表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/13

episode3『In each place』

一つ、武器を持つならそれ相応の覚悟をすること


二つ、弱い者には手加減を、強い者にも本気は見せるな


三つ、恩には二倍の恩で、仇には二倍の仇で返すこと


四つ………

「もういいのか?」


「はい先生、無理言ってすいません」


 小屋の外、椿は上白沢慧音に頭を下げた。


 慧音と隣にいた藤原妹紅は互いを見合わせると椿に頭を上げさせる。


「とりあえずカンナは私たちが面倒を見ておくから、椿は自分のしたいことをしてくればいいさ」


「慧音は学校があるからあまり来れないかもしれないけどな」


「大丈夫、夏休みだ」


「嘘つくな」


 どちらがカンナの世話をするかでもめだす二人。


 今までもそうだったが、この二人にはずいぶんと迷惑をかけてしまっている。


 本来なら自分が世話をすべきなのだが……。


「とりあえずこっちは大丈夫だから。大切な人を連れ戻しに行くんだろ?」


「大切……まあ大切っちゃ大切かな。一応は家族みたいなものだし」


「なら早く助けてやりなよ、彼女もそれを待っているはずだ」








「そう怒るなよケイ。あの時のことは謝るからさ」


 ケイと椛の前に現れた男は手に取った銃を置くと腕を組む。


 あの後移動し、目的地だったガンショップに来ていた。


 男は鷲宮遼、民間の警備組織アストレアに勤めている。


「あのな、俺はまだいい。けどおやっさんは知らないぜ?」


「おやっさん?」


「ここの店のオーナーだ。壊れた俺の銃を治してもらってる」


 椛はケイと遼の話には興味がなさそうだったが、店の中に飾られている銃を物珍しそうに見ている。


 古い銃から最新の物まで壁にずらりと並べられている店内はなかなか壮観だ。


「気に入ったかい嬢ちゃん。だがそいつは多分嬢ちゃんには扱えねぇ代物だ、反動が強すぎる」


 椛が一つの銃を手に取ってると奥から初老の男が出て来た。


 男は椛の持っている物と同じ銃を棚から外すと、慣れた手つきでセイフティを解除して構える。


「こうすりゃ反動を少しは減らせるし、そこのバカ二人組みよりは上手く扱えるだろうさ」


「ば、バカたぁなんだバカとはぁ!」


「おやっさん、確かに銃は壊しちまったが遼とだけは一緒にしないでくれ」


「ガハハハ、わしからしてみれば二人ともまだまだひよっこだ。ヘマをして敵のドツボにはまった遼も、武器をぶっこわすケイもな」


 遼とケイが同時に反論するも初老の男は構わず椛の肩をぽんぽんと叩いた。


「いやあ、だがまぁ久しぶりだなお前ら。今日は新しいお客も一緒たぁ驚きだ」


 男は頭のゴーグルを外してニカッと笑う。


「わしはバレト、嬢ちゃん名前は?」


「椛……です」


「まったく、女っ気のないケイがよくこんな美人と一緒だなんてよ」


「遼、お前そこに立てよ。直った銃の威力を確かめさせてやる」


 ケイと遼はあまり仲がよくないようだ。


 話を聞いてる限り遼がケイを巻き込んで余計なことをしでかしたようではあるが今は触れない方がいいだろう。


 場の空気を悟った椛はおとなしく三人を観察することにした。


「で、こいつがお前の銃だ。スナイパーライフルの一撃か……こいつのおかげでお前の命が救われたならこいつも本望だろう」


「直ってないじゃんかおやっさん」


「バカ言うな、こいつはもう寿命。同型は用意したがカスタムはやり直しだ」


「やっぱり……」


 ケイはバレトから銃を受け取ると、動作を一通り確認してからホルスターにしまった。


 ケイも多少不満そうではあるがそれで納得したらしい。


「さて、料金はこんだけだ。どっちが払ってくれるんだ?」


「遼だ。こいつのせいだからな」


「わーかったわかった。くそっ、給料日前なのに……」


 遼は渋々カードを取り出してバレトに渡す。


 その後も久しぶりの再会とだけあって話が長引く三人。


 その間暇な椛はずっとテレビのニュースを見ていた。








「やってくれたわね。私に断りもせずに!」


「…………」


 幻想郷と外の世界の中間に位置する八雲邸。


 そこに招かれた霊夢は現状を知って激怒した。


 二人の天狗が消えた結果は今の通りだ。


 仲間意識の強い天狗の長は血眼で追っているし、単独で動いている者もいる。


「紫様、計算の結果が出ました。想定外の負荷がかかった結果スキマのねじれが発生、転送失敗に繋がったと思います」


「場所は?」


「世界軸に変更はないです。しかし落下地点が大きく変わりました」


「……合流は?」


「成功率18%、ほぼ不可能」


「チッ……だから」


 舌打ちする霊夢。


 状況は芳しくない。


 急いで連れ戻さないともっと厄介なことになる。


「紫、急いでサルベージしなさいよ! 向こう側に飛ばしたなら引き戻せるんでしょ!」


「…………」


「紫!」


「……………無理よ」


「はぁ?」


「時間軸がずれてるせいで繋がるタイミングはごくわずか、今はサルベージ出来ないの……」


「あんたね!」


パァーン


 霊夢の平手打ちが飛ぶ。


 藍も反応したが間に合わなかった。


 叩かれた頬がみるみる赤くなる。


「あんたね、それが何を意味するかわかっているの!」


「どうしようもないでしょ! それに本来の目的はまだ達成出来てない……」


「何が本来の目的よ! あんたのせいでこっちは!」


「時間がないのよ……今回のずれもそのせい、アレは確実にここに来る! そして次こそ確実に幻想郷を消しに来る」


「アレ? アレって何よ……」


 突然声のトーンを落とす紫に何か感じ取ったのか、霊夢は一歩下がった。


「藍、Fファイルを取ってちょうだい」


「はい」


「稗田の歴史書にすら載らなかった異変……いや異変なんてレベルじゃないわね」


「これは……」


「あなたの祖母霊緋を殺し、幻想郷をまるごと一皮消し飛ばした異変」


「暗夜天……異変……」


「暗夜天は必ず戻ってくる。でも今のスペルカードルールに慣れきった幻想郷住民ではきっと太刀打ち出来ない」


「それと今回のことと何の関係が?」


「戦える人数は増やしたい。そのためにもかつて戦った四神の結集は必要なのよ!」


 霊夢を睨みつける紫。


 例え力を失っていてももう一度暗夜天を封じるには必要な存在だ。


 上手くいけば倒すことも出来るかもしれない。


 霊夢は諦めた表情をすると頭を抱えた。


 余計な仕事が大量に、それに一気に増えたがこれも仕方ないことだ。


「はぁ……わかった。私も協力するわ」








「こいつがUSP、俺の愛銃だ。古きよき銃といったところか、こいつぁ旧世紀の銃さ」


 ケイはホルスターから銃を抜くとクルクルと回す。


「だが、街にいるやつらはみんな新型のレーザーライフルや古くてもフォーティーファイブを使ってる」


「れーざぁらいふる? ふぉーてぃーふぁいぶ?」


 椛の頭の中で全く的を射ない想像ばかりが渦巻く。


「とにかく、強い弾を撃てる銃ってことだ」


 今まで剣ばかり鍛えて弾幕の修業をあまりしてこなかった椛にでもケイの言わんとするところがわかった。


 なぜ最新の銃を使わずに古い銃にこだわるのかということだ。


「いくら腕ばかり磨いても最新式の武器が相手だと……せっかく買い替えることが出来たのにどうして?」


 そのことは自分が身を持って体験している。


 守矢が異変を起こした際、巫女と魔女相手に嫌と言うほど思い知らされた。


 導入当初は持とうとは思わなかったが、今では自分も持っている。


 スペルカードという『武器』にはそれだけ魅力的な力があったのだ。


「確かに俺も最初はそういう武器を使った。でもな、そいつは強すぎたんだよ」


「強すぎた?」


「俺は人を一人殺しかけた。その時気付いたんだ」


 ケイはマガジンを差し込むと銃をホルスターにしまう。


 その右手はわずかだが小刻みに震えているようにも見えた。


「元はと言えばこの護身用に買った武器だ。それで人を殺すってのはお門違いだろ」


 椛はわずかに頷く。


「行き過ぎた力は間違いを産む。ま、俺が撃たなきゃならないようなことが起きなきゃいいがな」


「はぁ……」


「なぁに、心配ないさ。いくら治安が悪いからって何も悪いやつらばっかりの街じゃねぇ。俺だって拾われ者さ」


「拾われ者……か」


 確かにそうだ。


 ここに来て二日、あのあとバレトはこの街を発った。


 文のことは次に行くアンダーグラウンドという場所で探してくれるらしい。


「あの……ケイさん」


「なんだ?」


「この世界には確か、フローターという区分があるんですよね」


「ああ。それがどうかしたか?」


「別のフローターに渡る手段って……ないんですか?」


「あるにはある。フローターは空飛ぶ大地、飛行機やエアロライナーで繋がっている」


「…………」


「探す気か? 無理だ。別のフローターに渡る前にこの街から出られない」


「出られない?」


「会った時に言ったはずだぞ。この街は出ることも入ることも出来ない。言ってみれば大きな檻の中だ」


「檻……」


「そんな顔すんなよ、俺だってどうにかしてやりたいさ。だがこの街のヘッドは頭がいかれてるのさ」


「私はどうすれば……」


「今はおやっさんを待とう、話はそれからだ。俺も断片的ではあるがネットワークをたどってみる」


 ケイは頭をかくと、椅子から立ち上がりドアを開ける。


「うわぁぁ!」


「何やってんだよミオリ」


「いたいじゃないかぁ……」


 開けたとたん出て来たのはドアに貼り付いていたミオリだった。


 ミオリは打ち付けた顔面をさするとぶつぶつと文句を言う。


「今まで聞いてたのなら頼めるな? お前ならそれぐらい余裕だろ」


「人使い荒いー」


「やってやれよそれぐらい」


「むぅ……」








「いやぁ、参りました。まさかカメラがお釈迦になるとは……」


 アンダーグラウンド。


 薄暗い大地で文は壊れたカメラを掲げて嘆く。


「大事にしてらしたのですね、そのカメラ」


「母の形見です。はぁ……」


 同行しているメイド服姿の女性はメモを取り出すとあたりを見渡した。


「武器屋ですか……どこにも見当たりはしないのですがね」


「メイド長、道これで合ってます? なんか違う気がするんですけど」


「メモではこれで合ってるはずなんですよね……」


 首を傾げるメイド長。


 周りを見ればこちらを見るギャング達の視線。


 腰に刺さってたり無造作に置かれている銃。


「なんかまずいところに来ちゃいました……」


「そうですか?」


「メイド長なんか抜けたところがありますね」


「よく言われます」


 呆れてがっくりと肩を落とす文。


 そうこうしているうちにいかにもといった雰囲気のギャングが近寄ってきた。


「よぉ姉ちゃんたち。こんなところで二人っきりだと危ないぜ?」


「そうそう、こいつみたいなやつのたまり場だからなゲヒャヒャ」


「うわぁ……また典型的な」


 苦笑いの文と終始笑顔のメイド長をよそに周りをどんどん囲まれていく。


 こちらは女二人、相手は男が数人で圧倒的に不利だ。


「困りましたね。これでは動けません」


「何かないんですか!」


「何かですか……そうですね、こんなものならありますけど」


 メイド長は両腕を振り下ろすと袖からサブマシンガンを取り出して地面に2、3発撃ち込む。


 驚いたギャング達は悲鳴を上げると全員飛びのいた。


 当然側にいた文も。


「撃つなら撃つって言ってくださいよ! びっくりするから!」


「あらごめんなさい」


「な……なんだこのメイド!」


「ちくしょう、このアマ!」


 ギャング達も次々と銃を構える。


 ハンドガン、サブマシンガン、ショットガン、アサルトライフル、みなが思い思いの武器を構えた。


「あややや! やっぱり銃が出て来ますか……」


「困りましたね~。ま、軽くお相手すれば大人しくなりますかね」


 メイド長はサブマシンガンの銃身に取り付けられたグレネードをリロードする。


 凍りつく場の空気。


 しかしその弾が撃たれることはなかった。


 ギャング達の人差し指が引き金を引く直前に全員の銃がバラバラになったのだ。


 それも全て何かで切られたような壊れかたをしている。


「こ、今度はなんだぁ!」


 またうろたえるギャング弾。


 犯人はメイド長の足元でしゃがみ込んでいた。


「マスターが嫌な予感がするといって後をつけさせた理由はこれか」


「ナハトさん!」


 ナハトは刀を背中の鞘にしまうと腿のケースから小ぶりのナイフを取り出した。


「ゴロツキ共、続けるか?」


「おい……こいつ死神じゃないのか?」


「死神だ……銀色の髪に赤い目! それにあの剣だぞ!」


「逃げろ、逃げろ!」








「久しぶりだな死神。相変わらず俺のやった銃は使ってないようだな」


「お久しぶりですMr.バレト。それと俺の武器はこの刀だ、銃は使わないと決めているのでね」


 ナハトはナイフをしまってあるのと反対のケースから拳銃を取り出す。


 それを机に置くと一歩下がった。


「だからってわざわざ返しに来たのか? 律儀な男だ。だがこいつはお前の物だ、いざって時に使えばいい」


「しかし……」


「別に持っているだけなら構わないだろ。さてと商品だったな」


 いそいそと店の奥に引っ込んだバレトだったが、すぐに三つの箱を抱えて出て来た。


「さてと、まずはこいつだ。国連軍制式採用レーザーライフルのM35L4が40丁」


 取り出されたのはかなり濃いブルーグレーで塗装された銃。


「外部電源としてマガジン型のバッテリー、ホロサイトとライトを標準装備、装弾数40発とお馴染みのレーザーライフルだ」


 ナハトは興味がなさそうだったが、メイド長と文はバレトの説明に聞き入った。


「お次はこいつだ、50口径自動拳銃S9が40丁」


 今度は少し小さな箱が出てくる。


「俺の店オリジナルの拳銃だ。装弾数15発、さっきも言った通り50口径だがこいつは今の主流装備からしてみればおもちゃ同然、使わずに済めばいいな」


「サブアームとしては最低限の装備ね」


 メイド長は机に置かれたS9を拾い上げると、工具を借りて慣れた手つきでスライドを外した。


 中を一通り見ると、外したパーツを元に戻してバレトに返す。


「最後はこいつだ。メイド長さん、あんたが直々に頼んできたブツ」


「わお、どんなものに仕上がったか楽しみね」


「頼まれた通り60口径の拳銃を作った。複銃身式リボルバー『セブンスライツ』うちで扱った銃の中で一番ぶっ飛んでて一番クールな銃だ。装弾数12発、上下の銃口から交互に発砲が可能」


「ほうほう。で、相方は?」


「もちろん作った。『セブンスシャドウ』、セブンスライツと色違いなだけで基本的な仕様と性能は同じにしてある」


 メイド長は二丁の銃を持つと、重さを確かめるかのように手の中で遊ばせる。


 やがて状態に満足するとバレトからホルスターを受け取った。


「パーフェクトよバレトさん。これなら……うふふふふ」


 文の立ち位置からではよく見えなかったが、それでも文は背筋が凍りつく感じがした。


 今まで見せたことのない冷たい笑み。


(気付いてなかったと言えば嘘になる。メイド長も……ナハトさんも……すごく冷たい目をしている)


「Mr.バレト、大口の仕事のすぐ後で悪いんだが一つ頼みがある」


「なんだ? 俺はガンスミスだ、剣なんかには精通してないぜ?」


「彼女のカメラを見てやってほしい。出来るか?」


「ああ、そうでした。これなんですけど……」


 文は腰のポシェットからカメラを取り出すとバレトに渡した。


「ほう、古いカメラだな。壊れているのはレンズとフレームか、完全に割れてるしこれは中身までいってるかもしれないな」


「そうなんですよ。それ大事な母の形見なんです。直せますか?」


「嬢ちゃん、俺はガンスミスだ。銃の扱いにはこの世界の誰よりも長けている。だがな」


 バレトは得意げに肩から下げた工具箱をぽんぽん叩く。


「俺は元々はこういう仕事をしていたんだ、古巣に戻った気分でささっと元通りに直してやるさ」


「ありがとうございます! やったぁ!」


「よかったわねアヤちゃん」


「はい、これで椛さえ見つければ……」


「モミジ?」


 カメラの状態確認のために分解していたバレトの手が止まる。


「あ、あんたもしかして……アヤ シャメイマルか?」


「え……あ、はい。清く正しい幻想郷の伝統ブン屋、射命丸文です」


「おぉ神よ! 俺は今まであんたの存在を今まで信じてなかったが心を入れ替えるぜ。奇跡ってのはあるもんなんだな」


 突然大声を上げるバレトに店の中にいる三人が揃って驚く。


 特に言葉の通じない文は混乱していた。


「え? 何?」


「Ms.アヤ、どうやらMr.バレトは君の友人の居場所を知っているようだ」


「本当ですか!」


「ああ知っている。知ってるさ! モミジちゃんは確かに生きている。アジアンフローターだ、アジアンフローターに彼女はいる!」








「い、いらっしゃいませ……」


「声が小さい! 表情も固い! 椛ちゃ~ん、私事の仕事はサービス業、つまり笑顔が大事なの」


 ミオリは椛の頬を軽くつねると無理矢理笑顔を作らせる。


「ミオリひゃんいひゃい……いひゃいよ」


「じゃあもう一回」


「い、いらっしゃいませ!」


「そう、いい? ここは軍の圧政と頭のネジが足りない政治家のせいでみんなギクシャクしている。それを癒すのが私達の仕事よ」


 制服の裾をひらりと翻すミオリ。


 椛は頷くとお盆をぎゅっと抱きしめた。


「まあそんなに気負いするな。普通に、自然に、いつも通り振る舞えばいいのさ」


 机に備え付けられているメニューを整理していたケイは伝票を挟むバインダーを椛の頭の上に置くとカウンター席に座る。


「開店まではまだ時間がある、それまで二階でゆっくりしててくれ」


「は、はい」


 一礼すると椛はお盆を置いて二階に上がった。








「アジアンフローターの132区画、入れないわね」


「そんなぁ!」


 クロスノート邸の一室、文はロッテにアジアンフローターに行けないかと頼んでいた。


 しかし答えはノー、ロッテは首を縦に振らなかった。


「なんで!」


「カチューシャ、説明してくれる?」


 隣にいたカチューシャ、メイド長は一礼すると手元の地図を広げる。


「アジアンフローターの132区画は国連軍の研究都市、出入りが容易ではないです」


「じゃあなんでバレトさんは?」


「Mr.バレトはこの世界でもトップクラスの腕を持つガンスミスであり商人だ、その卸先は俺達民間人からギャング、そして軍まで幅広い。だから国連軍は彼を素通りさせるのさ」


「なるほど……じゃあ!」


「Mr.バレトの荷に隠れるか? 無理だ。最低限のチェックはかかる」


「じゃあメイド長、他にルートは?」


「この街は周囲を高い壁、さらに重火器で防御されているわ。突入は不可能」


「そんな……せっかく会えると思ったのに」


「ただし、手がまったくないわけじゃない。一つだけ抜け穴があるわ」


 ロッテはニヤリと口元を綻ばせた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ