出逢いはいつも、突然に(ボーイミーツガールin大学)
大学構内。
中庭に差しかかる校舎の影。
いつどこを見ても人で溢れ返っている構内だが、その女の周りだけは、ぽっかりと穴が空いたように人が居なかった。
そいつと、うっかり目が合った。
「そこのお兄さん! 手品を見たお礼に、私にバイト先をひとつ世話しようって思いませんか?」
「……」
大きな眼鏡に、ミニハットを被った黒髪頭。白黒のふわっとしたクラシカルなワンピース。
「まだ見せてもらってへんよ」
「では!」
と彼女が言った途端、手袋をはめた両手からピロピロと旗が出た。そして次の瞬間には、何をしたのか、ぽんっと花びらが舞う。
「え、普通にレベルが高い困る……」
「じゃ、バイト先紹介して下さい!」
「ぐいぐい来るやん」
「いやあ、バイト先のコンビニが潰れちゃいましてね」
「コンビニって潰れるんやな」
「けっこうホイホイ潰れてますよ。やっぱり、車の停めづらいコンビニは潰れますね」
「そこだけやないと思うけど。世知辛いな」
「エェ。まったくもって世知辛いわけで」
ぽんっ
青い花が、無より生まれた。
「ということで、仕事を斡旋して頂きたく」
「図太いなあ、自分」
はい! と手渡された花をつい手に取ってしまう。
「でも、これで結構、成功率高いんですよ。今のところ九割ですね」
「たっか」
にこーと笑う彼女の顔を見ていると、確かに何故かその願いを叶えてやらねばならない気になった。
「……なあ、飲食店系もオッケーなん?」
「バチバチにオッケーですね」
彼女が、グッと人差し指と親指で丸を作った。
「ウチのバイト先、来る?」
口からポロッとそんな言葉。
彼女が「ほらね」と言うように笑みを深め、「いっきまーす!」と元気に答えた。
END.




