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第六天魔王、異世界に降臨す  作者: ネツアッハ=ソフ
異界のダンジョン
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魔王信長、その正体

 信長が帰還(きかん)を果たして、あくる日の事・・・


 恐らく、現在王国では魔王信長が帰還した事に騒然(そうぜん)としているに違いない。しかし、そんな事は信長には一切関係が無かった。今、信長は別の事に意識を向けている。


 信長は現在、自らの影の世界に居た。信長の影の中は一種の虚数空間(きょすうくうかん)となっている。要するに、一種の裏世界のような物か。ようは物質として実体を持たない世界だ。


 まあ、簡単に説明すると表の世界をプラスとすると、虚数の世界はマイナスと言った所か。


 ・・・小難しい話はそれまでにして、信長はその虚数世界でのんびりと物思いに(ふけ)っていた。虚数世界とはいえ見た目はそのまま安土城だ。安土城を中心とした、一つの世界が構築されている。


「・・・・・・・・・・・・」


 信長は安土城を模したその一室で、静かに寝そべりながら考える。頭にあるのは、創世神であるアルトラと話した会話だ。彼女は信長を前にして、静かに言った。


「まず、ノブナガ。貴方は第六天魔王、波旬(はじゅん)の化身です・・・」


「ふむ、それは自覚している。だが、わしは信玄の奴への当てつけで最初はそう名乗った筈だが?」


 そう、信長は最初に武田信玄が仏法の守護者を名乗った事に対して、自らを仏道を妨げる第六天の悪魔を自称したのが原因だ。即ち、売り言葉に買い言葉だ。しかし、それだとつじつまが合わない。


 それだと、只名乗っただけで本当に第六天魔王の化身になる筈が無いのだ。


 しかし、それに対してアルトラは首を横に振った。


「貴方がそう名乗る事も、全ては波旬にとって調和(ちょうわ)の内の出来事だったのです。つまり、最初から貴方は波旬の化身だという事ですね」


「・・・・・・・・・・・・」


 信長は思わず、黙り込んでしまった。そんな信長に、創世神アルトラはふっと笑みを浮かべて言う。


「貴方は何れ、波旬と戦う事になる。最初は波旬にとって調和の内だったとして、全てが調和の通りだと言う事は絶対にありえないのです。ですから貴方は必ず波旬と戦い、何れ波旬の化身ではなくなる」


 そう言って、アルトラは消えていった。


「何れ、また時が来たら(ふたた)び・・・・・・」


 そう、言葉を残して。創世神はその姿を消した。


「・・・・・・・・・・・・」


 信長は静かに考え込む。あの後、魔王アロウは一命を取り止めた。しかし、かなりの重傷だった。


 それも、精神に重度の傷害を負っていた。それ程に、第六天魔王波旬は異常な強さを持っていた。


 恐らくは、今の信長ではどれ程の策を(ろう)しても勝てないだろう。そう、理解する。


 しかし・・・


「だからと言って、戦わない理由(りゆう)にはならんな」


 そう言って、信長は静かに笑った。笑って、闘志(とうし)を燃やした。

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