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あと少し、もう少しのこの距離を(バイト先男女。先輩と新人)
一つ前のお話の幼馴染が、抱き締めたいと思っているお相手視点のお話です。
バイト先の喫茶店。
閉店後のバックヤードには、気怠く、かつ気楽な空気が流れている。
ひと仕事終えたあとの珈琲の薫りが、その空気を香ばしく彩っており、いいなぁといつも目を細めてしまう。
「もう帰りか?」
着替えコーナーから出て来た私に、先輩が言った。今日のバイトは、私と先輩の二人だけ。だから今、バックヤードには私たち二人だけ。店長は、店の方でレジ締めをしている。
「そうですよ~」
着替えも終え、荷物もまとめた私を見ながら、先輩は暫し考えたのち。
「……あと、五分待っとったら」
少し視線を外して、ゴミ袋の口をギュッと縛った。
「駅まで、送るけど」
ぼそりと呟かれた提案に、思わず口元が綻ぶ。
「──喜んで」
私の応えに、先輩の顔も綻んで。
ふわっと浮かんだ笑顔に、私の心はもう何かを決めていた。
END.




