あなたの傍という憩い(ロマンシス?)
「この部屋来ると落ち着く……」
「そう? それなら良かった」
私のいつも通りの言葉にも、彼女は特にツッコむことなくいつも通り微笑んだ。
彼女の部屋は、本棚に囲まれている。座り心地のいい絨毯にも本の山。そしてふかふかのクッションやぬいぐるみたち。
けれど、不思議と圧はない。
開け放たれた窓のお陰かもしれない。
気持ちの良い春の風が、ふわりと吹き込む。
「はい、紅茶」
「ありがとー」
ほかほかの紅茶からは、すっきりした甘い香り。
「柚子ジャム入り?」
「そう」
「ふふ、ありがとう」
「どういたしまして」
それから私たちは話し込むこともなく。ただ紅茶を飲んだり、窓から空を眺めたり、積まれてある本を読んだり……ただただのんびりした時間を過ごした。
彼女の家では、時間の流れがゆったり遅くなる。
居心地の好い空気は、まるで山の上の保養施設にでもいるかのようだ。
「……」
この時間が、私の疲弊した心を回復させる。
何を、してるわけでも無いけれど。
「今日、晩ごはん食べてく?」
「たべてく~さんくす~」
彼女ののんびりした空気と、この家のこぢんまりとしているのに開かれた様子が、何か関係しているのかも知れない。
「某センターみたい」
「チャンチャンチャチャチャーン♪ みたいな?」
「そう」
彼女は、可笑しそうに「そんな良いものでもないけど」とゆったり微笑んだ。
いや、良いものだよ、と言う代わりに「今度美味しいもの奢るね」と言った。
END.




