ある晴れた日、血の雨が降っていた。
腹が、熱い……。
……逆に、徐々に体温が無くなってきてる……。
「……ぁ、ぇと……」
最後に……最期の最期に、言わなきゃ……。
「ごめん、ごめんなさい……」
ああ……待ってくれ。
謝るのは、お前じゃないんだ……。
「……さ、や……ごめ―――」
―――★―――
「あーおいー、そらー! ひっろがるうっみー! ぼっくっとー、きーみのーきょーーりー!」
……頭に、響く……。
喧しい……甲高い声だ。
どうにも、男のように聞こえるが……。
「どうもどうも、新たな死亡者君! 亡き者にされた気分はどうだい!?」
「………………?」
声を出そうとするが、声が出ない。
「っま、君の感想はどーーっでもいいんだけどさっ!」
……頭にくる物言いだ。
「あー、えっと……ああそうだ、名乗るんだったね、こういう場面って」
……よく見ると、声の主の姿が見えない。
それに、目も良く見えない……周りにかなりの人影がうっすら見えるが、それが本当に人影かどうかもわからない。
「アイアムザゴッド! いわゆる神ぃ! しかも皆大嫌いな死神様だ!」
……個人的に今嫌いになった。
「暇つぶし、的な!? 蘇り、的な!? 殺し合い、的なぁ!?」
……いい加減本題に入ってほしい。
「非業の死を遂げた皆に告ぐ! 不本意な死を迎えた者に告ぐ! 納得のいかない死に抗いたいお前に告げる!
よくある神様の気まぐれ! 暇つぶしに、君ら365人を適当に見繕った! ラッキー!
90日の間に生き残れ! それだけに1日前に戻してあげよう! 殺せば殺すほど巻き戻されるんDA!」
拡声器を口に当てているのか、ノイズのかかった声で周りの人間にそう叫ぶ。
……突拍子もない事を言っているが……だがどうも「ありえない」と切り捨てる事が出来ない。
なぜなら「あの時」の光景を、未だに鮮明に覚えているからだ。
今でも、すぐに思い出せる。
夢……では片づけられない現実味に、俺はさっきから刺された脇腹が痛むくらいだ。
「さてさてさーーって!! やっぱりこういうバトルロワイヤル物だとさ! 定番だよね! 武器! Weapon! Ability! 異能力バトル!
憧れたよねー! 憧れてるよねー! だからあげちゃおう! 椀飯振舞! 空前絶後! 最強最高! 人気絶頂! いえーー!!」
……武器?
そう言えば、上着のポケットに異物感がある……コレの事か?
「説明はめんどいんで、手に持ったら能力解る様にしたよ、かしこーい!」
……今は、触らないでおこう。
異能力バトル、多分露呈すると不利になる。
「さあ! さあさあさあさあ! 今から始めるぜ! とってもとっても素敵だぜ! 何てったって初めてだ! 愉快爽快期待してるぜ!
じゃあな! せいぜいハッピーエンドを目指しておくれよ! アディオス、アミーゴ!」
……目の前の景色がが、ゆっくりと滲んでいく。
……アイツの話しでは、殺すほど過去に遡れるらしい。
なら、俺が遡るべき日数は……2週間、14日前か。
生き残るだけで1日……となると、最低でも13人を……。
―――★―――
「……っ、と……」
少し立ち眩みに似た感覚を覚えながら、周りを確認する。
……森の、少し開けた場所……と言ったところか?
「そうだ、武器を確認するか」
周りに人もいないのを確認し、上着のポケットに手を突っ込む。
―――『青天』
―――刃物型 所有者、安住 東輝
―――血を吸う十徳ナイフ、吸う程にアタッチメントを増やし、多様性に特化している。
……一気に、血の気が引く。
「ま、まさか……」
こ、これは……嘘、だろ……?
ポケットから出て来たのは、俺を殺した凶器だった。
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