波旬の軍勢
王城アストラディア———玉座の間にて。国王クルト=マルクト=ジ=ステラは思案に暮れていた。
その内容は、魔王織田信長の事だ・・・
「・・・・・・・・・・・・ふむううっ」
玉座の間に、国王の唸り声が響く。騎士達にかつてない緊張が押し寄せる。
魔王織田信長、第六天魔王。彼が魔王アロウとの戦いから帰還したのはつい先日の事。しかし、それは同時にこの世界に更なる脅威が生まれた事に等しい。果たして、それを手放しに喜ぶべきなのか?
国王クルトは考える。果たして、このまま信長を野放しにしても良い物だろうか?彼はある種、この世界を魔王アロウの手から救った救世主だ。しかし、だが・・・
「ぬぐうっ・・・・・・」
国王が更に唸る。判断に困窮し、唸るしかない。
悩む。どうしようもなく悩む。国王たる者、むやみに民を犠牲にするのは避けねばならない。しかしそれでもあの魔王を相手に果たして、被害を最小限に抑えられる物か?
賢王と呼ばれた彼ですら、それを計りかねていた。解らなかったのだ。どうすれば良いのか?国王クルトの双肩には今現在、この世界全ての人類の命がのしかかっていると言っても過言では無い。
・・・故に、生半可な判断は下せないだろう。
しかし、そんな時に限って事件は起きる物で・・・玉座の間の扉が、大きな音を立てて開いた。
「へ、へ・・・陛下!!!夥しい魔物の軍勢が、この街の前に突如出現しましたっ!!!!!!」
「っ、何だと!!?」
「そ、それからもう一つ・・・。この街を守るように、これまた夥しい数の魔物達が!!!」
「!!!???」
その言葉に、国王は愕然と目を大きく見開くばかりだった。その片方が、あの魔王信長の軍勢である事は一目瞭然であろう。故に、直後騎士達に戦慄が奔った。
・・・・・・・・・
王都正面・・・平原にて、夥しい魔物の軍勢を前に織田信長は魔物の軍勢を展開していた。敵の魔物達は総勢三十万超にもなる大軍勢だ。それに比べ、信長の魔物達は二十五万が精々だろう。
あまりに馬鹿げた数字。しかし、信長は嗤っていた。これ程の大軍勢を相手に信長は嗤っていた。
戦力差が一体何だ?そんな物、今川義元との戦いだってそうだった。そんな物、どうとでもなる。
そう、所詮はその程度の事なのだ・・・
信長は歓喜しているのだ。ああ、ようやく倒すべき敵が現れたと・・・そう心から歓喜している。
故に・・・
「さあ、始めようではないかっ」
信長は再び動き出した。最後の戦いの為に———牙を剝き、獰猛に嗤った。




