りにと、既得 権益に敵対する改革派の政治家やら役人やらを一斉 偏向 報道で辞職に追い込む始末だ……。」
「……出資者は?」
そう──。
何をするにも、カネが いる。
100万人の講読者が、一月 一万銭 払う覚悟が あるなら続けられるが、三千銭の新聞代すらケチって洗剤やチケットを たかるのが現状だ……。
意外な話、新聞は講読費ではなく、広告で持っている。必然、新聞社が気にするのは、市民に必要な情報を供給することではなく、広告主の顔色を伺うことだ。
アーマード・コア3風↓
世界規模での大戦から数十年――
腐敗した体制の手により中央から追放されていた人々が帰還し、国家を立て直したのも つかの間、国民の大半は政官財と癒着、国庫や企業から不当な利益を引き出すことで贅沢に暮らしていた。
長い時の中で様々な不正が行われ、そのたびに訴えが起こされたが、権益により繋がる政官財民を前に打ち勝つことは許されなかった。
被害届の不受理、訴えの棄却などが あまりにも当たり前に行われ、犯罪 自体が無かったこと に され、世界一 安全と された体制……。
その欺瞞を見抜く唯一の例外は、高額の定期 購読 契約によって確かな情報を提供する、フリージャーナリストたちであった。
被害者を見殺しにする社会──
だが そのメッキは、徐々に はがれ始めていた……。




