私を探して(百合。真面目×自由人)
ショッピングモール。
おもちゃ屋の奥の方に気になるものが見えた。
何だろう、と思い、ふらふらとそちらへ入って行く。
奥へ奥へ。
ゲームの音。子どもたちの笑い声。
ここは、いつだってわくわくした気持ちが自然と湧いて来る場所。
思わずるんるんと早歩きになった。
そうして目的のものを見付け、私は目を瞠る。
へえ、これはすごい。
感心していたら、
「探しましたよ、ミイさん」
「馨くん」
後ろから声がかかり、ハッと振り返った。
そこには、心配そうに眉を下げた馨くんが居る。
共に歩いていた彼女に断りも入れず、動いてしまった。またやってしまった、と少々ばつが悪くなる。
「ごめん。これが見えて、気になっちゃって」
「なるほど。確かにこれは凄い」
リアル志向のヘラジカのぬいぐるみ。台に乗っているとは言え、店先から角が見えるくらい大きい。
「良いですねぇ。ちょっと欲しくなっちゃいますね」
なんて言いながら呑気に笑う彼女の横顔をまじまじと見つめる。
そこには、先程見せた心配の色も、置いてけぼりを喰らった苛立ちも、何も無かった。
「……馨くんはさ」
「はい」
「私をいつも探しに来てくれるよね」
「当然です」
「なんで?」
にっこり笑って、彼女は言った。
「ミイさんが居ないと寂しいですし、それに」
こちらを見て、
「ミイさんも寂しがり屋さんでしょう?」
さらりとそう続ける。
揶揄うでも、そうであって欲しいという願いでも無い、単に事実を述べただけというように。
私の頬が勝手に緩む。
私を寂しがり屋と見抜いているのは、多分彼女くらいだ。
興味がある方へ勝手にすっ飛んでいく自分が悪いとわかってはいるけれど。
「……うん。そう。だから」
やっぱり、嬉しい。
「また見付けてね」
「はい。……でも出来れば声をかけて下さいね」
「がんばる」
私から手を繋げば、馨くんは更にご機嫌に笑ってくれた。
END.




