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13 堀久太郎との出会い

第2章に入ります。

時間は家族との別れの直後から始まります。

2章からは孫四郎の柔らかい話し方も段々垣間見えるようになります。

さて岐阜城で手続きを行った後、通されたのは大河ドラマとかで見たことのある天守の一番上だ。向かってみると前に一度だけ会った信長様がそこにいた。

「来たか。孫四郎。よく来たな。何でここに呼んだかわかるか?」

おっと、半兵衛先生並みに難しい質問をしてくるね。うーん、わからん。単純に聞いてみるか。

「…ここからの景色を見るためでしょうか?」

「な、なぜわかった?久太郎だったら絶対わからないぞ。」

「な、そんなわけありますまい!私だってそれぐらい…。」

久太郎?誰だろう。うわっ。すごいイケメンだ。父上が言っていた元々いる小姓の人かな。

「近こう寄れ。見てみよ、この景色を。」

そう言われて近づいて外の景色を見てみることにした。

「これは…。」

言葉に出ない。すごい。天下を一望できるような、そんな気がした。

「俺も最初は驚いた。今は亡き道三殿と見た時はな。」

え?いつ見たの?多分前世で読んだ織田信長の漫画の情報から考えると長良川より前で正徳寺より後で…うーん。わからない。何でこういうのは歴史書に残らないんだ?

「あの時に決めた。俺が乱世を終わらせるとな。」

「天下布武。それは俺にしか出来ぬことよ。」

これは。どこかで聞いたことがある気がする。ん?この間は僕が話せってことだよね。どうしようかな。平凡な回答をしますか。

「…そのような考えの方の小姓になれてこの孫四郎、感動しています。」

「ハハハ。ここまでおびえずに話す小姓はお前で3人目だ。1人目はお前の父親の又左。2人目はそこの久太郎。そして次はお前だ。」

それ以外の人弱くない?いや、普通だったら怖がるのか。

「今日はもう日が暮れてきた。久太郎、お前が孫四郎の上司だ。年も俺に比べたら近いししっかり頼むぞ。」

久太郎殿が頭を下げる。

「はっ。お任せください。」


部屋に向かいながらお互いの自己紹介をする。

「私は堀久太郎秀政です。確か話を聞くからにあなたの名前は前田孫四郎殿でいいですか?」

堀秀政か。何か聞いたことがある気がする。


堀秀政

1553~1590

織田信長、豊臣秀吉の家臣…


こういう時に脳に勝手に情報が提供されるのは一体どういう仕組みなんだろう。久太郎殿って何でも出来る優秀な人なんだね。そして僕の名前は違うよ。

「正しくは前田犬千代です。ですが皆からは孫四郎と呼ばれているので久太郎さんも孫四郎と呼んでください。」

あ、しまった。前世の癖でさん付けで呼んじゃった。怒るかな?

「じゃあ私も孫四郎さんと呼ばせていただきますね。」

え?な、ん、か気持ち悪いですよ。後輩に丁寧語を使わないでほしい。でも何か事情があるのかもしれないからとりあえず聞いてみよう。

「随分言葉が丁寧ですね。私はあなたよりも9つぐらい年が違うはずなのに。」

「え、何で知っているんですか?確かに私と孫四郎さんは9つの差と信長様から聞いておりましたが。私は孫四郎さんには年齢までは教えていませんでしたよね。」

あっ。地雷踏んだ?どうしよう。私も信長様に聞きました。なんて言っても嘘だとばれるだろうし。勘です!と言ってもそんなわけあるまいで終わる気がするし。

「ええと、…正直に話します。」

致し方ない。これは僕の責任だ。二度と自分からは正体をばらさないようにしないと。まあこの人なら他人に知らせないような感じだと思うからもうそのままばらしちゃったけど。僕は自分の全てのことを話した。

「…信じてくれますか?」

「信じますとも。ええとでは先ほどの質問の答えですが私はあまり言葉を崩すことができないんですよ。俺や僕なども使ったことがありません。」

え?何も質問してこないの?

「特に気にならないので?」

「まあ。それが悪いことではありませんしあなたの好きでなったわけではなさそうだし。」

理解力はやっ。僕、ばらさなくてよかったんじゃない?多分ね。それでね、久太郎さんは困らないかもしれないけど僕はお互いに丁寧語でしゃべるって何かの取引の現場じゃないのにそうやっていると異常な光景だと思えてしまうんですよ。ちょっと無理やりにでも変えさせないと。まずは一人称かな。

「ええとですね。初対面なのにこんなこと言うの失礼ですが久太郎さんに『私』という一人称は似合っていないと思います。」

「というと?」

久太郎さんに『俺』は合わないだろう。とすると僕と同じ『僕』が似合っている気がする。

「『僕』を使うことをお勧めします。」

「『僕』ですか。僕は堀久太郎秀政。…何かしっくりきますね。」

「私も今はこう言っていますが慣れてきたら日常的な会話では『僕』を使いますし。」

「ではこれからは『僕』をよく使うことにしますか。」

急に変えることって難しいと思うけど出来るかな。


ずっと話していたら久太郎さんの足が急に止まった。

「ここが孫四郎さんの部屋です。」

広くない?

「え。この1部屋まるまる使っていいんですか?」

「はい。わた…僕も最初は驚きました。小姓にこんな一部屋まるまる貸すっていいのかなって。でも段々慣れますよ。」

何か悪いことしたかな?まだ癖が抜けていないのかもしれない。多分久太郎さんは僕は~だと思うよ。みたいに話したらきっと性格と合うんだろうな。

「では中にお入りください。過ごし方なども説明しますね。」

よろしくお願いします。久太郎さん。


その後、夕食を食べたりお風呂に入ったりしていたら気づいたら夜遅くになっていた。明日からは朝が早いらしい。今日はもう寝ようか。おやすみなさい。

家臣の後の「…」はその先にも情報が入っているのですがそんな情報を載せてもここは某検索サイトではないのでカットすることにしました。


久太郎と孫四郎。しばらくはぎこちない話が続きますがいずれお互いに緩い話し方で話せるような関係になっていく予定です。


第2章は主に孫四郎の新たな感情の芽生えやその頃の信長の戦について書いていく予定です。この章の最後は孫四郎の元服までの予定です。2章まではゲームで言うチュートリアルのような感じです。


それではまた明日の更新をお待ちくださいませ。

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