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遠い遠い過去からずっと(老女百合)
「あら、見て」
彼女が密やかに差した指の先。
そちらでは、可愛い娘さんが二人、仲良く寄り添い歩いていた。しっかりと繋がれた手と手が、彼女たちの関係を特別なものだと知らしめている。
「いいわねぇ。堂々としてて、素敵」
「何言ってんの。アンタだって、若いころ普通に私にくっついてたじゃないの」
「ふふふ、そうだったかしら」
悪戯っぽく微笑む彼女の横顔に、遠い昔が重なった。
相も変わらず、今日も可愛い。
「でも、いいわね」
「何が」
「いい時代になったわねぇ、と思って」
「……ふん」
私は、彼女の手を強く握り締めた。
「そうなってもらわないと、老いぼれとしては困るのよ」
「まったくねぇ。その通りだわ」
彼女もまた、同じくらい強く握り返して来る。
「さあ、帰りましょう。今日はお刺身なんだから」
「ちょっと、ちゃんと半分ずっこよ」
「わかってるわよ、うふふふ」
夕焼け色のまちを、あなたと二人。
怖いものなど何も無い、と強がっていたあの日と同じように堂々と歩いて行く。
END.




