〈1・1〉 20万年前から5000年前のあいだに起こっていたこと(想像)
人類の祖先は一度絶滅しかけたと言われる。19万5000年前から12万3000年前のあいだに地球全体を覆った長い氷期に、ほとんどの土地が住むのに適さない状態になった。人口は急激に減少し、子どもをつくることができる年齢の人は、1万人以上から数百人になった。人類がいつ誕生したのかは正確にはわからないが、どの研究も現在生きているすべての人が、この世界的寒冷期のある時期に、アフリカ大陸のある地域で生き延び、暮らしていた小さな集団の子孫であることを示している。われわれ人間はたった数百人からスタートして、現在の広範囲な分布に至った。
その後氷期が終わり、人類はアフリカから世界各地へ人口を増やしつつ拡散していった。最もよく知られていて最も古い文明が発生した場所では、1万9000年前から特定の地域に人が集中しはじめて、5000年前から文明の基礎、つまり、農耕による食糧生産の開始と、それによる余剰農産物の生産がはじまった。それがメソポタミア文明を育んだティグリス=ユーフラテス川流域にある肥沃な三日月地帯である。実際、人間にとって特に汎用性の高い食用動植物のうち、麦、羊、山羊、牛、豚はこの地帯から生まれた。
その後、文字が生まれ高度に組織された社会となり都市へと変わって行った。なぜ人間が中央集権的に組織化されて都市が生まれたのかは明確にはわかっていないが、次のように考えることができる。人間集団内の人どうしを精神的な面で強固に結びつける絆をつくりあげているのは、女性たちである。
男性たちの役割は戦争をすること、(闘争を伴う)より大きな領地や人民を確保することであって、これらのことからは悲劇も起きるが、行き詰った社会に対して革命を起こしたり変革をもたらしたり、新しい科学技術や芸術を生み出したり、既存の社会システムの構造変更などを実施するための起爆剤になったりする。
その他に大きな事柄として、どの原始社会でも神話のなかに必ず太陽信仰が含まれている。太陽の存在が人々の心を一つにつなげている。そうした信仰する人々の中から自分自身が太陽のような存在になって他の人々を照らしたい、または、導いていきたいと思う人が現われても不思議ではない。そのようにして、中央集権的な社会が生まれていく。




