ギルドは意外に派手なつくりをしているようだ
入院をしてから6日後ハクは無事に退院した。
入院時にマルモネが病室に訪れたことは誰にも言っていない。マルモネ来室の翌日にトレットが部屋を訪れた時、意味ありげに窓を見つめていた。鼻のいいトレットのことだから気付いていたのかもしれない、だがそのあと何を考えていたかは俺にはよくわからなかった。特に何を言うわけでもなく、退院後の予定を話し合った。
正直死にかけるくらいの重症だったけど、魔術と医療科学が融合することによって地球ではありえない速度で体が治っていいった。退院後はトレットと話し合って決めたようにギルドカードを発行して、身分証として使おうと思っている。この世界ではいわゆるパスポート的な使い方をできるらしい。
というか今日がギルドカードを発行する日で退院後トレットととすぐに合流した。ひそかに国王が手を回して入院費は払ってくれたらしい。魔人との戦いの後その周辺住民には箝口令を敷いたそうだ、市民を不安にしてもしょうがないということでバンディッシュが綺麗に討伐したことにしたらしい。轟音の割には戦いを目撃した人間はほとんどおらず、怯えて家にこもっていたらしい。日本で地震が起きてもその大変さには気づかず、部屋にいることが多いことに似ているのかもしれない。
「おいおいトレット君、これがギルドかね?」
「おいおいハク君そうだよ、ちなみにその口調は何だね?」
「これは驚愕のあまりにこんな口調になってしまっているわけだわいな。」
なんとなくアニメや漫画で想像していたものとは違い、とても派手作りをした建物だった。なんというか古風な古民家の延長上の何かというイメージだったが、そうではないらしい。まぁこの国の景色的にそれはないと思っていたけど、いくら何でも技術レベルが高すぎる。
「ここまで派手な作りをしているのだね、トレット君。」
実は事前にトレットに情報を聞いていた。ギルドとはただの会社で、便利屋、日本で言う探偵業にも似ている、だがそこに命をベットしてお金を稼ごうという感じらしい。ちなみにギルドカードを所持しているものを冒険者という名称で呼んでいるらしい。具体的には傭兵のルールを詳しく設定して、そのルールに沿ってギルドカードを持っている冒険者に仕事を仲介してその手数料をもらう企業のようだ。
派手なデザインをしている理由はちゃんとあるらしい。その理由としては、ギルド専属冒険者という制度が存在し、その専属冒険者の数、質などで依頼のレベルが決まるらしく、とりあえず目立って数を集め、そこから芽が出るのを待つらしい。もちろん難易度の高い依頼ほど報酬もいい。そんな依頼を受けられる人気ギルドほど専属になるには高い壁が存在するらしいが俺としては世界を旅行するつもりなので、興味はない。ちなみにギルド専属冒険者を通称マルセナリオというらしいく、マルセナリオは専属になっていない冒険者を馬鹿にしていることもあるらしい、もちろん人によるが。日本で言う契約社員と、正社員みたいな感じなのだろう、どちらもなくては世界は回らないが、なんとなく心のどこかで区別してしまっているようなそんな感覚かもしれない。
「このギルドの名前は【風来坊】か・・・意味わかってつけてるのかなこれ。」
ハクとトレットはギルドに入った。ギルドの中は非常にシンプルな見た目をしていた。外観とは違い機能を優先したつくりになっていた。一番近いもので言えば市役所が近いのかもしれない。幅広く取り扱っている、受付のような場所、それ以外にもカウンターはあり、各依頼の部門のようなものが設定されている。採集系、討伐系、賞金首系、便利屋系、傭兵系(戦争への派遣)などいろいろ部門がある。
ハクとトレットは入口に一番近いカウンターの受付に話しかけた。
「いらっしゃいませ、本日はどのような御用でしょうか?」
「ギルドカードを発行したいんですけど。」
「かしこまりました。それでは階段を上がって奥の部屋にどうぞ。」
「はい、わかりました。」
ハクとトレットは受付嬢にギルドカード発行の部屋へ案内をされた。
だが、中にいたのはいかついおっさん一人で、ハクたちが入室するとにこっと筋肉の塊が笑った。とても上質な生地を使っていることが見て取れる青色のスーツに縦縞の模様が入っている。瞳は青色でそれが肌と歯の白色とあいまって眩しい。ハクが一見で会話したくなくなったのは間違いない。
「どうも、私がギルド風来坊の長、ジャックマン・ウルベルです。実は国王からあなたがギルドカードを発行しに来た場合は取り計らうように言われましてね。ですからこちらの部屋で待ち構えていたのですよ。」
「それはご丁寧にどうも。それはつまり最近王国で起きた事件について国王から説明を受けていると思っていいんですかね?」
ハクは暗に魔人襲来事件についての知識があるか一応確認した。
「ええ、そのように考えてくださって結構です。ここまでありがとう、すまないが下がってくれ。」
ジャックマンは受付嬢を下がらせた。
「取り合えず、普通は試験とか簡単なものがあるのですがそれは免除しておきますよ。これがギルドカードです、受け取ってください。」
ハクはギルドカードを受けった。
実はトレットから事前にギルドカードのシステムについて聞いていた。このギルドカードというシステムのは一種の機械、装置で、このカードに使用者の血を登録すると、そこに使用者の情報とギルドランクと、適正クエストランクがでる。
ギルドランクというのは主に、世界の貢献度によって変動するらしい、カードには達成した依頼が登録されていて、それぞれの評価基準によってギルドランクが決まる。
クエストランクというのはその人間の実力から判断される、適正になるクエストランクのことである。これは登録時に必ずしも最低ランクの依頼から始められては、世界規模の効率から考えると不利益になるからである。低ランクのクエストが残った際には低ランククエストを釣り合いが取れる程度に、報酬金額を上げて、消化したりもするらしい。さながらバーゲンセールの逆バージョンだ、こういったルールは地球とは異なる異世界の独特さを感じさせる。
それぞれのカードのランクをわかりやすく表記すると以下になる。
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ギルドランク クエストランク
S←E S←E(S、A、B、C、D、E)
高←低 高←低
_________________________
「明日エルミラちゃんと決闘するそうですね。私も楽しみにしていますよ。」
「は、はぁありがとうございます。」
お互い特に何も言わなかったが、俺がギルドカードに血を登録したところ、ギルドランクは最低のE、クエストランクはSと表示された。おそらく、先ほどのセリフもこの結果を見てのものだろう。
俺としては当日は楽しみではない、この世界に来てから本当に面倒くさいことが多い。




