義妹が向けてくる好意がLikeかLoveかわからないからどう応えたらいいのかわからない件
初投稿となります。
令和になって初日に書き始めた者で、誤字脱字、文など、おかしいところも多いと思いますが、どうか暖かい目で読んでいただきたいです。
指摘やアドバイスなどしていただけると幸いです。
それでは、どうか物語をお楽しみ下さい。
二年前、親父の再婚で1歳年下の妹が出来た。
高校受験前に何を考えているのだろうか親父は。
こんなドラマかアニメみたいなことって起きるんだなぁって、そう思っていた。
1歳年下って言っても、自分の誕生日が2月、そいつの誕生日が10月ってだけで、実質同い年みたいなものである。
おかげで同じ高校に進学、リア充扱い、妬みの視線など、そういったことはこの一年で慣れた。
俺は義妹はそういう扱いをされるのが嫌だろうと思っていたし、友人にも大っぴらにそういうことをするな、と言ったのだが、何故か義妹はまんざらでもない様子。
というか、嫌がるよりその噂を肯定しているようだ……
そんな、俺に好意を寄せてくれる義妹なんだが……
俺の名前は久坂 慎
今日高校2年生に進級し、新学期1日目を乗り越え、これから帰る所だ。
新学期1日目、入学式の準備を終えたあと、確認テストという面倒極まりない通過儀礼を終わらせ、今日は部活の活動(写真部)もないので学校を出る。
家は学校を出て徒歩二十分程度、これといった特徴もない、閑静な住宅街だ。
ただ、住宅街に入る途中で大きな川があり、その上をこれまた大きな橋がかかっているので、そこから見る夕陽が綺麗なのだ。
ただ、橋は上流から下流に数本掛かっており、家は川の上流の方向にある。
夕陽をきれいに見ようとすると一番下流側の橋に向かわなければならず、学校帰りに時間があると、たまに寄るのだ。
しかし、その橋に向かえば遠回りである。
二時間くらい余計な時間を食うことになる。
国道でもないので、通行量もそこまで多くなく、この橋の上で夕暮れ時、愛を誓ったカップルは幸せになるとか、そういった噂も前からある。
まぁ、最近となっては時代錯誤やら恥ずかしいやらで、それを信じる若者も少ないらしいが。
今日は午後からの登校だったし、少し図書室を回っていたのもあって、今は三時を回ったくらいだった。
今日は夕陽が見れそうだし、橋を通るか……
アイツも、流石に部活終わりにあの橋を渡っている俺に追い付くのは不可能だろう……
そんなことを思いながら、橋に続く道に歩を進めようとしたその時。
「兄さーん!!」
と背中の方から響く声。
思わず振り向いた瞬間、目に飛び込んでくる見慣れた制服。それに包まれた年にしてはわりと大きめな胸が、飛び付いてきた。
「うおおおおおお!?」
もちろん、受け止められるはずもなく、コンクリの道路で押し倒されてしまった。
「ふう……捕まえましたよ兄さん。
なんで私に黙って学校を出ちゃうんですか?一緒に帰ろうって約束したじゃないですか!」
「それは断っただろ!
お前と一緒の家に住んでるってだけで嫉妬の目で見られてるんだよ!なのにいつもの感じで一緒に帰ってみろ!明日なにされるかわからんわっ!」
「大丈夫ですって。それは私と一緒にいることへの嫉妬でしょう?なら私が一言言えば何があっても兄さんは無事ですっ!」
「その場しのぎに過ぎないだろそれ!」
そう。こいつが俺の義妹。家族になる前から知り合いだったわけでもないのに、今やこんな感じ。
名前は久坂 夕嬉。
容姿端麗、運動神経抜群の学校の人気者。
黒く艶やかな髪が風に舞い、眩しい笑顔で彼女が笑う。
「うふふっ、兄さんたら、私に一緒に帰ろうなんて言うのが恥ずかしくて、たまらず学校を出ちゃったんですよね?ええ、わかりますよ私には!だって、兄さんのことならなんでもわかりますから!」
「はいはい。それはわかったから。俺の上からどいてくれ。」
そう言うと、多少残念そうだが渋々と言った感じでどいてくれた。
だが、すぐに夕嬉は笑顔を取り戻し、立ち上がった俺の腕に体ごと抱き付いてくる。ずっと「うふふ……」なんて笑ってるし。
「な、なんだよ。ずっと笑ってるとかなんか怖いぞ」
俺が言うとさらに抱き締める手に力を込める夕嬉。
胸が!さっき飛び込んできた胸が!俺の腕を包んで!
「だって、こっちに来たってことは、あの橋を渡って帰るってことでしょう?」
「あ、ああ……」
目をキラキラさせながらいう夕嬉。嫌な予感を感じたときには時既に遅し。
「ということは、今日はずっと兄さんにくっついて帰れますね!
こっちって車もなかなか通らないし!」
「やめろ、誰かに見られるかもしれないだろ!」
いくら家族とはいえ、そんな風に帰っているのを、もし学校関係者に見られたとしたら、次の日俺が何をされるか(特に男子に)わかったもんじゃない。
「誰かに見られたら……私たちって、その、付き合ってる……ように見えちゃいますよね!そうですよね!」
恥ずかしがりながらも、嬉しそうに夕嬉が言う。
そりゃこの夕暮れ時にあの橋を二人で渡っているのを誰かに見られたら、そう見えるんだろうな……
そう思うと、途端に恥ずかしく思えてきた。
「お前、今回の確認テストは大丈夫だったんだろうな?結構俺も上手く教えられた自信があるんだが」
恥ずかしさに耐えられず、話題を振る。
先ほどまで変わらず、腕は掴まれたままだが、その話題を振られた夕嬉がわかりやすく目線を外した。
さっきまでこっちの顔を覗き込もうとしてたのに。
「……また駄目だったのか」
「……申し訳、ないです……」
夕嬉は先ほど言った通り、容姿端麗、運動神経抜群なのだが、勉強が全然出来ない。
毎回テスト前になると俺に泣きついてくる。
その度に俺もわかる範囲で教えるのだが……
一日経つと頭から抜けていってしまうらしく。
毎回赤点ギリギリ。
よく進級出来たな、っていうレベルである。
思わず、ため息がこぼれる。
すると、多分夕嬉も話題を変えようと思ったのだろう。
「に、兄さん、今日は部活の活動、無かったんですか?」
と聞いてきた。
自分の所属している写真部は、長期の休みなどを除けば近所を歩いたり、自分で撮ってきた写真などを作品にしてコンクールなどに出したりしている。
今日は新学期1日目なのもあり、活動する予定だったのだが、部長から「ごめん、今日の活動はやっぱり無し!」というメッセージが、写真部共有のメッセージアプリに送られてきていたので、たまには寄り道もいいか、ということでこちらに向かっていたのだ。
「まぁな。本当は活動する予定だったんだけど、なんか部長が中止にするってさ……お前のトコもそんな感じか?」
俺がそう聞くと、夕嬉は笑顔で答えた。
「いえ、兄さんと一緒に帰りたかったので活動があったけど休んできました!」
「今からでも遅くない、戻れ!」
「嫌ですよ!もう少しで橋に着くのに!」
夕嬉は女子テニス部に所属していて、かなり強い選手だ。
去年の夏の大会でも、一年生ながら県大会に出るのも夢ではないくらいの強さを誇っていた。
ただ、その県大会の切符をかけた試合の日、俺が夏風邪を引き、応援に行けなかったのだが、その日に限ってボロ負けしてきたのだ。
(それまでの試合は全部応援に行っていた)
しかも、部活の仲間に「今日は調子悪かったの?」と聞かれて、
「兄さんが応援に来てないなんて……」
とか言ったらしい。
我が校の女子テニス部は、夏の県大会、全国大会出場を目標に、厳しい練習を積んできたのだ。
その中でも夕嬉は頭一つ飛び出た選手で、部員達からの信頼も厚かった。
その夕嬉が、自分が応援に行けなかったという理由で調子を崩し、県大会出場を逃したのだ。
その件で、夏休みが終わったあと、女子テニス部の面メチャクチャ責められたのだ。
「何よ、夏風邪なんて!男ならシャキッとしなさい!」
「熱が出たくらい何さ!可愛い妹の試合の応援くらい来てなさいよ!」
「軟弱!」
他多数の熱いエール(悪口)をいただいた記憶が蘇る。
今年は絶対夏風邪なんて引かないようにしないと……
心の中で誓いながら、夕嬉の顔に目線を落とす。
「お前……先輩方にも期待されてるんだから、そういうので休むのやめろよな?」
「むぅ……兄さんと一緒に帰りたかっただけなのに……」
悲しそうな顔をする夕嬉。目が潤み、目線を下に落としている。
……ああもう、こういうのは反則だと思う。
ついつい、そんな悲しそうな顔を見たくなくて、
「……そういう理由で休むのをやめろっていうだけさ。俺と一緒に帰りたいなら、一言かけてくれれば俺も待ってるからさ。」
と言ってしまった。
それだけで夕嬉は目を輝かせ、「はいっ!」と笑顔で頷く。
こういう時だけ素直なんだから……
「あ、兄さん兄さん!着きましたよ、橋に!」
と夕嬉が言う。どうやら話しながら、結構歩いていたらしい。
時刻は六時前。腕をずっと掴まれて、歩きにくかったからだろうか?いつもより余計に時間がかかってる気がする……。
まぁそのおかげで、橋の上から、川に映る夕陽を見る事ができた。
川の水にオレンジの光が反射し、一本の線に見える。
雲もかかっておらず、夕陽の輝きを何の邪魔もなく独占する事が出来た。
この川は、橋のもう数キロ下流から海に通じており、そこに夕陽が沈んでいく構図が、俺は好きなのだ。
「わぁ……!とっても綺麗ですね、兄さん!」
夕嬉がこっちをみて笑う。
その笑顔は夕陽の光の眩しさにも負けていないように感じられて。
思わず顔をそらして、
「ほ、ほら、目当ての景色は見れたし、帰るぞ」
と言い、歩き出す。
後ろから夕嬉が「あっ、待って下さいよ!」と言いながら追いかけてくるのがわかる。
自分の頬が熱くなってるのがわかる。
……しばらく振り返れそうにないな。




